2009年02月10日

今年の中国の鳥インフルエンザ動向

 上海のかなり暖かくなってきました。このまま、春に突入してしまいそうな勢いです。

 さて、中国の呼吸器疾患の権威、鐘南山教授が今年のH5N1型鳥インフルエンザ流行の傾向について、少し興味深い意見を紹介しています。鳥インフルエンザの動向については、弊社サイトでも紹介していますので、ご覧ください。

 中国では今年に入って7人が感染し5人死亡した中国の鳥インフルエンザですが、いくつかの特徴があるということです。
 
 まずは、死亡率が非常に高いという点です。さらに、集中して感染者が報告されたというのも特徴に挙げられています。7人は1ヶ月以内に発生しました。

 しかし、いずれも散発的であり、中国が「流行地域」として指定する、1地域に5人以上の患者が発生しているというレベルには達していません。

 ただ、この中で最も注意を要するのが、この7人の感染者がすべて家禽類との接触したというわけではないという点です。

 すなわち、病気になっていない家禽類からも、鳥インフルエンザが感染するのではないか?ということを中国工程院院士・鐘南山教授が注意を促しています。

 家禽類の体内にウイルスがあっても、家禽類への予防接種などの成果でそれが発病せず、しかし、人と接触することにより人に感染するというパターンです。そのため、見た感じは健康な家禽類でも注意が必要であるということになります。
 
 中国人の生活で、特に農村エリアでは、ごく普通に鶏やアヒルが走り回っており、農民たちにとっては家禽類は日常生活で欠かせない動物たちのひとつです。それだけに、最大の予防方法は、これら家禽類に接触しないようにすることなのですが、現実的にはかなり難しいのは確かです。

 今年の鳥インフルエンザ患者の死亡率が高い点について、その最大の原因の一つに、医療機関の認識不足があると鐘南山教授は訴えています。今回の発生地の多くは農村です。発熱を訴えて近くの病院にいっても、普通の肺炎などと判断され、別の病院に行った時にはすでに手遅れになってしまったというケースが多いのです。

 そのため、発熱して肺炎と診断された患者が、48時間以内に好転しなかった場合は、医療関係者は十分に重視し、すぐにインフルエンザ検査のキットを使って正確な判断が必要だとしています。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類