2012年03月21日

上海の高架道路に捨てられるゴミ、1日6トン

 上海市内を申の字で設置されている高架道路は、都市高速道路として無料で開放されていて、上海市内を移動するときは欠かせない道路です。
 ただ、道路自体はそれほど広いものではなく、北京などと比べると明らかに狭い。よって、一旦写真のどこかで事故や故障車がでてくると、あっという間に渋滞してしまうのです。早期に設計された道路の多くは、今の自動車の量を想定できていませんからね。1996年に私が上海に来たときは、市内を東西につなぐ延安高架道路ですらなかったのですよ。

 さて、中国でクルマを運転していて、結構厄介なのがゴミなどの落下物。これが尋常ではない。こちらで、教習所に通っていたときも、助手席に座っている教官が、ミカンの皮や、鼻をかんだテッシュなどを平気でぽいぽいしてしまうようなお国柄なのです。まあ、その程度ならまだ許せるとしても(あ、本来は許せないのですが。。。)、段ボールとか、ブロックとか、最強なのではタイヤが落ちていたこともありました。とにかく、上海の道路は、自動車専用道路ですら落下物に対して油断ができない。道路にあいている穴ぼこにも注意しますが。

 高架道路の清掃は、上海高架養護管理有限公司が行っているのだそうですが、1日に出てくるゴミの量はなんと5〜6トンだそうです。特に多いのが、南北高架道路だそうで、内環状線はまだマシなのだそうです。窓を閉める夏や冬はまだましでも、春や秋にはもっと増えるらしい。なんとの厄介な話です。

 鉄道でも長距離バスでも、外にゴミを捨てる習慣は、いまだに中国に残っている。昨今、バスも鉄道も窓が開かなくなって減ったとは思うのですが、停滞したあとの道路のゴミの量って、いつも本当に凄い。なぜそういうことが簡単にできてしまうのか、これだけ中国に長く居ても未だに理解できないのです。

中国ブログランキングへ
健康ブログ:「我が愛しの上海へ2」-理想の中医学と漢方を求めてhttp://mdfujita.sblo.jp/です。
【連絡】1月18日より中医クリニックは拡張移転しました。新しい住所は上海市中山西路1602号(×柳州路・徐虹北路)宏匯国際広場B座101室です。また土曜午後診察もはじまりました。週末診察は土曜日が午後・夜、日曜日が午前・午後になります。地図はこちらです。
 

今は高架道路はすべて緑の看板ですが、昔は青色の一般道路扱いでした。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

2012年03月20日

NHKあさイチの漢方特集をみて〜日中の伝統医学に思うこと〜

 最近、日本でちょっとした漢方ブームなんです。本来は、我が愛しの上海へ 2にかくべきテーマでしょうけど、あえて広く皆様に知って頂きたかったので、ここに書きました。

 伝統医学の携わっている私としては、大変嬉しいことです。だけど、中医学をしているものとしては、決して手放しでは喜べない点もあったりします。

 まず、漢方ブームというのは決して中医学ブームではないということ。「え、違うの?」とよく聞かれるのですが、漢方と中医学ははっきりと違います。ところが、事情をよく知らない翻訳家やさらに中国人の中医学の医師まで、中医学と漢方医学を同じモノだと勘違いしている。

 これは訳した人の認識不足によるとんでもない誤解なので、私はあえて言いたい。中国で「漢方」という言葉を使うときは、慎重に対応する必要があると。

 よく分かる例は、私が今年2月に東京医科歯科大学での学会で経験した、漢方VS中医学の構図はよろしくないを読んで頂いたらと思います。

 日本では、中国と違って伝統医師のライセンスがありません。つまり、西洋医師の先生方が、学会活動などを通じて伝統医学を勉強されているわけです。その中で、日本で圧倒的な勢力を持っている日本漢方(和漢)を勉強された先生方と、中医学で取り組んでいる先生方、さらに両方やってらっしゃる先生方など色々おられます。それはそれで、各分野の特徴を臨床で活かせていけばいいのですが、学術的な話になると、悲しいかな、なかなか共通項が見いだせていないのが現状なのです。(近い将来には変わると思いますが。)だから、鍼灸なども含めた日本漢方の総合的な医師ライセンスの設立を切に望むわけです。難しいかもしれませんが、全世界に日本漢方の存在を示し、そのレベルを上げるためにも、そうした医師ライセンスを作って方向性を示して欲しいです。もちろん、中国の中医師同様、漢方医ライセンスは、西洋医学的な知識も勉強するのが前提です。

 話はそれました。

 さて、19日朝に放送されたNHKあさイチの漢方特集をご覧になった方なら分かるでしょう。

 あの番組で紹介されたのは、やっぱり日本漢方なのです。明らかに中医学ではありません。その証拠に、コメントされた先生も、中国伝統医学とは違うという認識をはっきりとおっしゃっています。中医学も日本漢方もルーツは同じなのですが、発展してきた方向性が違うのです。

