今回訪れた場所は、浦東新区の崂山路の店です。
私はてっきり焼きたてのパンを売る店だと思っていたのですが、実際はカフェがメインだったのですね。しかも台湾系でした。店の雰囲気からしても、それに近いモノがありました。
私はコーヒーはあまり好きではないので、日頃まず飲まないのですが、店内を見渡すと、お茶をしている人が多かったです。でも、あまりにも多い来客数で、落ち着いてコーヒーという雰囲気ではなく、非常に中華系です。明るい雰囲気ですね。
でも、すごいなと感心したのは、価格が非常に安く抑えられていて、しかもボリュームたっぷりという点です。今日は4つパンをかって20元でした。
さらに、本当に様々な種類のパンがあり、創意工夫しているのがよく分かります。
私は、「大阪焼」というパンを買いましたが、これはいわゆる「お好み焼き」をモデルにしたパン。鰹節をパンの外側にまぶし、パンの中にキャベツやハムをいれたボリュームたっぷりのもの。なかなか美味しかったです。
イカスミをつかった真っ黒なパンも人気がありました。中にはチーズがしっかり入っています。
北海道の牛乳を使ってみたり、日本の地名がパンの名前にちょくちょく出てくるのも、面白かったです。さすが台湾系。
おかず系の、腹持ちがいい(カロリーが高そうな)パンが多いのも、日系のヤマザキなどと比較しても違いますね。
しかし、来ているお客さんの割には、パン売り場の面積が小さく、通路をあるくのが大変でした。これだけ現地中国人にも受けているのは、すごいことだと思います。ただ、台湾人だけでも上海に50万人前後いますから、彼らが利用するだけでもかなり繁盛するでしょう。
不景気で外国人がどんどん上海をあとにする昨今。韓国人に至っては、すでに半数が帰国してしまったとも言われています。一方で、同じ中華民族として台湾人の存在感は、上海で高まりつつあるように思います。
私も、今年に入って台湾人との交流がものすごく増えました。台湾人ビジネスマン、いわゆる「台商」の会合に参加したり、先日いった慈善事業のパーティーもそうでした。彼らとは同じ中国語で交流できるのも助かっています。
そもそも台湾人は、文化も言葉も殆ど同じだし、上海への親近感は我々の比ではありません。中華圏だけに、対中国人ビジネスも心得たモノです。
ちなみに、パン屋が使っている袋には、しっかりと日本語がありました。
「健康と幸せの手作りのパンをはんばい」だそうです。なぜ「「はんばい」がひらがななのか、ちょっと分かりませんでしたが。
日本への親近感もあるため、彼ら台湾人の大陸で果たす役割も、日中間の交流に欠かせないモノになっているのは確かです。
この「85℃」は、上海で最も流行しているパン屋といっても過言ではないでしょう。
ちなみに、店の名前である「85℃」(正式には85度Cと書かれていました)とは、コーヒーは摂氏85℃が最も美味しいから、というところから来ているそうです。ということは、こだわりのコーヒーということなのでしょうね。
しかし、10年前の上海では、まさか焼きたてのパンの店がここまで増えるとは思いもしませんでした。その当時、ローソンの食パンでも十分に珍しい時代でした。菓子パンなんて、口にすることは殆どありませんでした。
上海の社会の変化はすごいものです。