2009年02月24日

患者と戦う糖尿病

 中医学をやっていて糖尿病に関してはどこでもよく聞かれる質問です。私も、いろいろな患者さんを診てきました。すこしでも参考になればと思います。

 ここで書く糖尿病は2型の糖尿病です。自己免疫疾患とも関係ある1型の糖尿病とはすこし違いますのでご了承願います。

 中医学(漢方)でも糖尿病についての認識は一応ありました。ただ、昔(古代)のことですし、当然1型や2型などの分け方などなく、ただ美味しい食べ物(甘いもの、脂っこいもの)ばかり食べていると「消渇」という病気になるという認識はありました。これが糖尿病に近いと考えられています。また、尿に糖が下りている場合、アリが寄ってくるというような記録もあります。昔の人も糖尿病をそれなりに認識していました。
 いずれにしろ、咽が渇く、体が痩せてくる、尿が多い、食欲がありすぎる、など症状的な分析をもとに生薬が組み立てられており、治療が行われてきました。

 その後、科学技術が発展してくると、生薬単体で血糖値を下げることができることも分かってきました。私も大学病院にいた頃、ラットを使って実験もしましたが、確かに微力ながらも血糖値を下げる生薬はあります。ということは、境界型とか言われる初期の患者さんにとっては、これは朗報で、様々な中成薬(生薬処方をベースにしたカプセル・錠剤)なども中国では開発されてきています。

 ただ、中国で販売されているこうした中成薬には、西洋医学の成分が人為的に混入されていることがあり、あの有名な「消渇丸」でさえダオニールが加えられていますので、医師の指導の下で服用しなくては、低血糖などの副作用が出てくる可能性がかねてから指摘されています。というわけで、私はまず臨床で使いません。

 また、血糖値を生薬で下げることができるといっても、サプリメントのようにその生薬ばかりを服用したよいというものではなく、例えば体を温める生薬とか冷やす生薬とかその生薬の性質とそのときの患者さんの体調に合わせて考えないといけないのです。
 そこが微妙な問題に見えますが、そのために我々医師は様々な処方を研究することになるのです。やはり、処方全体の総合的な働きが中医学(漢方)では非常に大切だと思います。

 そして、中医学を使って2型糖尿病の治療を行う場合、患者さんとの協力が不可欠です。時々「私は漢方を飲んでいるから大丈夫だ!」といって相変わらずガツガツ食べている方を見かけますが、それではいくら我々ががんばっても効果はみられません。医師の方も、患者さんと戦うつもりでないといけないのです。でも逆にそれが実行できると、一定の効果は期待できます。

 さらに忘れてはならないのは、我々がいま中国・上海で生活しているという点です。私もこのブログにも現代の中華料理がメタボ食であることを幾度となく紹介してきました。
 これはなにも私の認識ではなく、中国政府の衛生部も最近懸念し始めています。ましてや、日本にいるころ日頃あまり脂っこいものを食べていなかったはずの日本人です。揚げ物といってもせいぜい天ぷらやトンカツ程度でしょう。
 こうした日常の急な食の変化に、コントロールを逸してしまっている方も少なくありません。従って、まず会社のお昼などで出てくる食事から改善しないと、話ははじまらないことになります。上海料理の中でのコントロールです。これはかなり難しいですが、医師の側も中国の中華料理の実態についてある程度熟知しなくてはいけないと思います。

 ちなみに、上海も貧しかった頃はものすごく粗食でした。そういった話は私の義母・義父から聞くとよく分かります。交通が不便でしたので、歩くしか仕方がありませんでした。そうした時代背景が、今の上海の平均余命80歳以上という長寿都市を形成しているのだと私は思います。でも、マイカーやタクシーが普及し、ファーストフードを含むさまざまな外食産業ができてた昨今、西洋のメタボと同じようなことが発生してきます。

 やせ気味の方でも血糖値にはご注意ください。痩せているから糖尿病と関係ないのではなく、日本人の場合、むしろ痩せている糖尿病の方が少なくないというデータがあるぐらいです。

 いずれにしろ、中医学(漢方)の生薬の活用には一定の効果があることは確かです。ウソではありません。でもそれを糖尿病の治療に活用するには、やはり絶対に治すぞ!という医師と患者との決心と努力が必要です。

 中国の中医学での糖尿病治療に関しては、以前日本の雑誌、『中医臨床』で執筆しました。特に合併症の予防に使われることも多いです。

 なお、当然ですが、糖尿病の治療には海外旅行傷害保険は原則適用できませんのでご注意ください。

 以上、ご参考までに。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

ゲロは・・・・・・

 地下鉄2号線の公共広告。新しいバージョンを見ました。

 おなじみの緑豆くんが主人公のものですが、車酔いで吐きそうになったときは、窓から顔を出さず、ちゃんとエチケット袋を使ってください、というようなものでした。

 ただ、アニメでは、緑豆くんが窓に向けて吐いていると、それが後ろで弁当を食べていた人(モンスター?)の中に入るという設定。なんかちょっと無理がありますが、言いたいことは分かります。

 やっぱり、だれが見ても窓の外へむけてやるのはよろしくないわけで、中国のマナールールでもみっともないということが認められているのでしょう。ちょっと安心しました。

 でもよく見ますね。窓から外へむけてする人を。。。

 ちなみに、私がよく使う路線バスには、運転席の後ろぐらいにエチケット袋がぶら下げてありました。でも、その前に、乗客が酔わないような運転を心がけて欲しいです。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類