 たとえば、薬一つにしても、現代の日本漢方は原則的に単味が複合されたエキス剤。もともと、日本漢方も過去に遡れば煎じ薬がメインだったわけですが、保険適用の問題もあり、あらかじめ作られた決まった処方を出すのが一般的です。一方で、中医学はいまだに煎じ薬や単味のエキスがベース。教科書的な決まった処方に対して、患者さんの症状にあわせて単味の生薬を加えて加減していきます。実はより細かかったりするのです。日本のようにあらかじめ複合されたエキス剤を使うことはあまりありません。

 また、中国産の生薬の農薬などの問題も心配されていました。我々の場合、上海で正規に流通している生薬を使っていますが、GMP認証を取得しなければなりません。巷で売られている、だれでも手に入る生薬とは違います。ただ、日本はいまだに生薬原材料の大部分を中国に頼っていることは事実です。もちろん、厳しい基準がありますので、安全性ではまず問題ないと思います。

 ただ、番組をみていて一番感じたこと。

 それは、漢方ブームが起こっているのに、日本人の生活文化の中に、伝統医学の影がほとんどなくなってしまったことです。これはおそらく、東京をベースにした放送なので、日本でも田舎にいくといろいろ「おばあちゃんの智恵」的な伝統的な考え方が残っているようだけども、大都会では我々本来の人間の感性に基づいた伝統的な健康への常識が、いま殆ど感じられません。先人たちの智恵が忘れられているのです。
 本来はそういったものも含めて、漢方医学や中医学であるべきなのですが、やたら漢方薬ばかりが強調されている。さらに、薬さえ飲めば「体質改善」が出来てしまうと思わせてしまうところにも、私は、非常に危惧しています。
 なぜなら伝統医学の本質は、自分自身の力で病気を治さなければいけないという点だからです。いってみれば、伝統医学で体を治すと言うことは、患者さん自身の日々の努力の結果であり、医師はあくまでもその力を引き出す手助けをしているにすぎないからです。
 

 「未病」という言葉は、番組でもよく出てきました。未病とは、病気になるまえに予防するという意味と、病気になってからも病気の発展を防ぐという意味があります。

 しかし、この言葉にはさらに我々医師に対して、訓示とも言える大切な言葉があります。それは、「上工治未病」というもので、病気になる前に病気を治せるかどうかが、医師のレベルを示すものであり、決して症状が出てから(病気になってから)病気を治すものではないという考え方です。

 そのためには、まず体を鍛え、精神的にも安定させ、睡眠や食べ物に注意を払う、というのが最も大切で、その最後に漢方薬(中医薬)による治療を行うというのが原則なのです。
 実は、中医学も漢方医学もこの生薬服用にまでにたどり着く前段階で様々な健康保持のための手段がありました。残念ながら、今の日本では、漢方の病院にいっても、そうした手段はなかなか教えてもらえませんが、中国の場合、日常生活に自然と取り込まれていることは、中国にいらっしゃる皆さんなら実感できるでしょうし、医食同源などの言葉からも分かります。私は現代の中医学と日本漢方を比較したときの大きな違いではないかと思います。

 従って、本当に「体質改善」をするのならば、「漢方薬を飲んで終わり」という発想でなく、それをとりまく日常生活に関するあらゆる「生活改善」の手段を試してこそ、中医学や漢方医学の本来の姿であり、その効果を持続できるのです。もちろん、その中にはお灸や鍼なども含みます。例えば、簡単な例として、鍼灸ダイエットして、体を絞ることができても、リバウンドしてしまっては何も意味がないのです。

 興味深いことに、中国のテレビで中医学がテーマとなると、まず養生の話が突出してきます。文化的に、中国人はそうした中医学的養生を受け入れやすい素地があるようにも思います。科学的エビデンスを真っ先に求めがちな我々日本人とは、ちょっと違うかもしれません。このあたりのテーマは、日本の『中医臨床』2012年3月号にも論文を出しています。

 しかし、日本人は薬が好きな国民性だと思いました。やっぱり、漢方薬を先に飲んでしまうのでしょうね。病気の状態になるまでに、体の異常に対応出来る手段が、我々日本人にはあまりないのが残念です。

 それでは、最後に私の立場は?というと、やはり中国で勉強してきたものの一人として、私の治療思想は中医学がベースとなっています。しかし、積極的に日本漢方の考え方も取り入れてきました。なぜなら、我々日本人の中に活きているからです。
 さらに日々、日本の先生方と交流を続けている中で、日本漢方の良さも感じるようになってきました。まだまだこの伝統医学の世界に入ってきて17年程度と時間は短いのですが、途切れることなく臨床活動は継続してきました。そして、日本・中国の色々な学会にも顔を出しつつ、それぞれのメリットを取り入れた治療法をすすめていきたいと研究しています。(その一つが、ライフワークでもある温泉でもあるのですが。。。)

 その点、中医学というのは包容力が大きいような気がします。中医学のベースは、そもそもは各流派が集まってできたある種の「よせあつめ伝統医学」の体系化です。いわゆる、各家学説がベースなのです。さすが、中国らしいですね。

 どんな医学にしろ、最終的な目標は、人類の健康に貢献することです。その目的を達成するためには、あらゆるものを試してみようではありませんか。

 今回は、Twitterではつぶやききれないので、すこし長くなりました。最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

