2012年02月20日

出版社巡り&海外で暮らすということ

 今日も快晴。朝から皇居周辺を散策。気持ちいいです!

 東京が便利だと思うのは、ここに来てしまうと、一気に色々な人に会えてしまうこと。私はインターネットのつながりも大事だと思いますが、やはり、何か仕事を引き受けるときは、最終的には一度はその会社や人にリアルに会いたいと思うのです。

 今回も私への原稿の依頼のあった出版社数社に、表敬訪問しました。

 そのうちの一つが、アロマテラピー関連の専門書を発行し、香りの図書館を開設しているフレグランスジャーナル社。今回の日本統合医療学会でも、緩和ケアなどでアロマテラピーが活用されている事例が紹介されていましたが、アロマテラピーに使うオイルの多くは植物が材料なので、中医学や漢方医学とも密接な関係があるのです。私も、日々の臨床で香りの中医学には注目していて、中医クリニックでもいろいろ実践しています。

 そして、ひょんとしたご縁から、フレグランスジャーナル社の津野田会長からメールを頂き、今回の表敬訪問が実現したのですが、雑誌への投稿も決まったので、いろいろお話を伺いました。今度、京都でアロマテラピーの第1回の国際学会が開催されるとのことで、こちらも楽しみですね。



 夜は、CVNの秦佳朗代表を訪ねに、武蔵小金井まで行ってきました。

 CVNというのは、中国語のボランティアネットワークなのですが、秦さんは日本から中国へいく留学生のサポートもボランティアで行われていて、実は私も1995年ごろに上海留学を決めたとき、秦さんに連絡をとっていろいろ情報を教えて頂きました。そして、山之内 淳のペンネームでいろいろ文章を書くことになった、最初の最初はまさにこの秦さんの書籍から始まっています。

 インターネットの黎明期で、中国留学の情報は全然なく、私のように個人が直接、英語で大学にコンタクトをとるのは結構至難の業だったのです。そんなとき、秦さんから色々アドバイスを頂いたのが私の中国留学の本当のスタートだったのです。

 中国に渡ってからも、メールなどではつながっていたのですが、なかなか実際に会うチャンスがなく、今回の東京出張でついに実現したのでした。お元気そうでなによりでした。

 私は20代の青春時代は、ずっと上海で過ごしているので、外国に長期滞在することに関して、自分なりのポリシーをもっているつもりです。特に、私の場合、日系企業の駐在員のように往復の航空券をもって海外で生活するのではなく、いわゆる片道切符で海外で過ごすことは、任期はなく自由ではあるものの、自分自身への大きな責任が課されているわけで、でもそれが仕事をする上でのモチベーションになっているのは確かです。

 いま改めて分析してみると、日本を離れて海外で暮らすとき、祖国とのスタンスをどのように保つべきかいろいろ悩んだことがあります。上海に渡って最初の数年は、とにかくその土地になじんで、中国や中国の皆さんのことを知ることで精一杯でした。そのうち、「上海もわるくないぞ」、と思うようになり、日本に帰ることも滅多に減り、病院での仕事が忙しかったことも有り年に1回程度しか帰らない時期もありました。

 しかし、最近になって、逆に日本に行くことが増えています。その理由をいろいろと考えてみたとき、やはり、「自分は日本人であったんだ」という再発見が、上海であったことだと思うんです。そして、日本を知らないといけないという衝動が起きてきているのです。

 つまり、日本人として日本で生まれ、日本人とのつながりをもち、さらに中国でのつながりを発展させることのできるメリットが私にはあり、それをみすみす放棄してしまう理由はなにもないのだということを確信するようになったからです。

 そして、日本に戻ることで日本の現状を理解することで、自分にとって何が出来るのかを考え、行動を起こすことが、海外在住だと意外と普通に出来てしまう。すなわち、自分の住み慣れたところを飛び出すことで再発見するチャンスが格段に増えて、それが仕事へのモチベーションになるように思います。

 同じようなことを、昨日にお会いした丹羽仁先生もおっしゃっていました。先生は高度経済成長あたりにタイから日本へ留学されて、医師として30年以上活動されています。タイの故郷が貧しくても、故郷があるから、海外で頑張ることができるのだと。

 今後も、祖国日本との最良のスタンスを模索しながら、私の海外生活が続くのだと考えています。

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健康ブログ:「我が愛しの上海へ2」-理想の中医学と漢方を求めて
【連絡】1.1月18日より中医クリニックは拡張移転しました。新しい住所は上海市中山西路1602号(×柳州路・徐虹北路)宏匯国際広場B座101室です。また土曜午後診察もはじまりました。週末診察は土曜日が午後・夜、日曜日が午前・午後になります。地図はこちらです。
2.日本での学会参加・講演会発表のため、2月16日午後〜19日まで休診します。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

