2009年02月22日

タンポポはすごいと思う

 春になると、中医学でも季節感ある生薬を処方したくなります。

 昔の人は、そうした季節感から、その生薬の効能を連想し、実践してその効能を実証してきました。今のように生薬を分析する設備がないわけですから、せめてもの裏付けとなるのでしょうが、これがなまじっか外れていないのがすごいです。

 この時期、私も患者さんによく使うのがタンポポです。生薬用語では蒲公英と書きます。

 蒲公英は、根っこや葉などを乾燥させて使います。生薬の蒲公英は写真のようなものです。

 蒲公英はもともとは消化器疾患に使うことが多い生薬の一つです。胃潰瘍や慢性胃炎などの治療では欠かせない生薬です。特に、蒲公英は体を冷やす性質がありますので、体質的な症状のほかにも胃カメラなどで胃の粘膜が充血して腫れている場合などが効果が高いことが多いです。さらに止痛作用もあり、胃の痛みの治療などにも他の生薬と併用しながら用います。
 

生薬として使う蒲公英です


 腫れを取り除くという作用を利用して、蒲公英は乳腺炎の治療でも蒲公英は使われます。さらに、おっぱいを出す作用もあるため、乳腺炎の治療では一石二鳥というわけです。

 中医学の外科の分野では蒲公英は欠かせません。野菊や金銀花、紫花地丁などと組み合わせて、内服のほかにも患部の外に貼ることもあります。まさに、中薬(漢方薬)での消炎剤です。

 春といえば、陽気が非常に盛んになる時期です。こうした陽気を体一杯あぶる蒲公英は、一種の発散するような働きを持っているともいわれています。そのため、ストレスなどで凝り固まった「肝」をほぐしてあげたり、湿や痰を飛ばす作用もあるのです。中国では肝炎や胆嚢炎の治療にも蒲公英は使われます。

 ただし、もともと体を冷やす性質があるので大量に服用すると下痢を起すこともあるので注意が必要です。
 でも、我々の身近でありながら、臨床では非常に役立つ生薬なので、蒲公英はすごいと私は思っています。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

2009年02月21日

春雷

 あれだけ日中天気が良かったのに、我が家のある上海浦東エリアはいま大雨です。天気の移り変わりが早いですね。

 そして、稲妻とともに雷が鳴り出しました。

 春の訪れを告げる春雷ですね。

 気温はまだ寒く感じられますが、春が着実にやってきています。

 実は、私は未だに雷があまり好きではありません。(笑)

 このことを、以前実家の母親に話すと、どうも雷の鳴っていたときに部屋に置いてきぼりにされた経験があるのだそうで、きっとそういうことと関係があるかもしれません。
 幼児体験といえば、カナダにいたときに、キャンプをしているときに雷がゴロゴロ鳴りだして、母親と必死に車のあるところに走ったことも鮮明に覚えています。

 こういったことは、いまから思えば小さなことなのですが、私の脳裏のなかにしっかりと焼き付いているのです。

 うちの娘はというと、昼間よっぽど疲れたのか、相変わらずスヤスヤ寝ています。

 明日の中医クリニックの外来も、結構予約が入っていて忙しくなりそうです。がんばります!
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

外国人も将来上海の医療保険に

 上海で就労ビザを取得して、居留許可証ももらっていても、現行の制度では上海の公的医療保険に入ることが出来ませんでした。上海人と結婚してもダメです。これは、なにも外国人に限ったことではなく、香港人・台湾人・マカオ人などもダメでした。

 そのため、多くの外国人は上海で仕事をする場合、海外旅行保険などに高いお金を出して加入するワケですが、逆に日本などをみると、外国人も日本で仕事をする場合、日本の健康保険に加入しなければならないことになっています。発展途上国と先進国で仕事をする違いですね。

 また、地方から来た人(出稼ぎ労働者なども含む)で上海籍がない人は、就職すると会社が「総合医療保険」に加入させないといけないのですが、それでも上海市民が加入できる「上海市城鎮社会保険」には加入できませんでした。
 この2つの保険は、役割は同じですが、保険の適用範囲が若干違っていて、やはり上海市民向けの「上海市城鎮社会保険」のほうがランクが上です。

 そんな中、上海市の人力資源と社会保障局の担当者が、マスコミに対して、近い将来、外国人も含む広い範囲で、上海人と同じ待遇となる「上海市城鎮社会保険」に加入できるように検討することを明言しました。これは大きな前進だと思います。

 我が家でも、妻と娘はこの上海市の医療保険に加入していますが、私はできません。私の場合、妻も医師なので上海の医療の世界にはそこそこ理解していますが、やはり商業保険しかないというのは不安なものです。

 中国は国土が広いので、日本みたいに国民皆保険制度は不可能で、各地方政府で保険制度が作られていて、それぞれ対応が異なります。上海市が、市民だけでなく上海市に合法的に居住している人たちにまで保険制度を拡充しようと動き出したことは、称賛できます。

 となると、外国人向けクリニックは立場的に苦しくなりますね。一般的に、外国人向けクリニックは海外旅行傷害保険などでキャッシュレスのサービスをして経営が成り立っているところが多いですが、上海地元の医療保険を使うことは認められていません。

 上海において、公的医療機関と営利目的の民間病院とでは、その役割がで厳しく分けられており、民間病院が上海市の公的医療保険の適用を受けるのは非常に難しいのです。

posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類