2009年04月14日

サソリ

 サソリは中医学・漢方の世界では全蝎といいます。

 一般の人からすると意外かもしれませんが、生薬としてサソリを処方することは結構ありますし、実際、顔面部の中風後遺症に使う牽正散など有名処方にもよく登場します。サソリを使用するときは、よくムカデもペアで処方しますが、中医学の整形外科では止痛剤としても使います。場合によっては頑固な偏頭痛の治療でも使います。ただ、そのまま使えるわけではなく、炮製して使います。

 こうした昆虫類の生薬は沢山あり、臨床でもよく使われます。私が医学生だったころ、まだ臨床で患者を診ておられた竜華医院の故胡建華教授も、こうした虫類を巧みにつかった処方を組み立てておられました。江蘇省南通の朱良春教授も虫類生薬の使い手として有名です。
 胡教授の場合、神経内科の分野である顔面神経麻痺やてんかんの治療にも中医薬を積極的に導入なさり、てんかんの症例討論会では、西洋医学の薬を徐々に減らし、最後は中医学だけでてんかんの発生を抑えた症例を耳にしてびっくりしたものです。

 粉にして服用する場合は1グラム未満、煎じる場合でも5グラム未満とされています。毒がある生薬だけに、量の加減には細心の注意をはらいます。
 

 となると、最近、元気が出るとか言ってサソリを料理で出すところがあったりしますが、これは根本的な間違いといっていいでしょう。

 サソリには朝鮮人参や冬虫夏草のような体を補う作用はありません。逆に、大量に食べたりすると副作用が出てきます。代表的な副作用としては、血圧が急に下がったり、チアノーゼになったり、呼吸困難を起すこともあります。もちろん、規定の量を使っておればまず問題はありません。

 料理で出されるサソリは、とくに薬用と違って殺菌されたりすることがないので、様々な雑菌も心配されます。中医学や漢方で使われる生薬とは違うという認識が必要です。薬膳と治療とは、まったく目的が違うということを我々も知っておく必要があると思います。

 その薬用のサソリですが、中国では乱獲と環境破壊でその数を減らしてきています。さらに、養殖が難しく、まだ養殖だけで必要なサソリの量はまかなえないという話も聞きました。

 環境破壊の爪痕は、こんなところにも出てきているのです。

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posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

ナンキンと糖尿病の微妙な関係

 うちの事務所にも若干一名30代の糖尿病の社員がいますが、中医薬も上手に活用しながら、血糖値のコントロールはまずまずのようです。食事制限も弁当持参でがんばっています。
 I型の糖尿病ではインシュリンは欠かせませんが、U型糖尿病の初期の段階だったら、まだ食事+運動+中医薬(漢方)の組み合わせて一定の効果があることは分かっています。

 私も、治療に来られている方を診ておりますが、高かった血圧も正常に戻り、高脂血症の指標も正常になりました。後はやや高い血糖値のコントロールが正常に戻れば、私の初期の任務はほぼ完了ですが、でも油断ができないのでいろいろ対策を練っています。

 そんなとき、私も時々「糖尿病の人がナンキンを食べてもいいのですか?」という質問を日本人・中国人に限らず受けるのですが、実は決してナンキンをたくさんたべてもいいというわけではないので注意が必要です。

 ナンキンは確かに栄養価も高く、中医学のバイブルでもある『本草綱目』でも取り上げられるほどで、中医学ではなんと体を補ってくれる部類に入り、特に肝・心・肺にいいとされています。もちろん薬膳の食材にも使われます。

  ナンキンには確かにPumpkin Polysaccharideなど血糖値を下げる成分があり、動物実験でもその効果が認められています。しかし、実際には多く食べてもいというわけではないのです。

 その理由として、ナンキンは一般的には高GI食品と呼ばれていることと関係があると思います。GI値(糖化指数)によって、炭水化物が糖分に変化する速さを示しますが、この値が比較的高いのです。

 でもナンキンのいいところは、血糖負荷値と呼ばれるGL値が低いという点です。この値は、GI値と炭水化物含有量をかけて算出しますので、ナンキンの炭水化物が相対的に少ないということになります。GL値に関して言えば、白いご飯の8分の1程度です。

 もちろん、ナンキンの熟し方によって栄養成分は変化するでしょうが、GL値が低いということは、糖尿病の方にも朗報で、食べる量さえコントロールすれば比較的満腹感を得られるというメリットもあります。

 幸い、中華料理でもナンキンはよく使いますし、上海の市場で売られているナンキンもなかなかいけます。私の妻もナンキンの煮付けを覚えました。中華では炒めることが多いのですが、やはり煮付けて食べたいですね。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

ほこりも吹っ飛ばせ

 昨夜は疲れが溜まったのか、晩ご飯を食べると久しぶりに強烈な眠気が襲い、バタンキュー状態でした。とはいえ、娘のお風呂があるので、妻に叩きおこされ眠たい眼を擦りながら最後のパワーを振り絞りました。

 昨夜の上海は風が非常に強く、ブロアーでゴミを吹き飛ばしてくれるような快感ですごく気持ちよかった。上海の空気は、たまにこうやって大風が吹かないと、ほこちやチリが吹っ飛んでくれません。

 で、今朝は青空を期待したのですが、朝起きて外を見上げるとガスがでてちっとも青空がありません。今日はこれから天気は回復傾向に向かうようなので、期待しましょう!

