私もこの事故が非常に印象に残っています。ちょうど私がフランスへ行く直前に発生し、何よりも航空機が私たちもよく利用する双発のA330型機であったということ。このときの東方航空機のフランス便の機材もA330型でした。昨今では、長距離線でどんどん使われています。
しかも機材が非常にあたらしく、通常なら比較的安全な水平飛行中に墜落したからです。この墜落原因については、調査結果がどう出るのか関心を持っていました。
事故調査員会によると、すでにブラックボックスは見つかっており、データも完全に残っているようなので、2011年夏には最終的な報告書が出てくるようですが、今年5月16日にフランス航空機安全調査分先局から中間報告が出されました。日本ではニュースにもなっていませんでしたが、中国人の犠牲者もあり、中国のメディアが詳細に紹介していました。
2009年5月31日夜、離陸後3時間40分後に乱気流に巻き込まれ、30分も飛行機は大きくゆれたようです。しかし、高度11000メートルにかかわらず、機外の気温が異常に高くなっており、正常でないことが分かります。どうやら、センサーに氷が付着し、センサーが正しく作動していなかったようです。
さらに、大西洋上の雲の中を飛行中に速度センサーも故障し、自動操縦システムに異常が発生、速度センサー故障後4分後に飛行機が墜落し、乗客乗員228名全員が亡くなりました。
では、なぜ乱気流に巻き込まれたか?が問題になります。
もともと大西洋上の赤道付近では乱気流が発生しやすく、飛行に注意が必要でした。2009年5月31日の天気はおおむね良好でした。とはいえ、他の多くの便はその乱気流が発生しやすいエリアを迂回して飛行したのですが、このエールフランス447便はそうしなかったようです。
その最大の理由は、飛行機の重量と関係があったと分析されています。離陸時、飛行機の総重量は232.757トンあり、A330の最大積載量に対してわずか243キロしか余裕がありませんでした。これにたいして、機長は70トンの燃料を搭載(1分間に100キロの燃料を消費する計算だったようです。)、フランス到着後の規定の燃料残量を考えると、雲を避けて大回りするほどの余裕はなかったとし、その結果、ある程度最短ルートをとらないといけないことになってしまいました。
さらに、高度11000メートルでの乱気流で、航空機の速度が正確に把握できないことは致命傷で、正確な速度が分かって初めて飛行機が安定できるほど重要な数字なのだそうで、そのバランスを取るのが非常に難しいのだそうです。さらに、速度計が故障したことで、コンピューターシステム全体がおかしくなり、飛行機のコントロールができなくなって、失速、その後墜落してしまいました。このとき、パイロットがどう判断したのか、今後の報告書が待たれます。
事故機は、2人の副操縦士が操縦し、機長が直接操縦していなかったことも分かっています。いずれも操縦席の座席に座ったままで見つかりました。ただ、機長の遺体は別のところで見つかったようです。
墜落時、飛行機は直前まで完全な形を保っており、垂直に頭から海に突っ込んだのではなく、機首を少しあげた状態で、ほぼ水平の姿勢で自由落下状態で墜ちたとのことです。しかし、衝撃はかなり強く、シートベルトですら切断された状況だったようです。
当初は謎の多かったエールフランス447便の事故ですが、かなり原因が明らかになってきているのは確かです。
ただし、こちらの報道では、フランスがエールフランス社と航空機メーカーであるエアバス社との関係が強く、利害関係がもあり、コンコルド事故のときのように、今ひとつはっきりとしない結果になるのではないか、と危惧されています。
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