中医学での師匠との関係は非常に大切で、私たち弟子筋の医師たちも、年に何回かは挨拶に出かけます。
先生はもう75歳を超えられたのに、まだまだ現役で週5回の診察と、病棟の教授回診をこなされております。旦那様は、もと人民解放軍の空軍のパイロット。いわゆる高級幹部です。80を超えられたのに、まだまだご健在です。現役で仕事をする大切さを思い知らされます。
さて、この日、私の娘が現在、日本と中国と両方のパスポートを持っているという話から、大切なアドバイスをいただきました。
昨今、日中間の交流が盛んになり、日中カップルが次々と誕生しているようですが、離婚率も高いというようなことは日本のメディアでもよく登場していますし、中国でも中国人の間ではよく知られています。文化の違いといった問題が発端になったり、経済的な問題も関係あるのかもしれませんが、ただ、それよりももっと深刻な問題が発生するかもしれない、それは絶えず頭の中に入れておかなえればならないというアドバイスでした。
日本側からみた国際結婚のトラブルは、どちらかというと日本人擁護の発言が多かったりするのですが、中国人にとっても、国際結婚によって発生する見えない問題は少なくありません。たとえば、中国で公務員であったりすると、昇進に影響が出てきたり、場合によっては仕事で不利になったりすることも実際あるようです。政治的に、思想的に、日本と異なる点が多い中国の社会では、外国人と結婚する中国人にも色々なリスクがあるのもまた事実です。
しかし、それだけではありません。個人の問題で解決が難しいのは、やはり両国間の政治的関係も影響してきます。最近でも、文革のような嵐のような時代を経験している中国ですから、外国人(日本人)に対して、そういったことが発生しないという保障はありません。以前あった反日デモはまだ可愛らしいものです。
そんなとき、我々日中カップルはどういう判断をするべきか、一種の試練になる可能性も十分にあります。このことを、師匠の旦那さんはリスクとして指摘くださいました。そして、親としてその時の考えをしっかりと持っておくようにと。
日本という非常に平和な社会で育ってきた我々にとって、そうした社会の急激な変化というのはなかなか実感できないかもしれません。しかし、上海で生活していると、防空訓練があったり、軍隊が闊歩していたりして、決して自分と全く関係のないことであると言い切れることはできません。
見た目は平和だけど、社会としては非常に複雑な中国。
いまタイで起こっている争乱を見たときに、決して人ごとではないと思ったのでした。
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「我が愛しの上海へ2」-理想の中医学と漢方を求めて