2012年03月16日

我が師匠のところへ

 久しぶりに私の中医学の師匠である、上海中医薬大学附属竜華医院の陳以平教授のお宅を家族で訪れました。中国での中医学による腎臓病研究の大家の一人です。

 もう80歳近いのに、いまでも第一線で診察されていて、中国全国から患者さんがこられます。また、海外での学会活動も盛んで、私も院生時代は先生の鞄持ちとしてカナダなどに飛びました。

 毎年、先生のお宅へはご挨拶に行っていたのですが、今年は年初からバタバタしていて行くことができず、非礼を平に謝りました。

 中医学など伝統医学の世界では、教科書や本だけでは身につけられないことが沢山あり、やはり師匠とのつながりが強いです。また、どの師匠についたかが、自分の中医人生に大きな影響を与えるのもまた事実です。

 大学院にいた6年間は、先生からみっちりと指導をうけましたし、大学を出た後も、師匠とその先輩弟子たちとのつながりは非常に強く、今でも頻繁に情報交換しています。先生の弟子は、今やアメリカのハーバード大学など世界各地で活躍しており、先輩たちの話を伺うと、私も大変刺激をうけます。中国人のネットワークというのは、本当に心強いのです。

 大学院を出てから、もうかれこれ5年になります。

 師匠は相変わらず臨床活動や研究活動に忙しく、現役で頑張っておられる姿をみると、私も将来もずっとそうありたいと強く思いました。中医学は臨床を続けた年数の分だけ、その経験が生きてくる分野です。

 ただ、お話を伺っていると、私が大学院時代にお世話になった高齢の教授陣で、体調を壊している方も少なく無く、過ぎ去った時間を実感したのでした。

 これからも、なるべく頻繁に師匠のところへ顔を出そうと思うのでした。

 今日は、夜に上海の茨城県県人会の懇親会によばれたので、夜の診察が終わったらほんの30分ほどになってしまいますが、顔を出させていただきます。皆様とお会いできるのを楽しみに、どうぞよろしくお願いします。


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posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

2012年03月15日

中国初の赤ちゃんポストの行方

 中国で生活していて、私自身が一番違和感を感じているのは、やはり人の命に対する重みの考え方の違いではないかと思います。

 例えば、私も中医クリニックで中医学や漢方を使った不妊治療を長らくやってきているけど、一つの生命が誕生するのに、ものすごく色々な努力と偶然が必要なのに、それをあっさりと放棄してしまう人が、やはりこの国には多いように感じてしまうのです。
 一方で、現地の婦人科に研修していたときも、私自身こちらの医師たちの考え方・理念・行為には正直と疑問点を持ってしまいました。文化の違いと言えば、それまでかもしれませんが。。。ただ、命に対する重みは明らかに私自身の常識とはすこしかけ離れている印象です。

 連日、いろいろな場所で報道される新生児の遺棄事件。

 その対策として、2011年6月1日に河北省石家荘の福利院で中国ではじめて設置された赤ちゃんポストについては、中国も様々な論争がありました。さらに子供の遺棄行為増えるのではないか、という論争もありましたが、半年後の様子が紹介されていました。

 「嬰児安全島」と呼ばれる、まるで小さな交番のような石家荘の赤ちゃんポストは、半年で24人の赤ちゃんを保護しました。一方で、石家荘全域で遺棄された赤ちゃんの総数は75人。2010年同期が83人、2009年が105人だったので、それよりも減少しているとのこと。つまり、赤ちゃんポストの設置で、遺棄される子供の数は必ずしも増えないとしています。

 

 一方で、今まで遺棄された赤ちゃんの半数以上が保護後に死亡していたのに、赤ちゃんポストを設置してから翌1月末までに26人中18人が命を取り留めたことも成果の一つだとしています。今まで、赤ちゃんは草むらや公園などに遺棄されていたことが多く、肺炎や外傷のリスクが高かったのです。

 赤ちゃんポストの中は、32.7℃に設定されていて、子供が置かれると親自身がスイッチを押して係員に気付かれるようになっているほか、2時間おきにパトロールするようになっているのだそうで、すぐにでも係員が来れる体制を作っています。

 こうした努力で、小さな命が少しでも救われているのなら、今後もこの制度は続けていくべきでしょう。

 しかし、一つの市だけで、年間100人前後の赤ちゃんが遺棄されている現実。中国全国だったらいったいどれほどなのだろうか、検討もつきません。


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2012年03月13日

方言の問題

 復旦大学附属華東医院が調査を行ったところ、患者にとって最も不満なことに、医師が上海語を理解できないという項目が入っていました。一方で、第一線の医者にとっても、特に高齢者などに多い、上海語しか喋ることのできない患者さんに対して、如何にして意思疎通をはかるか?という問題は、非常に重要な課題なのです。

 上海語は、外来人口の増加で、巷で耳にするチャンスは以前よりは明らかに減っていますが、それでも、上海人の社会では欠かせません。普通語とは少し似ているところもありますが、普通に聞く限り、全く違う言語であるといっても過言ではありません。一般的に、中国語を母国語としている場合、

 私自身、こちらの大学附属病院に所属していたとき、特に外来の患者さんで、上海語しかうまく喋られない方との交流には、四苦八苦したものです。主任から上海語の大切さは日頃から言われていましたが、実際に臨床に出ると、普通語だけでは対応できないもどかしさを感じたもので、私も結局上海語を勉強しました。中医学や漢方医学では、問診を非常に大事にしますから、意思疎通がうまくいかなければ、それだけでも効果に影響がでてくると思います。

 これは、外国語を使っての診察も同じで、通訳を通して診察することは、特に微妙な症状の変化を知る必要がある伝統医学に関して難しいことが多く、やはり医師の言語能力は非常に大切だと思います。幸い、私は妻が上海人なので、上海特有の色々な表現を教えてもらえたのは救いです。

 そこで、前述の華東医院では、第一線で働く医師を対象に、上海語の講座を開いて対策するようです。

 ちなみに、上海人の母から生まれたうちの娘ですが、やはり上海語が苦手。聞き取ることは問題なさそうですが、喋るチャンスがない。
 今の中高年が亡くなってしまったら、上海語をひきつぐ担い手は確実に減っているようで、やはり文化としての上海語の将来が心配ですね。

 ちなみに、私は関西人ですので、どうも関西訛りが言葉に出るようです。あしからず。

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