2010年04月10日

鉄筋が入っていないぞ!

 本当に突貫工事です。
 万博直前となり、あらゆるモノが完成してきているのですが、そのスピードには驚かせられます。

 写真の塀も、アッというまできていました。

 ところがです。私がみているかぎり、鉄筋が入っていない。ひょっとしたら、夜に密かに入れていたのかもしれませんが、鉄筋らしきものが顔をのぞかせませんでした。同じような急作りの塀が、愚園路には数カ所あることを発見しました。

 地震がなくとも、何らかの弾みで倒れる危険性は十分あります。事実、塀が倒れたという事故もありました。中国では、塀のそばを歩くのは結構リスクがあります。

 中国の建築物について、中国政府のお役人が、中国の住宅は30年程度しか持たないと発表し、結構大きな騒ぎになっています。そりゃ、30年といえば、多くの市民がマンション購入で設定した住宅ローンの年数ですからね。ローンを返済したら、もうマンションは耐用年数、なんてなればしゃれにもなりません。でも、こうした突貫工事の様子を見たら、納得できないこともないのが恐ろしい。

 「寿命30年説」を発表したのは国家住房と城郷建設部副部長のお役人というのだから、結構衝撃が走りました。

 その意見を支持する専門家も。確かに、日本でも手抜き工事や偽装設計が問題になったこともありますが、中国では耐用年数よりもコストを以下にさげて迅速に箱物をつくるのか?というのが大命題。しかも、破格で雇われている職人さんたちには、全部とはいいませんが、多くで仕事に対する情熱がない。これまで建設業に従事したことがない農民たちが、言われるままに仕事をしている現実。
 仮に問題があったとしても、当事者を見つけ出すことは極めて困難でしょう。

 さらに、現場を監督するはずの会社も、コスト削減のために仕事に身が入っていない。そんな報道も読みました。現場監督する会社や、ゼネコンの資質について、もう少し討論されるべきなのかもしれません。
 そもそも、多くの市民はマンションを売り抜けることを念頭に置いているので、耐用年数なんて関係ないのでしょうか。

 もう一つ注目したいのは、建物は100年持たせるモノではなく、むしろ数十年でどうせ破壊されるのだという考え方。GDPの数字をよく見せるにも都合がいいわけです。都市開発が猛烈なスピードで進んでいるため、つぶすことがあまりにも日常茶飯事になってしまっています。 

 今や世界最大の建築大国になっている中国。毎年、20億平方メートルの新しい建築物が建ち上がり、そのために全世界の40パーセントのセメントと鋼材が消費されていると言います。この中国で、建物の寿命が30年程度しかないのなら、地球は間違いなく消耗されつくしてしまいますね。

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posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類