中国の食の安全の話が相変わらず日本のニュースを賑わしていますが、まったくもって厄介なものです。
お金をたくさん稼ぐには、コストを削減し、悪事はばれなければそれでいい、という考え方の蔓延は、頭に来ます。これから世界が不景気になればなるほど、その傾向は強まるのではないでしょうか。
メラミンの毒粉ミルク事件にしても、結局は水で薄めた牛乳のタンパク質の値を多く見えかけるための業者側の小細工に過ぎません。そのために、多くの乳幼児が被害に遭いました。
毒粉ミルクといえば、思い出すのが2003年に安徽省阜陽であった栄養不良で20人の乳幼児が亡くなった事件。このときは、タンパク質の含有量を減らした劣悪な粉ミルクを乳幼児が摂取し、栄養不良で頭が異常に大きくなった子供たちの写真をみてショックを受けました。この劣悪粉ミルクは、2001年から販売されていて、主に貧困地区の子供たちが使っていたのでした。
医学的知識の無い貧しい農村の親たちは、子供の異常を早く察知できなかったのかもしれません。そして、輸入粉ミルクなど到底買えない経済状況から被害を大きくしたのでした。
考えて見てれば、これもメラミン事件も同類です。何とかコストを下げて利益を出そうとする悪徳商売人の考えることです。
中国ではニセ酒の話も有名ですよね。1998年に山西省で22人が死亡し、222人が中毒を起こしました。これは、メタノール34トンに水を混ぜて57トンの白酒を作ったのが原因です。
メタノールの濃度は、酒に含まれるメタノールのなんと900倍だったそうです。春節前の家族団らんを、一気に吹き飛ばしました。工業用メタノールを使えば、コストはかなり節約できますが。
こんなニュースは、中国に十数年もいれば、たくさん見ることができます。いままた日本で中国製農作物の安全性が叫ばれていますが、今更みたいな感じです。
中国の人たち、とくに知識のある人たちはよく心得ています。野菜をどこでかって、どのように洗って、調理をするかは生活の知恵として知っています。安いものには絶対ワケがあるわけで、自分がそれを選んでしまったことに対して、ある程度自己責任もあるでしょう。
最近、無錫でホルムアルデヒド漬けになったシラウオの事件が取り上げられていましたが、これなんかも我が家ではまず食べません。
あんなに腐りやすいものが、簡単に市井で売られていること自体がおかしいのです。
もちろん、中国でも農作物の農薬検査は行われてます。しかし、これだけ安全が叫ばれても、100%合格というのは滅多にありません。特に、豆類や葉っぱ類の残留農薬は、今でも中国の基準値を超えることがあります。だから、最終的には消費者自身が個別に注意するしかないわけです。自分で栽培するのも一つの方法でしょう。
農家からすれば、たったこれだけの稼ぎのために汗水流すのなら、何とかしてラクしようと考えるのが当然でしょう。ある意味、今の資本主義経済の仕組みでは限界なのかもしれません。
これを、お金をちらつかせて大量購入しようとする我々サイドにも問題があると私は思います。
今の社会、金持ちだけがトクをするというのも一概に言えなくなってきました。所詮、モノを買うサイドは生産者のいいなりとなる弱者に過ぎませんから。