妻がどこからかNHK大河ドラマ「新撰組!」のDVDを手に入れてきて、この連休に一気に観ていたのですが、これがまたご丁寧になかなかのレベルの中国語の字幕がついていまして、私もびっくりしています。多少の誤訳はあるにしろ、侍言葉を旨く訳しだしています。
それ以来、妻は新撰組の大フアンになってしまい、私もすっかりはまっています。
近藤勇が香取慎吾、土方歳三が山本耕史、山南敬助が「篤姫」の家定役でも評判だった堺雅人。2004年に放映されたのですが、その当時、まだNHKワールドプレミアムが見られる環境ではなく、三谷幸喜 脚本とあってか、なかなかの力作に仕上がっていると私は思っています。
どこからこういうDVDが出回っているのか私はよく知りませんが、NHKの大河ドラマは、中国人の間でもかなりの人気なのは確かです。
「篤姫」で幕末を徳川幕府側でみてきたので、今度は浪士の立場から見た幕末に夫婦の間でもあーどもない、こーでもない、と討論になるのですが、今回は、土方歳三が多摩にいたころ行商で売っていた「石田散薬」について、ドラマでもよく登場するし、中医学をやっているものからすると非常に興味があり、少し調べてみました。
まず、Wikiで調べてみると、
石田散薬としての項目が立てられていました。ここには、「接骨や打ち身、捻挫、筋肉痛、また切り傷等に効用がある」とあります。ドラマでも確かに土方歳三がそのように言っていたことを記憶しています。
原材料は牛革草で、「乾燥した牛革草を黒焼きにして鉄鍋に入れる。その後、酒を散布して、再び乾燥させる。」とあります。黒焼きにするという製薬の行程は、中医学にもあるやり方で、一般的には生薬の副作用を抑えたり、生薬を粉末にしたり、止血作用を高めたりするときに使う加工方法です。もちろん、これは炭になるまで真っ黒にするというワケではなく、生薬の香りや性質を残すという前提です。
さて、この牛革草という生薬ですが、ミゾソバと呼ばれ、学名は
Polygonum thunbergiiということが分かりました。中国ではこの名前では使われていませんので、さらに調べてみると、やはり中国伝統医学の生薬にもありました。
中国でも、水辺や湿地帯に生息しているようで、中国名は戟叶蓼といいます。ただ、これは中国の薬草の専門書にはあまり出てこず、「薬典」では水麻芀(ShuiMaTiao)と呼ばれることがわかりました。江蘇省エリアでは、鹿蹄草とも呼ばれていたようですが、これがミゾソバと一致するかはすこし疑問です。
いずれにしろ、水麻芀が牛革草と一致することはほぼ間違いないと思われます。
中国の「薬典」では、去風清熱・活血止痛が主な効能になっていて、胃の経絡に属するもので、頭痛や咳、下痢、打撲などの外傷などにも効果があるようです。清熱作用がるので、打撲の腫れなどに外用薬としても使えますし、黒焼きにすることにより、止血作用もあると考えられます。
ちなみに、中国の上海の中医学では殆ど使われませんが、おそらく中国のどこかではまだ使われているかもしれません。
こう見てみると、土方歳三が言っていた「接骨や打ち身、捻挫、筋肉痛、また切り傷等に効用がある」という商売文句は、ドラマでは「詐欺」のような扱いでしたが、決してそうでもなさそうです。おそらく先祖代々から何らかの形で伝わってきたのかもしれません。
沖田総司が結核に苦しんでいますが、ひょっとした石田散薬も土方歳三が飲ませていたのでは、とかいろいろ想像を巡らしていました。
Wikiにはさらに、「昭和23年頃に薬事法改正に伴う製造販売許可申請における成分検査でも「無効・無害」という結果が出たとされている。」と記載されていましたが、果たして、本当に漢方の考え方に基づいて使われて検証したのかはかなり疑問に残りますが、れっきとした中医学の生薬でもあったことを付け加えておきます。
ちなみに、お酒と一緒に服用するというのも、中医学の世界ではそう珍しいことではありません。石田散薬もそうだったそうですが、痛み止めや血の巡りをよくするなどの効能を考えると、それもありだったと考えます。
posted by 藤田 康介 at 00:00|
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