2009年09月15日

農民を羨む上海人

 上海のきらめく街は、確かに魅力的です。中国各地だけでなく、いまや世界各地から人材が集り、モノもあふれています。そうした街で仕事・生活している、いわば新卒大学生からすれば「憧れ」の上海人のホワイトカラーたちですが、その実体は決して満足できるものではない、という調査データが、私の母校でもある上海中医薬大学の研究グループが発表しています。

 たった数年で人口2000万人を越える大都市になった上海ですが、その根底に抱える健康問題と仕事継続との関係の難しさを浮き彫りにしています。

 この調査では、調査したホワイトカラーの8割が、自分たちの生活が農村にいる人たちの生活内容に及ばず、さらに58%がそうした農民たちの朝起きて田んぼにでて、夕方には家に帰ってくる生活にあこがれていると答えています。

 その最大の理由が、そうした農村には大気汚染や電磁波などによる汚染がないから、と答えています。さらに、43%の人たちが、農民たちと同じように毎日3食を規則正しく食べたいと願っているようです。

 私は、こうやってほぼ決まった時間に3食をいただけていますが、そうした人たちが実は意外とこの上海では少ないという実体も明らかになっています。

 まず50%のホワイトカラーが朝食をきちんととっていないということも分かりました。昼食に関しても10%が1時以降に食べ始めていて、さらに42%が晩ご飯をちゃんとした時間に食べられていないと答えています。

 さらに、仕事が忙しすぎて、健康に関する意識が極めて低いということも分かりました。ろくに食事をする時間もない生活をおくっていて、自分の健康なんてかまってられない、と答えた人が56%。それでいて、いつ病気になってもおかしくないと思っている人が68%。そして、15%は病気になっても医者にかかる必要はないと考えているようです。

 以前も、私はこのブログで、街ゆく上海人の心が一部で病んでいると書いたことがありますが、今は心だけでなく、体も病んでしまう状態になってきつつあるというのは容易に想像できますね。

 会議が長引いてしまって、食事ができなくなり、その結果、週に2〜3回もお昼をインスタントラーメンやパンなどで適当に食事を済ましてしまうホワイトカラーが少なくないという事実。また、オフィス内に食べ物のニオイが充満するのを嫌う職場では、弁当持参を禁止しているところも多いと聞きます。それは気の毒です。

 少なくとも、うちの事務所は私自身がせっせと弁当を持って行っている関係もあるかもしれませんが、じつに半数以上が弁当持参になっています。
 お金の節約のためにもやはり弁当は欠かせないと思います。私は大賛成ですし、私も毎朝せっせと弁当を詰め込むことは習慣になりました。

 体が健康であれば、何でもできます。20年後、30年後の私の夢を実現するためにも、そして愛しい娘・妻のためにもまずは元気でいなくてはと思う今日この頃です。

 しかし、こうしてみてみると、上海ではここ数年後、日本よりはるかに速いペースで健康に関するビジネスが注目を集めてくることだろうと思います。
 中国人も、中国伝統医学や漢方医学に関して、もう少し時間が経てば感心を持ってくれるのではないかと期待しています。その前に、過労死とメタボの問題が深刻になるでしょうね。

 今や私の周りの中国人を見ても、サラリーマンやOLとして人の下で働く上海人にとって、お金稼ぎよりももっと大切なモノをほしいと思う人が少なくないように思います。

中国ブログランキングへ
ビジネスも基本は健康からだと
中国関連ブログランキングへ 

posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

新型インフル予防接種、上海では9月頃から

 新型インフルエンザ対策として、中国政府は予防接種の準備に取りかかっていますが、北京・上海・広東では、9月中旬には新型インフルエンザの中国国産ワクチンが入ってくるということです。といっても、まだ具体的な接種に関するタイムスケジュールは発表されておりません。

 これまで、中国で製造された新型インフルエンザのワクチンで、泰州のボランティア約2200人が6週以内にこのワクチンの接種を受け、抗体が陽性になった人は第2回目の接種段階で97%を越えたと言うことです。また、接種を受けた人の一部で微熱が見られた程度で、特に副作用はなかったと報告されています。

 このワクチンの臨床試験は2ヶ月にわたって行われ、国産ワクチンも安全性に関しては問題ないこともわかったとしています。

 一方で、上海市では小中学校での新型インフルエンザ対策を強化しました。これまでの家庭での検温のほかに、学校でも朝での機械による体温チェックをし始めています。

 新型インフルエンザ患者の治療について、上海市では3つの収容場所を決めていて、1.家庭での隔離治療、2.定点病院での治療、3.三級総合病院での治療、と分類されています。特に、3.に関しては重症の患者を収容することになります。

 2.の定点病院での治療では、呼吸器疾患を治療するための施設があり、伝染病にも対応できるというのが条件です。さらに、必要な時は政府の命令で、ホテルや学校などにも隔離治療することがあるとしています。

 上海では、現在1例の新型インフルエンザの重症患者が松江の第一人民医院にいますが、意識は戻りました。一時期、非常に危険な状態であったのですが、生命への危険はとりあえずなくなったと報道されています。

地下鉄での人の流れは変わらず、マスクをしている人を時々見かけます


 さて、企業に関して、勤めている人が新型インフルエンザに感染した疑いがあったり、感染者と密接に接触して隔離されてしまった場合で、後に感染していないことが確認された場合の給与について、上海市労働部門ではSARSの時の規定を使って、給与・福利などの待遇は、出勤と同じ扱いにすることを表明しています。

 一方で、新型インフルエンザに感染したと確認され、さらに隔離治療された場合、期間中の給与は、病欠扱いになるということです。

 上海の小中学校・大学では、欠席者の数を毎日、インフルエンザの流行の有無にかかわらず、上海市教育委員会に報告する制度もスタートしています。欠席の理由も、37.5℃以上の発熱、季節性インフルエンザ、新型インフルエンザと細分化されて、その日の午後16時までに報告されることになりました。

 幼稚園では、父兄が送り迎えすることになりますが、父兄の教室までの送り迎えをやめ、門までの送迎にすることを教育委員会が通知を出しています。感染するリスクを下げるための処置ということです。

 確かに新型インフルエンザは毒性は低いインフルエンザですが、上海市政府がどのように対策を講じていくのか、今後も注目していきたいと思っています。

中国ブログランキングへ
中医薬、麻黄湯の次に出てくるものは何か?
中国関連ブログランキングへ 

posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類