2009年10月25日

農民も出稼ぎ度労働者が

 上海近郊の農家を訪れたとき、数年前と比較しても大きな変化を感じるごとがあります。それは、農民の中に、外来人口が急増しているということです。
 私の身近なところでは、妻の実家ももともとは農家で、土地と家があったのですが、今では地方からの出稼ぎ労働者に貸し出し、妻の祖父母は上海市内に移り住み、多少なりとも家賃収入があります。

 このような現象が上海各地で見られます。

 地方からの流入者が上海の農村エリアに入ってくると、村の様子が大きく変わってしまうのは、私は間違いないと思っています。例えば、外来人口の増大で村にゴミが増える、畑の管理が乱雑になるなどなど、その村の荒廃が進むと言っても過言ではありません。

 上海市の調査でも、今や上海の農村エリアで働く出稼ぎ労働者の数は9万人にもなっています。実際にはもっと多いはずです。
 その一方で、小作料ともいえる、彼らが地主である上海人農民に支払う農地の地代は年々上昇し、そのために生産性をあげなければならず、出稼ぎ農民たちは農薬など有害物質を平気で使うようになるという悪循環になってしまいます。

 さらに、地元農民の減少は、上海市の自給率低下を導きます。例えば、野菜などに関しては、上海市内で自給できる量は全体の50%しかありません。
 そのために、多くの野菜は、他の省などから輸送されており、これが野菜価格の上昇を招いています。さらに、こうした市内での農作物の自給率の低下が、上海に輸送される野菜の安全性に影響を与えているとしています。これは政府の報告書に書かれていたのですが、一理ありますよね。

 例えば、市内に入ってくる道路のうち、野菜の輸送用として決められている8カ所の道路については24時間の監督・検査が行われているのに、実際にはこれ以上の道路が上海とつながっていて、のこり30カ所の道路については検査はなく、果たして市外から市内に運ばれてくる食品が本当に安全であるのか?という問題に繋がってきます。

 さらに追い打ちをかけているのが、市内の自由市場の出店料の相次ぐ値上げです。市場で野菜を売る小売業者が、管理された市場の中で商売できなくなって、今度が道路などに流出、勝手にに路上で売買するようになります。
 当然、彼らは監視もされないわけですから、農薬などの問題もお構いなしになってしまいます。

 懸案となっていた『中華人民共和国食品安全法』が施行されてもうすぐで半年になります。そして、その成果を確認する作業が上海市政府でも行われています。
 ここでやはり問題となっているのは、外来農民たちの意識の問題です。農民での出稼ぎ労働者たちの多くは、そんな食品の安全問題への関心よりもむしろ「カネ」が大切なわけで、挙げ句の果てには自分の家での野菜と市場に出す分を分け、市場用の野菜は食卓にならばないようにしているぐらいです。いまだに毒性の高い農薬が使われているのも、そうした背景と深く関係があります。

 そりゃそうですよね。他人の土地で、しかも地方から一時的に出稼ぎに来て上海で農作物を作っていた場合、結局だれも管理をしていなければ、やりたい放題になってしまう可能性が高いわけです。

 日本でも一部農家で自分のところ用と販売用で作るモノを分けているところがすくなくありません。上海でもまさにそういう現象となってしまっています。

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食の安全、もうすこしどうにかしてほしいと願っています。
都市化は結構ですが、それにともなう弊害も大きいわけです。
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posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

2009年10月24日

ワクチン接種を受けさせるかどうか

 先週は本当に色々なことがありました。
 沢山の新しい知り合いもできましたし、2010年中盤以降の予定もそろそろ入ってきました。2010年は公私ともにどうやらかなり忙しくなりそうです。キャリアアップできるチャンスですね。がんばります。

 先週末は上海日本人医師会の会食が古北エリアにあるイタリア家庭料理の店、ビストロ フィオーレ(古羊路473号)であり、今回も上海でご活躍されている日本人の先生方14人ほどが集りました。今回は上海ファミリークリニックの小林先生が幹事をしてくださいました。さらに、前回の会食でこられていなかったグリーンクリニックの先生方ともお会いできました。ありがとうございました。

 そういえば最近、古北第2期エリアに行くことが多く、先日もこの近くの台湾系の拉麺専門店にご招待されたのですが、ほんと、中国にいることを忘れてしまうような場所です。中国語ができなくても、日本語と英語でどうにかなりという環境はなんか不思議な話です。

 その中で話題となったテーマの一つに、新型インフルエンザのワクチンを接種するかしないか?というお話です。医療関係者は、当局から接種するように通知が出ていて、順次接種が行われているのですが、この問題に関して、上海人はかなり敏感です。

 敏感な理由はいくつか考えられるのですが、やはり最大の障壁は、中国国産の新型インフルエンザワクチンに対して、その信用性がまだ確立されていないのが本音なのではないでしょうか。

 中国衛生部では、日本なんかよりもずっとはやく新型インフルエンザのワクチンの研究および製造を行っていて、すでに3歳以上の1000人を対象とした臨床試験を行い、基本的に問題はないと報告しています。

