さて、母乳で育てたい、という願望は、中国のお母さんの間でもいつもになく強いように感じます。例のメラミン毒粉ミルク事件を受けて、今までも粉ミルクの宣伝の言いなりになる育児から、やはり母乳も悪くないぞ、という考え方に変わりつつあるのでしょう。やはり、オリジナルのものが一番です。
我が家もぜひ母乳で育てたいと思っていますが、これだけはお母さんを初めとして、家族の努力も関係してきます。
中医学の生薬でも、母乳を出す効能が言われているモノがいくつかあります。有名なのが、王不留行と路路通、穿山甲ですね。このうち、穿山甲は日本語でセンザンコウとよび、中国でも保護動物なので手に入れるのは憚れるのですが、王不留行と路路通は生薬薬局に行けば手に入ります。
我が家でも、念のために準備しておきました。
王不留行は、ごまよりもまだ大きいツブツブの植物の種子で、血の巡りをよくする活血作用や、月経困難症の治療、さらに母乳を出す働きがあります。鍼灸科では、耳穴を使った治療で、王不留行を耳のつぼに貼り付けてマッサージします。ただし、活血作用があるので、妊婦さんは服用できません。
路路通は9つの穴が空いた丸い植物の実で、関節痛や月経病の治療などに使われますが、昔から母乳を出す働きがあると言われています。これら2つを混ぜて煎じることもできます。
生薬のすごいところは、さらに症状に合わせて加減ができるという点です。例えば、母乳が出ない理由が気・血の不足だったらこれらに黄耆や当帰などを混ぜてもいいわけですし、いろいろ処方を考えることができます。
そのほか、有名なところでは通草や木通などにも母乳を出す作用があります。
ただ、腎臓内科の立場からすると、木通の使用は慎重になりますが。
逆に、母乳を止める(回乳)作用がある生薬で有名なのは、麦芽。特に、母乳が出すぎて、おっぱいが痛く張りすぎるときなどに使うことがあります。
中国で中医学として昔から伝わっている方法の一つです。