 私自身も先輩たちの教えを頂きながら、コツコツ勉強に励んでいきたいと思います。いろいろ討論できたら嬉しいです。

 中国ブログランキングへ
健康ブログ:「我が愛しの上海へ2」-理想の中医学と漢方を求めてhttp://mdfujita.sblo.jp/です。
【連絡】1月18日より中医クリニックは拡張移転しました。新しい住所は上海市中山西路1602号(×柳州路・徐虹北路)宏匯国際広場B座101室です。また土曜午後診察もはじまりました。週末診察は土曜日が午後・夜、日曜日が午前・午後になります。地図はこちらです。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

2012年03月18日

中国での残留農薬の問題と対策

 上海の日本人社会では、今別れと出会いのシーズンです。

 うちの中医クリニックの患者さんを見ていると、送る方も送られる方も送別会疲れをされている方がチラホラ。 でも、今年は感触的にも出る人よりも上海に入ってくる人の方が多そうです。また、新しい出会いがいろいろあるのではないかとワクワクします。

 中医学を知って下さった患者さんが、日本に帰っても日本の漢方に触れて下されば、私としては非常に本望です。

 そして、Facebookでまた、奈良高校時代の友達とつながりました。これも、20年ぶりぐらいの出来事。

 このワクワク感は、きっと自分の免疫力をぐっと高めてくれているような感じで、なんかものすごく嬉しいです。近年、仲間とのつながりがこんなに喜ばしいことなのか、ということを改めて実感しています。
 リアルなつながりも、今後大切にしていきたいと思います。ネットの恩恵を強く感じています。

=======
 ところで、我が家では、相変わらず「一畝田」から野菜を買っています。収穫したての野菜を、明け方まだ暗いうちに届けてくれる搬送システムは、この上海ではグッドアイデア。悪名高き交通渋滞を避けることができますし、朝起きたときに、まるでサンタクロースからプレゼントが届くように、ドアの入り口に野菜が置いてあるのは楽しい。

 いずれにしろ、美味しい野菜とまずい野菜というのは、この上海ではあまりにもはっきりとしていて、ある意味、人間の本能的なものではないかと思うのです。上海での食生活は、食あたりのことも含めて、その本能を毎日研ぎ澄ませる必要があります。安全なものが巷で販売されているとは限りませんから。このあたりは、日本と感覚がまったく違います。

 

届けられた野菜


 野菜と言えば、残留農薬の問題は中国では頭の痛い問題。野菜を買うときに、さらに使うときに、いろいろ注意をする必要があります。また、ちょっと知識のある中国人なら、結構普通に知られていることでもあります。

 浙江省杭州市の余杭区の農作物検査センター実験室が、最近(2011年)の農作物の残留農薬の傾向について公表していますので、参考までにまとめておきます。

 うちの上海人の妻もよく言っていますが、上海人の多くはあまり白菜を食べない。その理由は、やはり残留農薬の問題。今回のセンターの実験でも、白菜類(大白菜・小白菜ともに)は、不合格になることが多かった。また、生産周期が短い青梗菜も要注意。青梗菜ぐらいだったら、すぐに生えてくるので、プランターでも簡単に育てることができますよ。我が家ではそうしています。

 さらに、セロリやピーマン・唐辛子、ナタマメ・ササゲ類も要注意。根モノでは、大根も引っかかっていました。瓜類では、キュウリや苦瓜、芋類では馬鈴薯、ネギ類では一般的なネギも引っかかっていましたが、全体での合格率は90%を超えていたようで、まずまずだったようです。

 そこで、合格率の低かった順に並べると、豆類が最も低く、続いてナスビ・ピーマン類、白菜類、緑の葉っぱの野菜、芋類、ネギやニンニク類、瓜類となり、特に農薬に関してはトウモロコシや落花生、多年生の野菜、水生の野菜、苗類なども比較的安全なようです。

 葉物の野菜は、虫の影響を受けやすく、すぐに成長し、農薬も大面積で散布することが多いので、どうしても残留農薬が出やすい傾向にありますし、中華料理でよく使われるナタマメやササゲなどの豆類はしっかりと洗ってから使う必要があります。注意したいのは、やはり白菜類の農薬が緑の葉の野菜よりも多かった点です。白菜、美味しいのだけど。。。。。

 結局、虫がつきにくい野菜は総じて安全ということなので、そのあたりの知識を動員して、野菜を買うのが大切ですし、農薬には水性のものが多いので、しっかりと洗うことを忘れないのが大切です。
 これらの地元上海の主婦層なら、結構普通に気をつけていることかと思います。

 中国というのは、自己責任の社会ですから。


中国ブログランキングへ
健康ブログ:「我が愛しの上海へ2」-理想の中医学と漢方を求めてhttp://mdfujita.sblo.jp/です。
【連絡】1月18日より中医クリニックは拡張移転しました。新しい住所は上海市中山西路1602号(×柳州路・徐虹北路)宏匯国際広場B座101室です。また土曜午後診察もはじまりました。週末診察は土曜日が午後・夜、日曜日が午前・午後になります。地図はこちらです。

posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類