世界で約50万人の、15歳の生徒たちが参加し、試験時間は2時間。2009年4月に行われた今回の試験では、上海市から15の学校から5000人が参加しました。
試験問題自体は、暗記など高度が知識やテクニックが必要な試験ではなく、さらに教科の内容の達成度をチェックする試験でもなく、ゲームのような試験問題だったといいます。特に、読解問題に関しては、小説から手紙、広告や通知など様々な文章が取りあげられ、答えも非常に自由度があるものだったようです。
私自身、問題を直接的に解いたわけではないので、なんとも言えませんが、そうしたPISAの試験問題に対して、日本人の受験生たちの成績が今ひとつパッとしなかったことに、少し不安感を感じました。なぜなら、日本が行ってきた「ゆとり教育」だからこそ、逆に実力が発揮できるのではないか?と思ったからです。
一方で、上海のようにしっかりと詰め込み教育をするほうが不利なようにも思ったのですが、実際はそうではありませんでした。3分野の試験で、どの分野でも上位に顔を出せなかったことは、やはり反省すべき課題だと私は思います。
特に、インターネットなどを通じて、膨大な情報を個人が的確に処理しないといけない時代に、しかも、PISAの試験で最も重点が置かれている読解に関しても、上海が1位だったのに、日本は8位だという結果でした。
一般的に、経済が発展しているエリアの生徒が読解に有利だと言われているなか、日本の成績がぱっとしないのはやはり、今の日本の教育が置かれている普遍的な問題を露呈しているのだと思います。
私の中医クリニックの患者さんのなかにも、上海人の小学生も少なくないのですが、小学校1年生から教科別に先生は違っているし、低学年から万年筆を使って字を書く練習をするなど、日本の教育との違いを感じ、私も興味深いです。
ところで、PISAの結果を通じて、家庭内での教育の重要性が分析されていました。例えば、片親の家庭の子供と両親がいる家庭の子供では、両親がいる家庭のほうが全体の成績で5点平均点が高かったそうです。
一方で、読解力に関しても、親が子供に本を読み聞かせるチャンスが多いかどうかとも深く関係があり、毎日もしくは週に1〜2回子供に本を読み聞かせているグループのほうが、殆ど読み聞かせていないグループよりも読解力での得点が高かったといいます。
ただ、今回の結果に関して、こちらの報道ではかなり謙虚でした。詰め込み式の現在の教育に対して、教育改革の必要性を説いているものが多かったです。また、PISAのような試験結果に一喜一憂する必要はないとも論評していましたが、ある意味、ちょっとした自信の表れかもしれませんね。
少なくとも、こちらの大学入試の問題を解く限り、決して日本の勉強内容が劣っているというわけではありません。私も、15年前、こちらの大学入試をちゃんと合格して大学に入りましたから。その当時、こちらの大学試験の数学で、微分・積分が範囲外だったのには驚いたぐらいです。
過去の実績はともかく、そうした国際的な試験で、満足な成績を残せていない日本の教育の将来には、やはり心配ですね。
中国ブログランキングへ

「我が愛しの上海へ2」-理想の中医学と漢方を求めて 頑固な咳と肝を更新しました。