2009年06月16日

夏はあっさりだけではダメ

 上海の猛暑で毎年体調を壊す方が少なくありません。あまりにも暑くて、体が言うことをきいてくれないのです。

 夏になると、日本ではスタミナをつけるために「焼き肉」などを食べる人が多いですが、中国では「清淡」な料理、すなわちあっさりしたものを食べることを強調するようになります。 極端な人は、それこそ日頃あれだけ食べていた肉類などのタンパク質を一切食べないようになる人もいるぐらいです。

 といっても、夏に体を「補」ことをしないのも間違っています。夏に補うことを「清補」と中医学で表現することもあります。これは、冬場の「補」と違って、スタミナをつけるとともに、解熱と暑気払いできる食べ物を同時に摂取することを示します。

 ここは、中国式と日本式をドッキングさせるやり方がよさそうです。

 特に、高齢者になると、夏場は舌の味蕾が衰え、味覚が鈍くなってしまい、食欲が衰えてします。そこで、あっさりとしたものを食べすぎると、さらに食欲が落ちてしまうという悪循環にもなっていまいます。元気をつける目的以外にも、抵抗力をつけるために適度なタンパク質と脂肪を摂取することが必要です。

 おすすめの食材としては、冬瓜や西瓜、ヘチマ、苦瓜、ひょうたん、セロリ、ニンジン、キュウリ、キクラゲ、トマトなどが中国では喜ばれます。やはり瓜類が多いですね。

 この時期に来られる患者さんには、私はよく「薬膳というほどではないですが、麦茶にちょっと工夫」に書きましたように、佩蘭(フジバカマ・蘭草)を処方するようにもしています。
 上海では、民間で真夏のお茶代わりに佩蘭を使いますが、医療の世界でも藿香(カッコウ)と一緒に使うことが多いです。

 だからといって、瓜類を食べるすぎるのも、胃腸を冷やしてしまい、陽気が傷つき、「湿」が体に滞っていまいます。油物を摂取しすぎると、胃腸の負担が増大し、そのために血液が消化器に相対的に増加、大脳への血液が減って疲労感が増します。


  一方で、夏場で体が弱っている時にむやみにスタミナをつけすぎるのも問題があります。補いすぎると、「火熱」が体内で発生し、熱の解消にさらに時間が発生します。

 ということで、何でもホドホドに「中庸」を心がけてください、というのが中医学の古人たちの教えです。
 そんな原因からでしょうか、中医学に携わっている人の先輩諸氏は、実に気性も穏やかになってしまいます。ガツガツしても仕方がないんです。私も見習います。

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posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

新型インフルエンザ、中医学の動向

 新型インフルエンザの治療ですが、中国の中医学では第一線でタミフルなどと併用されています。SARSの時の教訓を受けて、なるべく早く中医学を導入する方針で中国国家中医薬管理局が力を入れています。この点には私も注目しています。

 臨床現場からの報告などを見ると、中医学を使うことで、新型インフルエンザによる解熱や咳止め、便秘などの治療に力を発揮しているようです。特に、咳がひどい場合が少なくなく、30歳以下の場合、症状がかなり重篤かしやすい傾向があることも分かってきました。一方で、45歳以上に関してはやはり軽くすむようです。

 西洋医学的に中医学を使う場合、ウイルスに効果のある生薬を選び出し、例えばタミフルのように服用するのが一般的ですが、中医学そのものの理論から中医学を用いる場合、咽の痛みやかゆみ、咳や便の状況によって処方を組み立てます。このうち、中医学の温病学で出てくる桑菊飲や麻黄杏仁石膏甘草湯、柴葛解肌湯などが北京市の発表した治療案の中に記載されていて、北京などでは実際に使われています。

 

 さらに、新型インフルエンザでは、悪寒よりも発熱がきつい場合が多い傾向にあることも分かってきました。また、臨床では中医学の感冒治療でも重視される汗法をいかに上手く使えるかもポイントのようでした。

 この場合、ダラダラと流れる汗ではなく、じわっと出てくる汗がポイントで、これが解熱に大きな作用をしてくれます。

 ウイルスがタミフルに対して耐薬性を示さないようにするためにも、軽い症状に対しては、まずはできる限り中医学で治療し、その後に西洋医学の導入を考え、重い症状に対しては、西洋医学と中医学の併用を行うべきだという中国の専門家の意見が出されているのも、注目されています。

 WHOは、今回の新型インフルエンザは1〜2年間は流行すると見ているようですし、上海のように高温多湿になっても15℃〜25℃の間であれば、伝染力に関しては大きな違いがないという専門家もいます。ただ、温度が一気に高くなれば、自然に消滅する可能性も高いようです。(復旦大学のウイルス専門家談)

 

 そのほか、アメリカなどで感染者がなかなか減らないにも、夏場になって、人々の活動がますます活発になり、感染するリスクが高まるのも関係有るという指摘もあります。

 もちろん、過剰反応する必要はないのですが、動向には注意していきたいと思っています。

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