2012年02月19日

千葉で中医学のミニ講演会

 東京滞在は初日は雪に見舞われたのですが、それ以降は連日快晴。

 上海では見られないすばらしいお天気で、気分も爽快です。お天気につられて、朝から皇居の回りを散歩したり、宿泊している神保町界隈を散策したり、いい運動ができています。おかげさまで万歩計に数字も連日1万2千歩を越えています。嬉しい限りです。

 午前中は、広島や静岡からの来客と宿泊先で会い、神保町の本屋巡り。いつものように、本をどっさりを買い込み、うん万円も散財してしまったことにあとでビックリするのですが、でも知識の吸収にはお金は惜しません。もっと早く電子書籍が普及してくれたら助かるのですが。。。。



 その後は、千葉県松戸市のカムクリニックで講演会。今回で3回目になるのですが、院長の武田先生や高橋先生のご厚意に感謝し、いつも地域の皆様が足を運んで下さって、感謝します。さらに、今回は川崎市から丹羽仁先生も来て下さいました。丹羽先生はタイご出身。日本の医学部を卒業され、現在川崎市で開業されておりますが、タイと日本との架け橋としてで30年以上活躍されており、タイ国王から勲章も授与されており、タイの故郷には、小学校を建設するなど精力的に活動されております。

講演会の会場には、常連さんの顔をちらほら。中医学にしろ、日本の漢方にしろ、医者が患者に施して終わりというものではありません。患者さん自身が勉強して取り組んで頂かないと、成果が出てこないのです。そのためにも、日本でのミニ講演会は精力的にやりますし、私自身のいろいろな先生方との交流を深めていきたいと考えています。日本では中国のように、すぐに中医学に接することのできる環境にありませんからね。

 今回は、花粉症対策について、中医学をつかったメカニズムを皆さんと一緒に考えました。中医学でも、いろいろと対策法があるのです。また、上海でも講演会を開いてみたいとも思います。

 そのあと、少し時間があったので、高橋先生のご案内で、近くのお寺を散策。
 私は奈良に実家があるので、お寺巡りが結構好きなのですが、街道筋にあるこのエリアにも立派なお寺があることに驚き。そのうちの一つが写真の東漸寺です。お寺が多いと言うことは、「気」の巡りがよくて、ある種のパワースポット的なエリアでもあるわけですが、お参りできて良かったです。

 そのあとは、流山市では穴場的なイタリアンのお店へ「オステリア シャーラ」(住所:〒270-0161 千葉県流山市鰭ヶ崎1579-5 電話04ー7159ー2418)へ。
 オーナーの渋谷さんは、この道35年という大ベテラン。かっぷくのいい、いかにもイタリアンのコックさんらしい容姿が印象的でしたが、私が中医学・漢方をやっていると聞いて、いいダイエット方法はないのか質問を受けてしまいました。

 ボリュームたっぷりの美味しいイタリアンを頂くことができました。日本は本当にどこにいっても料理のレベルが高いですよね。日本人のこだわりが生み出しているのだと思います。


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2012年02月18日

会議二日目と先生方との出会い

 統合医療学会国際シンポジウムの2日目。今回は、「統合医療におけるがんの予防と治療」ということで、東京医科歯科大学で開催されています。今日も。世界で活躍される著名な先生方のお話をたっぷりと聞くことができ、私も大変勉強になりました。

 昨日の懇親会で、たまたま名刺を交換させていただいた大阪大学の伊藤壽記教授の講演からスタート。関西からいらっしゃっており、昨日は関西弁でこころおきなくお話が出来たのですが、現在伊藤先生は「エビデンスに基づく統合医療研究会」の理事長もされており、近い将来に設置されるであろう大阪の日本統合医療センターの構想は、大変興味ぶかかったです。統合医療の取り組みは、実は100人を越える死者を出したJR西日本の福知山線脱線事故において、外傷後後遺症の治療を行う取り組みで実践されていて、臨床心理士によるカウンセリングのほかにも鍼灸やアロマなども取り入れられたようです。こうした経験をもとに、私の地元でもある大阪で国際統合医療センター(仮称)が設置されるとは、なんともすばらしいことではないでしょうか。大震災のあった、東北地方でもこういった取り組みが行われてきています。日本の医療も確実に変わってきています。


