多くの大工や設計士にとっても、日本人の家を設計・施工するのは始めてなので、しっかりと意見交換をしておくことが大切です。私の設計士は前述の通り日本滞在経験のある台湾人でしたが、それでもまだかなり理解させるのに苦労しました。文化の違いは大きいです。
たとえばキッチンのカウンターの高さです。自作キッチンを作る場合は、細かい点に注意をする必要があります。料理のやり方が違うため、中国のキッチンカウンターの高さ標準はかなり低く、場合によっては70センチ程度しかない場合もあります。これでは日本式に料理をすると腰を痛めてしまいます。そこで私は思い切って欧米風に95センチにまで上げました。
個人差がありますが、中国では低めが標準のようです。また台所の床はタイル張りが中国では標準ですので、寒がりの奥さんにはつらいところ。私はここを故意にフローリングに変えました。中国では油物をよく料理するためにタイル張りを使っているようですが、煮物が多い日本人にはそう必要はありません。むしろ寒さ対策のほうが大切です。
また玄関をつくるという概念も中国にはあまりありません。靴を脱いで入り口に並べるという行為があまり日常的ではないからです。玄関を作る場合は、大工に説明しておく必要があります。
和室を作る場合は、さらに大変です。大工をつれてホームセンターなどにある和室のモデルを実際に見てもらいましょう。口で説明するよりも一度見てもらえば一目瞭然です。
とにかく根気が必要です。私の大工も10数年の内装工事経験があるようですが、彼に言わせても私の現場では初めての経験ばかりのようで、いろいろ苦労しているみたいです。
【今振り返ってみると】
まずは台所です。4年たちましたが、今のところ大きな問題はありません。ただ、妻からすると、日本式の台所は少し不満のようです。一番よく言われたのが、台所にドアがないこと。料理の匂いがリビングに流れていくのがよくないといいます。
フローリングもとくに問題なく、ちゃんと使えています。ただ、フローリングによっては、少しの水で曲がってしまうものがあるので、要注意です。我が家のは大丈夫でした。また、カウンターの高さに関しては好評でした。高めが楽だといっていました。ただ、中華料理のあの中華鍋の鍋さばきには、うちのカウンターはすこし高すぎるようです。
妻との結婚前で内装をしたので、妻の意見がまったく反映されていない我が家の台所です。
玄関にはほんとうに重宝しています。やはり土足と、土足でないところの区別は絶対必要です。しかし、玄関に靴をおくという習慣に慣れない中国人の方も多く、ドアの外に靴を脱いで、玄関でスリッパに履き替える人も多いですね。