2012年02月29日

上海浦東新区での子供の鉛中毒の原因が分かったようです

 空気の汚染が、中国の大都市で人々の健康に害を与えはじめていることは、このブログでも何度も紹介しました。その証拠として、中国における肺癌患者と気管喘息患者の増加データからも分かりますし、ここ30年で肺炎の症状も変化して、ウイルス性の肺炎が明らかに増えているということとも関連がありそうです。呼吸器疾患の様子が変わってきた背景にはタバコと大気汚染との関係が指摘されています。

 大気汚染に関しては、上海市政府が、2011年9月に上海浦東新区の康橋エリアで、入園・入学前の児童を健康診断したところ、1306人中49名の1〜3歳の子供たちで鉛中毒が発覚しました。その後、市政府が調査に乗り出し、浦東新区康橋エリアにある3つの鉛関連の工場のうちで違法操業が見つかりました。このうち、1社は未許可で工場の生産規模を拡大して、鉛に汚染された物質を大気に放出していたほか、1社は勝手に生産方法をかえて、鉛を使っていたことが発覚、さらにもう1社では工場内の土壌から高濃度の亜鉛が検出された模様。そこで、操業停止などの処分を実施したとのことです。

 今回は、鉛中毒がでた子供たちの居住エリアと大気中に放出された鉛の含有量の分析がほぼ一致し、子供たちが鉛を含んだホコリを吸い込んだために体内に蓄積されたということで、結論を出していました。いずれにしろ、原因が工場の違法操業となると、なんともやりきれない思いですね。自分ぐらいやっても大丈夫といった企業のモラルが完全に欠落しているように思います。

 大気汚染に関しては、いつどこでなにが発生しているのかすぐには分からないことが多いだけに、厄介な問題なのですが、情報には注意したいところです。


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posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類