食の安全がいろいろと言われていますが、私も娘が誕生し、今まで以上にこの問題に関心をもっています。でも、中国に住んでいる限りは仕方がない。どうしようもないのが事実。
正直、娘と妻を先に日本に避難させるべきか、真剣に考え出しています。
中国での農薬と化学肥料の問題以外に、野菜の重金属の問題については、これも以前から討論されてきたことです。
重金属汚染の原因について、もちろん工業廃水なども深く関係ありますが、最近中国で注目されてきているのが、自動車による土壌汚染です。中国科学院が研究成果を紹介しています。
実は、上海では早くから無鉛ガソリンを使っていますが、中国全土ではまだ普及していません。こうした燃料を使った車や、機械の摩擦によって発生する金属片、ブレーキをかけることによってタイヤから発生するゴムタイヤの粉など、こうした物質が、いまや中国の農村エリアで土壌汚染の原因となりつつあるのです。
例えば、亜鉛化合物もそうです。車の潤滑油やタイヤなどにも含まれています。銅やカドミウムなどの金属も、微量ながらも車から放出されています。カドミウムは腎臓などに影響を与える重金属です。
特に問題となるのが、大通りのそばや車の交差点付近にある農地、家で、こうした粉塵が路肩などに溜まりやすくなり、風などによって畑や家にばらまかれます。よく、上海のマンションなどでも、室内でうっすらと黒いチリがつもることがありますが、そういうチリなどにも当然、有害物質が含まれていることになります。
田舎などにいくと、道路の状態も良くなく、そのため車もブレーキをかけやすくなり、またアクセルを踏んで加速も頻繁にするため、有害物質が発散しやすくなるというのです。もちろん、渋滞しているところなど論外です。
これは、当然田舎だけには留まりません。上海・北京などの大通りや高速道路・高架道路周辺のエリアでも、チリの中から重金属が検出されており、研究では大通りから250メートル以内のエリアなら、小麦の粒に含まれる鉛の含有量で99%以上、規制値を超えることになるそうです。
交通量の比較的少ない、上海崇明島などの国道の周辺でさえ、野菜の鉛汚染率が43.2%になっているという結果も出ています。となると、上海の内環状線エリア内などの渋滞するレベルの交通量では話になりませんよね。
こういったデータを合わせると、中国全国の農耕地のうち、2000万ヘクタール、耕地面積の20%で、重金属汚染が進んでいると言われています。
また、毎年重金属汚染された食料は1200万トンに達し、経済損失額は200億元になるという統計も出ています。
中国全土での無鉛ガソリンの普及も急ピッチで行わなければなりませんし、また高速道路など交通量が多いエリアから200メートル以内での耕地は避けなければならないと中国科学院の研究者は訴えています。
農薬問題に、メラミン問題とくると、次は重金属問題が日本のマスコミでクローズアップされそうですね。
でも、皮肉なことに中国で車をばんばん売って儲けているのは、日系企業。もうこういったもので儲けるなんてことは、自分たちの命のためにも考えるべきではないレベルにまで達しているのでは?
便利の背景には、必ず落とし穴があるのです。
人間が住める場所に住む。それが人類にとって最大の贅沢なのかもしれません。
posted by 藤田 康介 at 00:00|
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