2010年05月17日

万年筆

 中医学の世界では、いろいろな方法でカルテを書きます。日本の漢方の先生方でも、パソコンへのレセプト入力以外にも毛筆や筆ペンでカルテを書かれる方がもおられます。中国でもまた然りです。毛筆で書かれた中医学の処方箋は、額縁に入れられるぐらいの価値のモノもあります。ものすごく美しいです。
 ただ、こちらでは結構カルテ書きの形式が厳しく、市衛生当局からの検査も時々あります。
 
 カルテを書くときは、私が大学生のころ、万年筆を使うように言われました。中国では、結構万年筆を使う大学生が多く、ノートをとるときにも万年筆を使っていました。文房具店にいくと、安価な万年筆がいろいろ売られているのも、そうした背景と関係があると思います。

 カルテ書きで万年筆が使われるのは、文書として保管されるためで、ボールペンではダメなのです。中国のボールペンでは、字が消えてしまうことがあるらしい。そのほか、水性のペンが発達してきて、そちらを使ってもいいようになっています。

 私もこの仕事を始めてから、しばらくは水性ペンを使っていましたが、最近、私はインク壺を買ってきて、万年筆に戻しました。なんというか、自分の手で字を書いているという書き味がいいんですよね。

 中国語のような漢字文化圏では、字をしっかりと書けることが、その人の文化的レベルを反映している考えられることが多く、字には日本以上にうるさいように思います。脳の働きを活発にするためにも、きっちりと字を書くという習慣は非常によいと言うことが最近の研究でも分かっているようです。

 パソコンばかり使うようになり、手書きのチャンスが減りましたが、それではだめですね。法学者である父は、今でも万年筆で日記を書き続けています。決してボールペンを使いません。万年筆の書き味にはまってから、私もなるべく手書きするチャンスを増やせるように努力したいと思っています。

中国ブログランキングへ

「我が愛しの上海へ2」-理想の中医学と漢方を求めて
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類