2009年09月05日

越後長野温泉嵐渓荘

 やっとネット環境が充実している下界まで下りてきました。秘湯の宿というのは、電波状況がよくないところが多く、ネットや携帯電話が使いにくいというのは日本ではまだまだ多いです。それだからこそ秘湯の宿なのでしょうね。

 温泉学会も無事1日目が終了しました。今回のテーマは『利用者から見た「温泉資源の保護」』という今日本の温泉が直面している大きな問題でした。

 ここ数年、日本では日帰り入浴施設が急増し、温泉が我々にとっても非常に身近な存在になりました。平地や大都市でも温泉に入ることができるようになりました。その背景にあるのが深さ500メートル以上掘削して温泉を出していくる「大深度掘削」の拡大です。

 日本で初めて大深度掘削により温泉を出したのが、1988年の尾瀬温泉からだそうで、それ以来各地にひろがりました。しかし、もともと温泉がないところに温泉を強引に出してきたわけで、このことに関して、今学会でも環境省の担当者から『温泉資源の保護に関するガイドライン』などの説明がありましたが、まだまだ根本的な問題に関しては十分な規制がないようにも思いました。

 個人的には、大深度掘削のように地球を傷つけてまで温泉を出してくることには私はあまり賛成できません。まったくの自然湧出ならともかく、無理してまで温泉を地表に出してきて、さらに不思議なのはそうした大深度掘削によって出てきた温泉の所有者は「個人」でして、そうした温泉の基礎情報公開に関しても、「個人プライバシー」によって守られていて、多くがベールに包まれています。

 日本の貴重な温泉資源は、無尽蔵ではありません。「源泉掛け流し」がちやほやされているなか、温泉資源の保護は、今すぐにも取り組まなければ行けない大問題で、掘削して吸い上げるというのは私は言語道断だと思います。確かに、お金は儲かるかもしれませんが。。。。

 さて、大河ドラマ「天地人」で一躍人気が出てきた新潟県。今回は、ここの越後長野温泉「嵐渓荘」に1泊しています。

 以前、雪深い冬に宿泊したことがあるのですが、夏は初めてです。かなり山奥で、交通アクセ鵜が不便と思いきや、新幹線の燕三条までの送迎バスなどがあるので、今ではそう大変ではありません。

 

 ここの温泉のお勧めは、やはり「山の湯」。

 「山の湯」には石湯と深湯があり、どちらも貸し切り風呂として予約できるので、ゆっくりと入浴できます。泉質は食塩泉。温泉水でおかゆにしてもおいしいぐらいで、冷鉱泉なので加熱されていますが、源泉がそのまま使われていました。

 露天風呂にはリスが出てきたりします。

 宿泊施設は大きく分けて2タイプあり、鉄筋コンクリートで作られている渓流館と大正時代の料亭を移築した緑風館がありますが、お勧めはやはり緑風館。

 緑風館にはムササビも住んでいて、深夜ごそごそしますが、それもご愛敬です。

 ここの源泉は、昔、東京の薬局で患者さん用に発売されていたというほどのもので、胃腸病や婦人病、皮膚病などに効果があると言われていました。

 温泉が昔から病気の治療に効果があると言われているのに、まだまだ日本の政府はその活用に本腰をいれていませんね。何百年とある古代日本人の経験をないがしろにして、レジャーとしての温泉のみが強調されている現代に、すこしがっかりします。
 
 そしたものを見つけ出すことが、我々伝統医学に携わっているものにとっては使命だと思っています。

中国ブログランキングへ
日本の温泉の源泉の現状にもっと関心を!
中国関連ブログランキングへ
 


温泉にあがった後、休める空間が嬉しいです
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類