私の身近なところでは、妻の実家ももともとは農家で、土地と家があったのですが、今では地方からの出稼ぎ労働者に貸し出し、妻の祖父母は上海市内に移り住み、多少なりとも家賃収入があります。
このような現象が上海各地で見られます。
地方からの流入者が上海の農村エリアに入ってくると、村の様子が大きく変わってしまうのは、私は間違いないと思っています。例えば、外来人口の増大で村にゴミが増える、畑の管理が乱雑になるなどなど、その村の荒廃が進むと言っても過言ではありません。
上海市の調査でも、今や上海の農村エリアで働く出稼ぎ労働者の数は9万人にもなっています。実際にはもっと多いはずです。
その一方で、小作料ともいえる、彼らが地主である上海人農民に支払う農地の地代は年々上昇し、そのために生産性をあげなければならず、出稼ぎ農民たちは農薬など有害物質を平気で使うようになるという悪循環になってしまいます。
さらに、地元農民の減少は、上海市の自給率低下を導きます。例えば、野菜などに関しては、上海市内で自給できる量は全体の50%しかありません。
そのために、多くの野菜は、他の省などから輸送されており、これが野菜価格の上昇を招いています。さらに、こうした市内での農作物の自給率の低下が、上海に輸送される野菜の安全性に影響を与えているとしています。これは政府の報告書に書かれていたのですが、一理ありますよね。
例えば、市内に入ってくる道路のうち、野菜の輸送用として決められている8カ所の道路については24時間の監督・検査が行われているのに、実際にはこれ以上の道路が上海とつながっていて、のこり30カ所の道路については検査はなく、果たして市外から市内に運ばれてくる食品が本当に安全であるのか?という問題に繋がってきます。
さらに追い打ちをかけているのが、市内の自由市場の出店料の相次ぐ値上げです。市場で野菜を売る小売業者が、管理された市場の中で商売できなくなって、今度が道路などに流出、勝手にに路上で売買するようになります。
当然、彼らは監視もされないわけですから、農薬などの問題もお構いなしになってしまいます。
懸案となっていた『中華人民共和国食品安全法』が施行されてもうすぐで半年になります。そして、その成果を確認する作業が上海市政府でも行われています。
ここでやはり問題となっているのは、外来農民たちの意識の問題です。農民での出稼ぎ労働者たちの多くは、そんな食品の安全問題への関心よりもむしろ「カネ」が大切なわけで、挙げ句の果てには自分の家での野菜と市場に出す分を分け、市場用の野菜は食卓にならばないようにしているぐらいです。いまだに毒性の高い農薬が使われているのも、そうした背景と深く関係があります。
そりゃそうですよね。他人の土地で、しかも地方から一時的に出稼ぎに来て上海で農作物を作っていた場合、結局だれも管理をしていなければ、やりたい放題になってしまう可能性が高いわけです。
日本でも一部農家で自分のところ用と販売用で作るモノを分けているところがすくなくありません。上海でもまさにそういう現象となってしまっています。
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食の安全、もうすこしどうにかしてほしいと願っています。。
都市化は結構ですが、それにともなう弊害も大きいわけです。
