ちょっとした心配りが、同じ行動でも相手をすごくいい気持ちにさせる、そんなことはよくあると思います。
その一つが、席の譲り合い。
上海の地下鉄に乗っていると、よく出くわすと思います。もちろん、妻が乗っている場合は、妊婦なのでまず120%の確率で席を譲ってもらえますが、(なぜ120%かというと、1人どころか2人以上の人が一度に席を譲ってくださることがあるから)一般のケースで考えてみます。
ロングシートの前に、びっしりと立っているとします。
そして、駅で一人が立ちました。
上海でよく見かけるのが、もう座っている客が立とうとした瞬間、すり替わるように椅子に座ったり、さっさと手荷物を置いたりするパターン。特に、女性に多いような気もするのですが、この早業は、私には真似できない。
つまり、座っている人に対して、どのように立つか、というのがポイントらしくて、私も思わず苦笑してしまうぐらい実にうまく席をキープします。
もう一つのパターンは、目の前に空いた席に対して、立っている人がお互い譲り合うというもの。実は、自分が座りたいのだけど、あまりにも露骨に席取りをするとみっともないので、「どうぞ、ぞうぞ」とすすめ合うケース。これは、日本などにも多いように思いますが、上海でも時々出くわします。
でも、あまり譲り合うことをやり過ぎると、横から第三者がすっと座ってきます。そこが中国。(笑)そして、ちゃっかりと座って「ざまー見ろ」という表情をするのも時々見かけますね。典型的な「漁夫の利」。
いずれにしろ、私は前者よりもこっちの方が好きです。余裕があるというか、仮に自分が座れなくても、特に相手に対してイヤな思いをしなくても済むし、後味がいいのです。
日本人は比較的、こうした相手に後味の良いよう行動する気配りに長けていると思います。
中国は、まさに「早い者勝ち、人には任せられない」の国ですから、そういう気配りは、とくに公共マナーの上ではなかなか見られない。
上海のように生存競争が激しくなると、必然的に心の余裕が無くなってくるわけですが、それが実は上海特有の文化をはぐくんでいます。だから、この両者の方式のどっちがいいかという議論は無意味だと思います。
ただ、忘れてはならないのは、その場所、その文化に応じて、我々サイドが頭のモードを切り替える必要があると言うことだと思います。
posted by 藤田 康介 at 00:00|
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