2009年04月12日

石膏の力

 今日の午後の外来ですが、アトピー性皮膚炎の方が数名いらっしゃいました。

 昔、総合病院に居たときと比べると、アトピー性皮膚炎を治療する機会が非常に増えています。やはり、漢方や中医学からイメージされる方が多いのも原因かと思います。
 でも、数のノルマが課される総合病院では、なかなかじっくりと患者さんの声を聞くことができず、逆に今の方が診察に腰を落ち着けられるようになりました。

 特に、以前の中医薬局では嫌がれた生薬を粉にしたり、炒めたりする「炮製作業」もここではかなり自由にやらせてもらえるため、よりオリジナルに近い処方が再現できていると自負しています。生薬の薬局での加工は、薬効に直接影響してくるため、非常に大切だと私は考えます。

 アトピー性皮膚炎の場合、症状の改善がみられる方もおられる一方、正直に書くと百発百中であることはなかなか難しいこともあります。皮膚疾患は、特に治療結果が明白に出てくるため非常に明快です。そこで日頃さまざまな患者さんから届くメールも分析し、ベストの処方を考察するようにしています。

世紀公園のリンゴの花もいま見頃です


 でも、もちろん患者さんとは時に音信不通になってしまうこともあり、職業柄非常に気になってしまいます。遠くに転勤になってしまった方もおり、もしまだ私のことを覚えておられましたら、ぜひご一報ください。
 もちろん、時には私の力不足も関係あるわけですので、一層研究に力が入ります。

 私の実家では、今は医学生である弟がアトピー性皮膚炎と喘息をもっていました。そんなこともあり、私自身もわりと小さい頃からステロイドなどの言葉には接していました。また、母の苦悩も見てきており、中医学や漢方でどうにかならないかという問題提起はずっとありました。
 結局、弟の場合はそういった中医学や漢方に巡り会うチャンスはあまりなかったのですが、私もこの世界に入り、事の重大性を身に染みて感じるようなったのです。

 前置きが長くなってしまいました。

 アトピー性皮膚炎の治療で欠かせない生薬の一つに石膏があります。特に、皮膚が赤く熱を持っているとき、胃に熱があるときなどは必ず使います。今日は私の生薬コレクションに石膏が見あたらなく、写真がないのですが、外見はほぼ真っ白の石の固まりです。

 ただ、石膏はそれだけ使ってもあまり効果が発揮されません。昔の人は、知母という生薬と一緒に使うことを勧めました。実際、有効成分が沢山でてくるのも知母と石膏の黄金の組み合わせということも現在分かっています。

 生薬で使う石膏は、天然物の場合、硫酸カルシウムを主成分としますが、そのほかに様々なミネラルを含みます。生薬として煎じるときはしっかりと粉々にして、じっくりと煎じます。外用でも使いますが、その場合は加熱して無水の状態にします。

 熱を冷ます力が強く、それが肺・胃の経絡に関係があるので、高熱時の解熱作用や腫れに対する鎮痛作用があるとも言われています。

 この生薬を実際に使ってみて感じるのは、比較的胃に対してもマイルドに働くという点です。さすが、胃の経絡に関係がある生薬です。多いときは60グラムぐらい使いますが、日本の江部 洋一郎先生は、100グラム以上使われます。これには中国の中医師もびっくりでしょう。

 いろいろな「医案集」をみて石膏の使い方を研究すると、医師によってかなり違いがあり、興味深いです。ただ、どの処方でもうまく石膏が応用されており、アトピー性皮膚炎の治療では、ポイントの一つだと思います。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

立ち退き住宅

 いずれにしろ、妻の実家の一戸建ては工業区の開発のため、立ち退きになるので、じゃあ立ち退き住宅を見に行こうと言うことになり、義母に連れられて見に行ってきました。

 立ち退き住宅の分配はかなりややこしく、戸籍に入っているメンバーやその子供、さらに住宅の面積などから考慮されるのですが、敷地面積に関しては関係ないようなので、実質建物の面積がポイントとなります。もともと敷地付きの家に居たのに、交換される条件はマンションというのは、ちょっと不公平のようにも思いますが、一般的にはそのように処理されているそうです。

 さらに、立ち退き後に配給されるマンションに関しても、立ち退きマンション街がすでにあって、そこの中で決めるのですが、どの場所を選べるかは担当官とのコネクションが大切で、日本みたいに抽選とかではありません。上海でも田舎にいけばいくほどその傾向が強いようです。

 外見を見る限り、立ち退き住宅はなかなか立派です。一応フジテックのエレベーターも使われていたし、緑化もまあまあです。

 しかし、そこに入る人は、殆どがもともと農民だったわけですから、農民の生活をいきなり高層マンションに持ち込んでも、うまくなじめるはずはありません。そういった意味では、きれいなところに住んだ彼らもかわいそうなものです。

 さらに、土地をなくしてしまった農民の場合、再就職先を見つけるのも大変です。ベジタベの工藤さんが、彼らを再雇用してあげて大いに喜ばれたということを以前書きましたが、農民の暮らしからいきなりサラリーマンになれといっても無茶なわけで、この日見学したマンションでも、マンション内で麻雀部屋を経営したり、1階で飲み物を売ってみたり、現金稼ぎにいろいろ頭をひねっているようです。

 都市化がすすむ上海では、農民たちが活躍できるエリアも年々減ってきています。彼らが気持ちよく再出発できるようにいろいろ政策も行われていますが、高齢化も進んでおり、難しい問題だと思います。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

女性の飲酒と癌の関係

 私は下戸なので、そもそもお酒のことを討論することができません。ただ、一般に少量のお酒なら健康にいいというのは西洋医学でも中医学でも言われていますが、それに対抗するような研究結果がありました。  

 イギリス・ケンブリッジ大学での研究で、アメリカの45歳〜75歳の女性に関して、7年間にわたって調べました。いずれも1日平均コップに1杯以上の何らかのアルコールを摂取していて、多い人では毎日3倍以上摂取しています。

 7年間の調査で、120万人中、6.9万人で様々な種類の癌の発生が確認されたというのです。さらに、分析をしていくと、お酒の飲む量が多い女性ほど、癌になる確率が高まり、1杯のお酒を飲むことで、毎年平均10000人中11人が乳ガンとなり、その他の癌の発生率も高まるというもの。大腸癌・肝臓癌なども増加します。

 このレポートでは、お酒が女性にもたらすメリットよりも、害の方が大きいというような書き方をしていますが、果たして現実にそうなのか?

 男性に対しての調査を行っていないので、実際の比較にはなっていませんが、実際、どの程度の影響があるのか知りたいものです。

 ちなみに、我が家では妻も下戸なので、果たして娘がどうなるのかちょっと楽しみです。

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posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類