東京が便利だと思うのは、ここに来てしまうと、一気に色々な人に会えてしまうこと。私はインターネットのつながりも大事だと思いますが、やはり、何か仕事を引き受けるときは、最終的には一度はその会社や人にリアルに会いたいと思うのです。
今回も私への原稿の依頼のあった出版社数社に、表敬訪問しました。
そのうちの一つが、アロマテラピー関連の専門書を発行し、香りの図書館を開設しているフレグランスジャーナル社。今回の日本統合医療学会でも、緩和ケアなどでアロマテラピーが活用されている事例が紹介されていましたが、アロマテラピーに使うオイルの多くは植物が材料なので、中医学や漢方医学とも密接な関係があるのです。私も、日々の臨床で香りの中医学には注目していて、中医クリニックでもいろいろ実践しています。
そして、ひょんとしたご縁から、フレグランスジャーナル社の津野田会長からメールを頂き、今回の表敬訪問が実現したのですが、雑誌への投稿も決まったので、いろいろお話を伺いました。今度、京都でアロマテラピーの第1回の国際学会が開催されるとのことで、こちらも楽しみですね。
夜は、CVNの秦佳朗代表を訪ねに、武蔵小金井まで行ってきました。
CVNというのは、中国語のボランティアネットワークなのですが、秦さんは日本から中国へいく留学生のサポートもボランティアで行われていて、実は私も1995年ごろに上海留学を決めたとき、秦さんに連絡をとっていろいろ情報を教えて頂きました。そして、山之内 淳のペンネームでいろいろ文章を書くことになった、最初の最初はまさにこの秦さんの書籍から始まっています。
インターネットの黎明期で、中国留学の情報は全然なく、私のように個人が直接、英語で大学にコンタクトをとるのは結構至難の業だったのです。そんなとき、秦さんから色々アドバイスを頂いたのが私の中国留学の本当のスタートだったのです。
中国に渡ってからも、メールなどではつながっていたのですが、なかなか実際に会うチャンスがなく、今回の東京出張でついに実現したのでした。お元気そうでなによりでした。
私は20代の青春時代は、ずっと上海で過ごしているので、外国に長期滞在することに関して、自分なりのポリシーをもっているつもりです。特に、私の場合、日系企業の駐在員のように往復の航空券をもって海外で生活するのではなく、いわゆる片道切符で海外で過ごすことは、任期はなく自由ではあるものの、自分自身への大きな責任が課されているわけで、でもそれが仕事をする上でのモチベーションになっているのは確かです。
いま改めて分析してみると、日本を離れて海外で暮らすとき、祖国とのスタンスをどのように保つべきかいろいろ悩んだことがあります。上海に渡って最初の数年は、とにかくその土地になじんで、中国や中国の皆さんのことを知ることで精一杯でした。そのうち、「上海もわるくないぞ」、と思うようになり、日本に帰ることも滅多に減り、病院での仕事が忙しかったことも有り年に1回程度しか帰らない時期もありました。
しかし、最近になって、逆に日本に行くことが増えています。その理由をいろいろと考えてみたとき、やはり、「自分は日本人であったんだ」という再発見が、上海であったことだと思うんです。そして、日本を知らないといけないという衝動が起きてきているのです。
つまり、日本人として日本で生まれ、日本人とのつながりをもち、さらに中国でのつながりを発展させることのできるメリットが私にはあり、それをみすみす放棄してしまう理由はなにもないのだということを確信するようになったからです。
そして、日本に戻ることで日本の現状を理解することで、自分にとって何が出来るのかを考え、行動を起こすことが、海外在住だと意外と普通に出来てしまう。すなわち、自分の住み慣れたところを飛び出すことで再発見するチャンスが格段に増えて、それが仕事へのモチベーションになるように思います。
同じようなことを、昨日にお会いした丹羽仁先生もおっしゃっていました。先生は高度経済成長あたりにタイから日本へ留学されて、医師として30年以上活動されています。タイの故郷が貧しくても、故郷があるから、海外で頑張ることができるのだと。
今後も、祖国日本との最良のスタンスを模索しながら、私の海外生活が続くのだと考えています。
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【連絡】1.1月18日より中医クリニックは拡張移転しました。新しい住所は上海市中山西路1602号(×柳州路・徐虹北路)宏匯国際広場B座101室です。また土曜午後診察もはじまりました。週末診察は土曜日が午後・夜、日曜日が午前・午後になります。地図はこちらです。
2.日本での学会参加・講演会発表のため、2月16日午後〜19日まで休診します。