2008年10月22日

通乳

 いよいよ明日が子供出産の予定日なのですが、特にこれといった変化はなし。お腹の子供は、相変わらず元気に動いています。

 さて、母乳で育てたい、という願望は、中国のお母さんの間でもいつもになく強いように感じます。例のメラミン毒粉ミルク事件を受けて、今までも粉ミルクの宣伝の言いなりになる育児から、やはり母乳も悪くないぞ、という考え方に変わりつつあるのでしょう。やはり、オリジナルのものが一番です。

 我が家もぜひ母乳で育てたいと思っていますが、これだけはお母さんを初めとして、家族の努力も関係してきます。

 中医学の生薬でも、母乳を出す効能が言われているモノがいくつかあります。有名なのが、王不留行と路路通、穿山甲ですね。このうち、穿山甲は日本語でセンザンコウとよび、中国でも保護動物なので手に入れるのは憚れるのですが、王不留行と路路通は生薬薬局に行けば手に入ります。
 
 我が家でも、念のために準備しておきました。

 

左から王不留行と路路通


王不留行は、ごまよりもまだ大きいツブツブの植物の種子で、血の巡りをよくする活血作用や、月経困難症の治療、さらに母乳を出す働きがあります。鍼灸科では、耳穴を使った治療で、王不留行を耳のつぼに貼り付けてマッサージします。ただし、活血作用があるので、妊婦さんは服用できません。

 路路通は9つの穴が空いた丸い植物の実で、関節痛や月経病の治療などに使われますが、昔から母乳を出す働きがあると言われています。これら2つを混ぜて煎じることもできます。

 生薬のすごいところは、さらに症状に合わせて加減ができるという点です。例えば、母乳が出ない理由が気・血の不足だったらこれらに黄耆や当帰などを混ぜてもいいわけですし、いろいろ処方を考えることができます。

 そのほか、有名なところでは通草や木通などにも母乳を出す作用があります。

 ただ、腎臓内科の立場からすると、木通の使用は慎重になりますが。




  逆に、母乳を止める(回乳)作用がある生薬で有名なのは、麦芽。特に、母乳が出すぎて、おっぱいが痛く張りすぎるときなどに使うことがあります。

 中国で中医学として昔から伝わっている方法の一つです。


posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

2008年10月21日

学位証明が届けられる

 なんかもうだいぶ前の話になってしまいますが、上海中医薬大学大学院からいただいた博士号の学位証明証がついに我が家に到着しました。

 中国では、学士の時もそうですが、「卒業」と「学位授与」はまったく別の扱い方でして、例えば学士の時は、遙か昔、私が勉強していた当時、テストの成績が平均60点以上では単位はもらえるけど学士の学位はもらえず、学位をもらうには75点以上が必要だったような記憶があります。今もそうなのでしょうか?

 実際に、単位を取得して卒業はしたけど、学位をもらえなかった中国人学生もいました。
 その当時の上海中医薬大学では1週間で7科目〜8科目の試験を集中的に行うので、私自身もヘロヘロになって勉強したのを覚えています。中国人学生と、大学の徹夜用の自習室でどこまでがんばれるか気合いを入れたのも、はるか昔の想ひ出。

 修士課程も博士課程もどちらも学位証明書と卒業証明証は別扱いでして、とくに博士課程の場合は、卒業式の時には学位はまだもらえませんでした。

 卒業時に論文審査や単位認定はOKでも、あと学会誌などに論文を2本発表しなければならず、そのための猶予期間を設置してあるのだそうです。

上から、学士・修士・博士の学位証明証。博士号の学位証明証は一番大きかった


 がんばった証なので、大切に保存しておきます。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

心の余裕

 ちょっとした心配りが、同じ行動でも相手をすごくいい気持ちにさせる、そんなことはよくあると思います。

 その一つが、席の譲り合い。

 上海の地下鉄に乗っていると、よく出くわすと思います。もちろん、妻が乗っている場合は、妊婦なのでまず120%の確率で席を譲ってもらえますが、(なぜ120%かというと、1人どころか2人以上の人が一度に席を譲ってくださることがあるから)一般のケースで考えてみます。

 ロングシートの前に、びっしりと立っているとします。

 そして、駅で一人が立ちました。

 上海でよく見かけるのが、もう座っている客が立とうとした瞬間、すり替わるように椅子に座ったり、さっさと手荷物を置いたりするパターン。特に、女性に多いような気もするのですが、この早業は、私には真似できない。

 つまり、座っている人に対して、どのように立つか、というのがポイントらしくて、私も思わず苦笑してしまうぐらい実にうまく席をキープします。

 もう一つのパターンは、目の前に空いた席に対して、立っている人がお互い譲り合うというもの。実は、自分が座りたいのだけど、あまりにも露骨に席取りをするとみっともないので、「どうぞ、ぞうぞ」とすすめ合うケース。これは、日本などにも多いように思いますが、上海でも時々出くわします。

 でも、あまり譲り合うことをやり過ぎると、横から第三者がすっと座ってきます。そこが中国。(笑)そして、ちゃっかりと座って「ざまー見ろ」という表情をするのも時々見かけますね。典型的な「漁夫の利」。

 いずれにしろ、私は前者よりもこっちの方が好きです。余裕があるというか、仮に自分が座れなくても、特に相手に対してイヤな思いをしなくても済むし、後味がいいのです。

 日本人は比較的、こうした相手に後味の良いよう行動する気配りに長けていると思います。

 中国は、まさに「早い者勝ち、人には任せられない」の国ですから、そういう気配りは、とくに公共マナーの上ではなかなか見られない。

 上海のように生存競争が激しくなると、必然的に心の余裕が無くなってくるわけですが、それが実は上海特有の文化をはぐくんでいます。だから、この両者の方式のどっちがいいかという議論は無意味だと思います。

 ただ、忘れてはならないのは、その場所、その文化に応じて、我々サイドが頭のモードを切り替える必要があると言うことだと思います。