 昨日は弁当を家に忘れてしまって難儀しました。今日は気をつけないと。

 いま地下鉄2号線の冷房が強烈で、まるで冷蔵庫に入っているようです。地下鉄に乗るとき(特に国産新型車両に乗るとき)は、防寒対策を!冗談じゃないですよ。

上海科技館前の空、もう夜なのですがライトアップの光の影響ですね
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

実行されない罰金制度

 上海市が市民のマナー向上のため、5月から、上海でもゴミのポイ捨てに最高200元の罰金を始めるそうですが、私の記憶からも実はもっと昔からあったハズなんです。


 で、うちのサイトで検索してみると、生活ゴミを投棄すると罰金最高200元、7月1日より新規定の記事もあるように、2003年4月24日にから上海市ではゴミ捨ての罰金制度はありましたし、もっとさかのぼると2001年11月14日にも『上海市市容環境衛生管理条例』が定められて、ゴミのポイ捨てをした場合、最高100元の罰金でした。

 というわけで、今回の改訂というのは、そもそもは企業がゴミを捨てた場合の罰金額を最高3000元から最高5万元に引き上げるのがポイントだったようで、個人に関しては前から罰金がありました。

 我々は上海で日常生活をおくっていても、この制度にほとんど気がつかないわけで、それだけゴミをポイ捨てしたときの罰金制度が浸透していないということになります。上海人もほとんど知らないのだと思います。

 新聞報道でも、上海市内では過去6年間に罰則は1回も行われなかったということなので、はっきり言って全然効果がないということになります。

 その背景には上海ならではの事情もあると指摘されています。まず、罰金制度を実施しても、実際に罰金を支払うまでの手続きが煩雑すぎて、一筋縄には行かないという点。さらに罰金が証明されても、その罰金を支払いに律儀に関係機関にやってくる市民はまずいないそうです。
 なによりも、この罰金制度自体を市民が理解していないので、罰則を受けることに市民が納得しないという点もあります。これでイザコザをやっている姿が想像できます。
 さらに、貧困などの経済的な問題で、一部粗大ゴミなどを現実問題として有料で処理できないという問題もあります。

 日本のようにルールだからといえば解決してしまう国と、ルールがあっても実際には実行できないことが多いのが中国のルール。
 ここでは理論とロジックをいくら言っても、「だからそれでどうしたの?」と言われてしまうと、どうしようもないことがまだまだあります。
 そうした中でも、物事をうまく進めていくのが逆に中国の醍醐味かもしれませんが、トラブルがあったら厄介なのです。



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posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

中国の結婚式費用分担

 先日、中国人との国際結婚を控えた親御様からご質問のメールをいただきました。これから中国人との国際結婚を考えてられる方へご参考になればと思い、私の経験を記録しておきます。

 結婚の費用負担に関しては、地方によってカラーがあるのも事実ですが、うちの場合、妻は生粋の上海人(浙江省とか江蘇省からの移民系ではない)なので、いろいろ異なる点があるかもしれません。ただ、中国で式を挙げ、日本では挙げていないので、すべて中国の風習にならって行いました。

 我が家の場合、結婚式は2回やっています。

 第1回目は和平飯店、第2回目は上海大厦です。式の様子は、上記の記事をご覧ください。

 ここで式を2回しているところからも分かるように、うちの場合は小さい会場を借りて、日本人向け(私関係)と中国人向け(妻関係)に分けてました。お互い結婚式に対する文化が違うので、そのための配慮でもありますが、普通は1回で十分だと思います。

 結婚式が1回の場合、お昼に関係者が集まって食事をするのですが、その費用は一般的に新婦が負担します。そして、夜の食事(いわゆる結婚式の披露宴)では新郎が負担することが多いようです。

 ただ、ここで言う「費用の負担」という書き方には、ご祝儀は費用の負担する側が受け取るという暗黙の了解があります。つまり、私の場合、日本人向けの結婚式でいただいたお祝儀とお礼は私が処理し、中国人向けの結婚式でいただいたお祝儀とお礼は妻が処理しました。中国人向けの場合、お礼はチョコレートだけで、日本のやり方とは大きく違い、日本人へのお礼は場合によっては別に考えた方が良さそうです。

 そのほか、新婦側は、新居におく家財道具などを購入することが多いようです。例えば、新婚用のお布団なども買うことがあります。このあたり、日本の文化とも似ていますね。花嫁衣装なども新婦が準備しますが、場合によっては新郎の衣装も準備することがあるようです。

 一方で、新郎側は家を準備しなくてはいけません。私の場合は、結婚するかなり前にマンションを買っていたので、もともと独身用だったマンションを急遽結婚用のマンションに変更しました。(笑)

 日本だったら会費制にする結婚式も多いと聞きます。しかし、中国の場合、会費制というより親しい友達同士でお互い様といような考え方が多いように思います。

 私も2007年〜2008年にかけて本当に多くの友達の結婚式に参加しました。そのときに、親しい度に合わせてお祝儀を包むわけですが、今度は自分の結婚式にも彼らを招待し、お互い様というようなスタンスをとります。そのため、過去にいくらいただいていくら包んだか、という記録はしっかりと妻も保存しておりました。

 あくまでも参考例ですが、日本と比べるとかなり格式ばっていないというのが中国での結婚でして、とまどわれる方も多いのではないかと思います。

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posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類