娘の近影。ひさしぶりに公園に連れて行きました。


 そして、衛生部の最近の発表をみると、すでに30万人が予防接種を済ませ、このうち150人で新型インフルエンザが関係するとみられる副作用的な反応があったとしています。その主な症状ですが、接種後1時間以内に発熱やだるさ、頭痛、喉の痛み、関節の痛み、食欲不振、下痢、アレルギーなどの軽い症状が見られたようです。

 上海市では、感染するリスクが高いとみられる人たちを対象に、無料で新型インフルエンザの予防接種を行う方針で、この中に小中学生も含まれています。国内で製造されたワクチンが使われ、こうしたワクチンは国で一括して管理されています。今の段階では、国の管理以外の分は市井に出てこないはずです。
 また、当面は海外製の新型インフルエンザワクチンは使わない、というのが中国の方針です。

 無料接種とはいえ、強制接種ではないので、新型インフルエンザ接種時には、18歳未満の子供に対しては親の同意書へのサインが必要です。この段階で、子供に接種させたくない上海人の親御さんでは、拒否してしまうケースがすくなくないということです。

 もともと上海では季節性インフルエンザの予防接種を受ける人も少ないのが現状です。以前のブログにも私が書きましたが、予防摂取率が1パーセント未満という報告もありました。日本と違って、その必要性がまだ十分に認識されていない点も考慮する必要があるように思います。

 さらに最近の上海市での報道をみても、ある市内の中学校ではたった三分の一程度の教師・学生しか新型インフルエンザの予防接種を受けたいという意思表示をしたということです。
 予防接種の量産体制も大切ですが、上海ではどうやら、どうやって市民の意識を高めてもらうかのほうが大変なようです。


秋です。最近、世紀公園でランニングしている日本人のグループをよく見かけます。


 ちなみに、中国では新型インフルエンザのワクチン接種に関して、3歳以下の子供や妊婦・妊娠を考えている人・母乳を与えている人に関して、ワクチン接種の対象から外しています。

 うちの娘もまだ1歳なので、対象外です。。。

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インフルエンザのワクチン問題は複雑です
まずは精神的・肉体的に元気でいることが基本です。
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posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

2009年10月23日

上海人の子供のアトピー

 昨日ダウンロードしたWindows 7のVAIO Pへのインストールの夜から作業をしていましたが、途中で力尽きて私がダウン。これでは仕事にならないので、深夜起き出して作業再開です。

 クリーンインストールをしていますが、今のところ順調です。
 ソフトウエアの再インストールまできましたが、かなりパソコンが快適に反応してくれています。Aeroをonの状態でもそうですので、まずは使えそう!という第一印象です。

 でも。。。Windows7もあまり売れなかったりして。だって、インストールするのがめんどくさい。将来、インターネットに接続するだけでいつでも自分のパソコンの中身が再現されるようなシステムがあれば、こうしたインストールの無駄な時間を使わなくてもすむのに、とか思ってしまいました。
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 実は、昨夜は、妻の親戚の上海人の子供の皮膚の調子がよくなく、何があってもみにきて欲しいという依頼があり、出かけてきました。小学3年生の女の子です。

 古北に住んでいて、古北U期にマンションを3軒持っているいわゆる典型的な富裕層。会社を経営されていて、このお子さんも市内の有名な2カ国語教育の学校に通わせています。

 秋に入って、上海も乾燥の時期に突入していますが、中医学でも燥邪がウヨウヨしている時期だけに、肌のケアが大変です。特に、もともと肌のバリアが少ないアトピーの人は要注意です。

 3歳からアトピーを抱えているこの女の子も又然り。家庭が恵まれていて知り合いなどを通じて、西洋医学はもちろん、上海の有名な中医学の先生のところを沢山訪ねているのですが、それでも良くならず。そこで、私にも診て欲しいと言うことでした。

 日本人の間では、すっかりアトピーという言葉がお馴染みになっていますが、中国ではまだこの上海ですら認識があまりありません。私も、大学病院にいたころはまだ地元上海人の患者さんでアトピーで来られた方はまだまだ少なかったです。

 しかし、最近はそうでもないらしい。

 この女の子のクラスでも、小学校では1クラス20人ほどだそうですが、少なくとも3人がかなりひどいアトピーだそうです。上海でも喘息も含めて、そうした疾患をもつ子供たちが増え始めています。これは間違いなさそうです。

 とりあえず、今回は生薬軟膏と食事・生活面でのアドバイスをして、1週間後に診察することを約束しましたが、なんとか良くなって欲しいと思っています。

 こうしたアトピーなどの皮膚疾患は、上海のお父さん・お母さんの間でもまだまだ馴染みが薄く、一つ一つ丁寧に説明してあげる必要があるのです。上海でも日本の数十年前と同じような現象が起きつつあることをつくづく感じます。

 水道水の問題、大気汚染の問題、そして食品安全の問題。。。。それぞれが疾患となんらかの関係があるわけで、住みにくい世の中になったものです。

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改めて自然環境の大切さを実感
結局、ラクして健康は手に入らないのです。努力あるのみですね。
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posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類