 また、日本ホリスティック医学協会会長の帯津良一先生のお話もありました。帯津先生には、数年前に関東地方におられる専門家を訪れたとき、川越の帯津三敬病院まで行き、大変色々なお話をしてくださいました。中医学・漢方・鍼灸・気功にとどまらず、ホメオパシーなども取り入れられた幅広い統合医療を実践されておられます。癌疾患が、身体・心・命と深く関わる病であり、先生はホリスティックな医学を追究されておられます。

 食事・ビタミン・サプリメントのセッションでは、生命科学振興会の渡邊昌理事長の、機能栄養学と薬膳についての講演がありました。私も、日頃の臨床で気がついていたのですが、最近の我々日本人の食生活の乱れは尋常ではありません。特に、上海で駐在されている日本人男性の食生活はかなり注意しなくてはいけません。日本人は、男性の三分の二、女性の三分の一が癌になるといわれています。食べ物は毎日のことだけに、漢方や中医学の薬膳的要素も考えながら、栄養学的なアプローチは欠かせないと思います。健康科学大学の蒲原聖可教授による「機能性食品・サプリメント」についての考察では、ペプチドシグナルの増減から、中医学の証を考えるというお話が少し出ていました。証の研究に関して、中国の専門家もいろいろ行っていますが、どういうエビデンスが出てくるのか楽しみです。ただ、私個人的にはサプリメントはあまり好きではありません。私は、お金がかかっても、良質で安全な食材でうまくできるのではないか?と追求してきたいと持っています。

 午後の冒頭の特別講演は東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターの中村祐輔教授のお話がありました。世界を代表する専門家のお話は大変分かりやすく、感動しました!ヒトゲノムの解析が進み、それを元に病気の予防や治療が行える時代がすぐそこにまで来ているとお話でしたが、この先生もアメリカに飛ばれるとか。日本も数年前までヒトゲノムの分野で最先端を進んでいたそうですが、近年は政府からの予算も削られているようで、教授の歯がゆいご心境が伝わってきました。


午後のセッションでは、心身両面からのアプローチということで、祈り・ヨーガ・インドのアーユルヴェーダからの癌治療における役割、さらに緩和ケアやアロマセラピーの活用なども討論されました。アロマセラピーに関しては、私も今回の東京訪問でたまたま別件で打ち合わせの会議も入っており、興味深くお話を伺いました。西洋医学の先生方が、こうした分野でのエビデンスを求めるための研究を進められておられることは、大きな時代の変化だと思います。最後に、先進技術を用いた統合医療のセッションで、東京女子医科大学の川嶋朗先生が、放射線ホルミシスでの癌治療での活用についてお話しされました。原発事故の影響で、放射線に関する問題は、今の日本ではかなり敏感な話題となってしまいましたが、ただ効果が出ているのは確かであり、一般の市民からすると何が正しいのか判断が難しいのが現状だと思います。ただ、毒性の強いモノも、弱く活用することで、身体がかえって元気になるという発想は、中医学ではまさに「毒でもって毒を制する」の考え方に似ており、そのあたりにヒントがあるのではないかとも思います。

 このように、他にもかなり興味深いお話が続きましたが、夜の19時過ぎまでシンポジウムが続けられ、今回も非常に実りのある会議でした。(座りすぎて、腰がいたくなりましたが。。。)

 ところで、会場では、偶然にも私の大学の先輩(上海人)にもばったり。私が所属していた上海中医薬大学附属竜華医院の眼科の医師だったのですが、今は日本でお仕事をされています。なんと、私のブログを読んで下さっているとのこと。嬉しい限りです。


夜はそのあと六本木へ移動。日本だけでなく、近年は世界で美容の分野で鍼灸をやっておられる北川毅先生とは日本中医学会でご一緒させてもらってますし、北京留学組で今は鈴鹿医療科学大学鍼灸学部の准教授をやっている鈴木聡先生、そして今回初めてお会いできたこの道30年という鎌倉の鍼灸師沢田昌子先生と会食。

 鈴木先生とは10年ぶりぐらいの再会!!先生のところでは、三重大学附属病院で、鍼灸外来をやっておられていますが、なんと日本では初めての試みだとか。考えてみれば、国立の大学病院内で、鍼灸外来がなかったというのも不思議な話ですが、着実に前進している様子でよかったと思います。

 私の今回の宿は、唯一の欠点と言えば門限があることなのですが、遅くまでいろいろお話を伺うことが出来、収穫たくさんです。本当に私は沢山の友人たちに恵まれているのだと改めて実感。ありがとうございました!


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