2010年11月17日

喪に服している重苦しい上海

 11月15日に静安寺膠州路で発生した火災は、犠牲者が多いだけでなく、いつ自分たちの身の回りで発生するかもしれない高層マンションでの火災だけに、上海の街に重苦しい雰囲気を漂わせています。

 昨日の夕方のテレビのニュースも、火災関係のニュースだけで終わっていました。

 私自身、上海でマンションを探すとき、いろいろな点で注意が必要であることを改めて認識させられました。とくに、古いマンションでは設備面が十分でないことがよくあります。
 また、私は中国でのエレベーターがあまり好きではないので、(昔、病院で当直していたときに、夜のエレベーターに閉じ込められたことがあり。。。)高層ビルを訪問したときでもよく階段を使うのですが、そうした非常階段がワイヤ錠で内側から施錠されていて、せっかく目的の階にまでついたのに、出られなくなることが多々ありました。もし火事があって、非常階段を走っておりてきて、閉じ込められたらと思ったらぞっとします。

 私も、自分なりにマンションを借りるときや買うときはチェックしてきました。中国に初めてきて、初めて外で借りた徐匯区田林路のアパートでは、出口や階段が1カ所しかなく、さらに防犯用の玄関ドアも鍵を使って開けるという構造だったことに、非常に驚きました。もし、非常時に鍵が見つからなければ、内側からでも脱出することができません。
 低層階なら窓に鳥かごのように鉄格子が取り付けられていることもあり、窓からの脱出がまったく不可能な構造である場合が多々見受けられました。日本のように、非常時にも隣通しでベランダが行き来できず、災害に対しては非常に弱いです。

 そこで、上海で自分のマンションを買うときは、非常階段が2カ所有り、1階あたりの世帯数が極力少ない建物を探しました。それでも、やっぱりしっかりとした防火扉があるわけでもなく、廊下にある扉はどう見ても木造で物足りない感じです。「防火」とは書かれていますが。。。。

火事があったらどう非難するのでしょうか


 いずれにしろ、上海市政府も今回の火災を非常に重視しています。地下鉄で報道されているニュースも、ほとんどが火災関係のものでした。遺族たちへの対応を政府が間違えると、その影響は社会不安を引き起こす可能性もあります。
 今回は、その慎重さを非常に感じられます。政府の指導者たちが、迅速かつ積極的に続々と遺族や負傷者を見舞っているニュースは、特に印象的でした。こうしたPRは、中国ならではと思います。

 万博後の余韻や成功を祝う気分が、ここ最近の上海のメディアでは多かったですが、そうしたムードを一掃してしまいました。
 また、足下が危ない、ある意味砂の楼閣のような上海の都市開発を、私自身思い知らされた今回の火災でした。

 今回の火災が上海の社会に与えた衝撃を引き続き注視していきたいと思っています。

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「我が愛しの上海へ2」-理想の中医学と漢方を求めて  本日更新しました。

 

題字が黒になった「新民晩報」
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類