2010年05月18日

道はまっすぐに伸びている

 我が家の住宅地近くの歩道が、障害物もなくあまりにもまっすぐに前に伸びていたことを発見して、思わず写真をとってしまいました。「障害物もなく」というのがポイントで、これだけ見通しの良いことが上海の町中ではあまりにないので、出勤で歩くとき、非常に気持ちいいです。

 これから月末にかけて、日本向けの学会誌、雑誌連載だけでも4本の原稿を仕上げなければなりません。編集社の皆様には本当にお世話になっております。一つの任務を終えてから、私の周りの垣根が無くなったように、新しい仕事の依頼も増えてきて、にわかに私を取り巻く中医学の環境も変わりつつあります。ありがたいことです。
 
 仕事というものは、それぞれの段階、年代で内容が変わってしかるべきだと思います。私も、不惑の40代に向けて、次のステップの準備を進めています。その転機は、私にとってはこの2010年であり、すこし荒行になるかもしれませんが、着実にやりたいと思っています。

 仕事を減らして、家族と接する時間も増え、娘との会話を楽しめるようになりました。そうした「喜び」や「感動」が、私の脳を活性化してくれます。効率の束縛から解放されないかぎり、いいアイデアは生まれないということを実感しました。

 ということで、今日は、4回目の上海万博に家族で行ってきます。またレポートします。

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「我が愛しの上海へ2」-理想の中医学と漢方を求めて
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

2010年05月17日

万年筆

 中医学の世界では、いろいろな方法でカルテを書きます。日本の漢方の先生方でも、パソコンへのレセプト入力以外にも毛筆や筆ペンでカルテを書かれる方がもおられます。中国でもまた然りです。毛筆で書かれた中医学の処方箋は、額縁に入れられるぐらいの価値のモノもあります。ものすごく美しいです。
 ただ、こちらでは結構カルテ書きの形式が厳しく、市衛生当局からの検査も時々あります。
 
 カルテを書くときは、私が大学生のころ、万年筆を使うように言われました。中国では、結構万年筆を使う大学生が多く、ノートをとるときにも万年筆を使っていました。文房具店にいくと、安価な万年筆がいろいろ売られているのも、そうした背景と関係があると思います。

 カルテ書きで万年筆が使われるのは、文書として保管されるためで、ボールペンではダメなのです。中国のボールペンでは、字が消えてしまうことがあるらしい。そのほか、水性のペンが発達してきて、そちらを使ってもいいようになっています。

 私もこの仕事を始めてから、しばらくは水性ペンを使っていましたが、最近、私はインク壺を買ってきて、万年筆に戻しました。なんというか、自分の手で字を書いているという書き味がいいんですよね。

 中国語のような漢字文化圏では、字をしっかりと書けることが、その人の文化的レベルを反映している考えられることが多く、字には日本以上にうるさいように思います。脳の働きを活発にするためにも、きっちりと字を書くという習慣は非常によいと言うことが最近の研究でも分かっているようです。

 パソコンばかり使うようになり、手書きのチャンスが減りましたが、それではだめですね。法学者である父は、今でも万年筆で日記を書き続けています。決してボールペンを使いません。万年筆の書き味にはまってから、私もなるべく手書きするチャンスを増やせるように努力したいと思っています。

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「我が愛しの上海へ2」-理想の中医学と漢方を求めて
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

2010年05月16日

国際結婚の本当のリスク

 先週末は、私は自分の中医学の師匠でもある上海市名老中医で、上海中医薬大学付属竜華医院の終身教授である陳以平先生のご自宅にご招待され、娘をつれて行ってきました。

 中医学での師匠との関係は非常に大切で、私たち弟子筋の医師たちも、年に何回かは挨拶に出かけます。

 先生はもう75歳を超えられたのに、まだまだ現役で週5回の診察と、病棟の教授回診をこなされております。旦那様は、もと人民解放軍の空軍のパイロット。いわゆる高級幹部です。80を超えられたのに、まだまだご健在です。現役で仕事をする大切さを思い知らされます。

 さて、この日、私の娘が現在、日本と中国と両方のパスポートを持っているという話から、大切なアドバイスをいただきました。

 昨今、日中間の交流が盛んになり、日中カップルが次々と誕生しているようですが、離婚率も高いというようなことは日本のメディアでもよく登場していますし、中国でも中国人の間ではよく知られています。文化の違いといった問題が発端になったり、経済的な問題も関係あるのかもしれませんが、ただ、それよりももっと深刻な問題が発生するかもしれない、それは絶えず頭の中に入れておかなえればならないというアドバイスでした。

  日本側からみた国際結婚のトラブルは、どちらかというと日本人擁護の発言が多かったりするのですが、中国人にとっても、国際結婚によって発生する見えない問題は少なくありません。たとえば、中国で公務員であったりすると、昇進に影響が出てきたり、場合によっては仕事で不利になったりすることも実際あるようです。政治的に、思想的に、日本と異なる点が多い中国の社会では、外国人と結婚する中国人にも色々なリスクがあるのもまた事実です。 

 しかし、それだけではありません。個人の問題で解決が難しいのは、やはり両国間の政治的関係も影響してきます。最近でも、文革のような嵐のような時代を経験している中国ですから、外国人(日本人)に対して、そういったことが発生しないという保障はありません。以前あった反日デモはまだ可愛らしいものです。

 そんなとき、我々日中カップルはどういう判断をするべきか、一種の試練になる可能性も十分にあります。このことを、師匠の旦那さんはリスクとして指摘くださいました。そして、親としてその時の考えをしっかりと持っておくようにと。

 日本という非常に平和な社会で育ってきた我々にとって、そうした社会の急激な変化というのはなかなか実感できないかもしれません。しかし、上海で生活していると、防空訓練があったり、軍隊が闊歩していたりして、決して自分と全く関係のないことであると言い切れることはできません。

 見た目は平和だけど、社会としては非常に複雑な中国。

 いまタイで起こっている争乱を見たときに、決して人ごとではないと思ったのでした。

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「我が愛しの上海へ2」-理想の中医学と漢方を求めて
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