2011年09月08日

城崎温泉のもてなしのこころ〜三木屋さんにて

 日本の温泉地の斜陽化が心配され、老舗旅館ですら廃業を余儀なくされている昨今、利用者の懐具合が思わしくない事とも関係があるかもしれませんが、それでも城崎温泉のようにがんばっている温泉地もあり、私は大変勉強になりました。

 今回、最低300年の歴史をもつ三木屋さん(最低と書いたのは、それ以前にも存在していたようです。)に宿泊させてもらい、10代目の片岡取締役ともお話ができ、老舗旅館が直面している問題、そして温泉地のありかたについて、色々具体的に研究されていて、非常に参考になりました。

 城崎温泉では、温泉地全体で温泉を保護し、盛り上げようという動きがあり、様々な努力をされています。7カ所の外湯を中心に、宿泊客が外湯をまわるようになっていて、温泉客の動きがあるのが結構なことです。若い女性が、カラフルな浴衣をみにつけ、温泉をはしごする姿は絵になります。昨今、宿泊施設が宿泊客を囲い込んでしまう傾向があるなかで、街の経済的発展を促すのには、やはり宿泊客がお金を落としていかないといけません。

 また、外湯巡りで厄介な財布など貴重品の持ち歩きについても、電子マネーをつくって、後で宿で支払う形式も導入されています。これは便利でした!あえて言うなら、もう少し使えるお店を増やしてもらえたらと思います。

 また、電車で来た場合も、駅前にある旅館案内所まで宿から手荷物を預けてもらえ、帰るギリギリまで手ぶらで散策でき、帰る間際に荷物をピックアップできる仕組みも良かった。

 こうした端々までの心遣いが、街全体で宿泊客をもてなしているという感じを与え、また行きたくなる衝動にかられます。

 豪華な料理や施設もいいかもしれませんが、こうした地道な取り組みはもっと大事だと思います。片岡取締役が、旅館の素朴さとオリジナルの姿と快適さをどのようにバランスを取るのかが難しいとおっしゃっていました。

 三木屋さんでは、志賀直哉が宿泊したお部屋も見せてもらいました。旅館からプレゼントされた「城の崎にて」を読んでみると、災害で消失した旧館に3週間滞在し、このあたりかなり散策されたようですが、志賀直哉自身も、知り合いからこの城崎温泉を紹介され、しかも当初予定していた旅館に宿泊できずに入ったところが三木屋という偶然のなかで、この作品が書かれたそうです。

 さて、私の関心のある湯治については、片岡さんのご紹介では、過去にあったようですが、具体的な資料などはあまり残っていないと言うこと。うう、残念!

 でも、私が入ってみた限り、皮膚のつるつる感とぬくもり感はいい感じでした。軽いお湯なので、長湯してもいけそうでしたが、温度は多少高めでした。

 温泉といえども無尽蔵ではなく、城崎温泉も源泉保護に力をいれていますが、世の中が「源泉掛け流し」にこだわる中、あえてそれをやらなくても温泉地として十分に活況であるのは、結構なことです。

 そして、もう一つ特筆すべき事は、若者の温泉客が非常に多い点です。

 外国人は我々以外あまり見かけませんでしたが、それでもアジア系の人たちも来るようになってきたようです。関西と言えば有馬温泉がすぐに浮かびますが、城崎温泉も交通の便から考えると、便利だと思います。

 何よりも、日本海のすぐそばなので、海の幸が美味しい!

 新鮮な海の物に飢えている上海人にとって、この海の幸は最高の贅沢と感じることでしょう。

 いずれにしろ、温泉は日本の貴重な文化財産で、私は日本人の健康に貢献してきた役割は非常に大きいと思います。

 今回初めて城崎温泉に宿泊してみて、「ああ、日本人として生まれてきた良かったな」と実感しました。

 温泉文化は、日本に生まれている我々でなければ分からないことがたくさんありますから。これは、どんなにがんばっても中国には移植できません。

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 余談ですが、日本人女性が浴衣をきると様になるのは、ひょっとして腰のくびれがあまりないから?と思ったり。。。。

 体のメリハリがはっきりとした中国人的スタイルだと、浴衣は難しいように思います。

 いや、本当に余談ですよ。余談。。。。。
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posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類