標高800メートルに位置し、道理で涼しいはずです。あと数キロ行けば新潟県という場所にあり、谷間の川沿いにあります。その昔、街道筋は佐渡への往来が盛んで、三国峠を越えていったといいます。参勤交代でもこのルートは使われたそうです。
嬉しいことに、建築物はすべて木造で、木の香りが心地よく、しかも文化財です。特に、本館は江戸時代の旅籠の面影を色濃く残していて、中に入って左手にある囲炉裏では、火がたかれていました。
この真夏に!と思われそうですが、このあたりは囲炉裏に火が入っていても非常に心地よい温度なのです。
法師温泉の特徴は、なんといってもお風呂のすぐ下、底にしかれた玉石の間からお湯が沸いているという点です。これは、日本全国を見渡してもそう沢山はありません。自然湧出の温泉です。
駅などのポスターにもよく登場し、CMなどにも使われた法師乃湯。伝統的に混浴ですが、この大浴場の法師乃湯にいくと、マスにわけられた湯船に、泡のように湯が沸いているのがよくわかります。これがまた心地いいのです!
泉質は43℃の石膏泉で、昔から胃腸病、やけど、肥満、動脈硬化などに効果があると言われているようですが、明治の人たちはこのお湯をどのように健康に活かしたのか、興味が尽きません。今では、蕁麻疹やアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患にもいいとされているようです。
さらに、この法師乃湯を特徴付けているのが木造の建物。天井が非常に高く、窓は明治の鹿鳴館風で、丸い円形が特徴です。ここに浸かっていると、時間を過ぎていくのを本当に忘れてしまいます。それぐらい、時間の流れがゆっくりとしているのです。
不思議と、この法師乃湯の中に入ってくる人たちも、物音一つさせることなく、静かに瞑想してしまう、そういった力があるみたいです。温泉のそうした働きはすごいですね。
そのほか、こちらは時間差で男湯と女湯に分かれる総檜風呂の玉城乃湯は、露天風呂がついているので、法師川のせせらぎに包まれながらお風呂に入ることができます。
今回、私が宿泊させていただいた部屋の真下にも、法師川が流れていて、夜川のせせらぎの音を耳にしながらいつの間にか眠りに入ってしまいました。
こういった温泉の「静かな」楽しみ方は、中国ではまず難しい。中国は賑やかさを美徳としますからね。
一方で、オリジナルの姿で、本物を今まで静かに継承してきているのは、日本の得意とすることだと思います。
いま、日本では温泉を取り巻く環境が非常に厳しくなっています。経済状況が思わしくない中、人々のサイフの紐もかたく、どこの温泉街も起死回生に必死です。
でも、一つ忘れて欲しくないのは、いつまでも本物の温泉文化を守って欲しいということです。昔の人が大切に守ってきた温泉を、これからも私たちが守っていかないと行けない義務があると思うのです。
そうした心の余裕は、どんな時代でも持っていたいものですね。
31日は午前中ゆっくりと温泉に浸かった後、午後に成田空港に向かい、「たにがわ」+「成田エクスプレス」で東方航空便をつかまえて、上海に夜到着しました。
近いです!!
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