2012年02月09日

都市に人が増え、地方でゴミが増える現実

 2月2日の新華社の報道で、江蘇省で発生した猛毒の発がん性物質が、安徽省で不法投棄されていたという事件。その量はなんと80トンで、川の築堤に放棄され、水質汚濁の危険性があったというものでした。

 そもそも、有害ゴミは本来、コストをかけて処理をしないといけないのですが、実は地下組織が存在して、格安で処分できてしまう仕組みがあるようで、その運搬先が往々にしてこうした農村地区であり、摘発も行われています。

 上海へ多くの出稼ぎ労働者がやってきています。お金稼ぎがその目的である一方、ちゃんとした法制度に基づいて物事が行われるであろうという期待からも、都市部での仕事を望む傾向があるのもまた事実です。そのため、近年都市部の人口はどんどん増加している一方、農村の人口は減少傾向です。
 代わりに、農村へ投機されるのがこうした廃棄物であるならば、インフラ施設がまだまだ不十分なだけに今後の影響が気になります。

 一方で、都市部のゴミ問題も年々深刻化しています。上海でもまだ生活ゴミの大部分は埋立地に処分されています。ゴミの分別回収も進んでいません。

 市当局の発表では、2011年に上海市から出てきた生活ゴミは1日あたり平均で1.8万トン。前年比で5%減の目標は達成したのだそうですが(あまり実感がありませんが。。。)、今年は企業から出るゴミの削減に力を入れる方針のようです。その理由として、例えば、多くの市民が毎日職場へ出勤する中、職場で食事をする人が多い一方で、本当に自宅で調理して食べる人が決して多くないからだそうです。そのため、企業からでるゴミを如何に減らすかが、2012年の重点目標らしい。

 ゴミと言えば、上海ではほぼ毎日にようにゴミが回収されていきます。日本みたいに可燃物・不燃物別に分けることもなければ、なんでもかんでもゴミ箱にいれてポイというのが現実です。ゴミの中には、電池も入っていることもあったし、有害な蛍光灯も関係ありません。大型ゴミに関しては、回収業者が買い取ってくれるので、そちらのルートで回収されますが、そのあとそれらのゴミがどう処理されるかは、かなり微妙な問題を残しています。

 そもそも、中国の家庭ではゴミ(とくに生活ゴミ)を家の中に置いておくという習慣があまりなく、まめにゴミステーションに捨てに行くのが常識のようになっています。そのため、日々の生活の中からゴミの分別が大切なのですが、残念ながらうちのマンションでもゴミはまだ分別されていません。

 でも、こうやってゴミが回収されている上海はまだ恵まれています。中国の農村エリアにいくと、ゴミ収集すら行われていないところを見かけます。そうなると、家の裏や大通りのわきにゴミの山ができており、非常に醜い風景を作り出してしまっています。健康衛生面に関しても大いに問題有りです。

 上海市政府は、2015年までにゴミを20%削減し、2020年までにはなんと50%も削減することを目標としています。しかし、人々の生活が豊かになるにつれて、ゴミがそう簡単に減るとは思えません。少なくとも、我々の日常生活でもそうした変化が見えてくるような成果を期待したいところです。そのためにも、上海にいる我々一人一人が協力する必要があります。


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posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類