過疎の農村エリアである一方、地域のぬくもりを肌で感じることができたすばらしい旅となりました。その中でも、私にとっては健康食とはどういうものかを考えさせられました。
中医学や漢方医学では、養生という考え方があります。そこには、季節の移ろいとともに食材を変え、旬の物を食べるという大原則があります。とくに山里になると、交通の便が極端に悪くなるので、郷土料理が根強く残っていますが、その理念には伝統医学に基づいた考え方が息づいていることも忘れてはいけません。
さて、出雲地方といえばやはり蕎麦が有名です。大きく分けて、割り子蕎麦と釜揚げ蕎麦の2種類がありました。温泉学会のエクスカーションでお邪魔した奥出雲町の稲田神社では、地元の蕎麦を使った十割蕎麦を頂きました。稲田神社の社務所にある蕎麦屋が有名で、(仁多郡奥出雲町稲原2128−1 稲田神社内 電話:0854−52−2560 11:00〜15:00)ここはぜひ訪れたい場所です
地元の食材をふんだんにつかった蕎麦御膳は限定食で、予約が必要なのですが、割り子そばの他にも、地元の食材をふんだんにつかった料理が出てきました。割り子そばの食べ方は、蕎麦に汁をかけていただきます。出汁に浸して食べる方法と異なっているのが興味深い。地元の人に聞いてみると、蕎麦はズルズルとのどごしを楽しむより、蕎麦の香りを楽しんで欲しいと言うこと。運転手さんに聞いてみても、逆に汁につけて食べる蕎麦の食べ方に、非常に驚かれました!
興味深かったのは、この地方では野良仕事で蕎麦を弁当として持っていくこともあり、その場合もやっぱり少量の出汁をかけて食べるのだそうです。確かにその方が持ち運びがラクでしょうね。
さらに興味深かったのは、蕎麦御膳には動物性のタンパク質を使った食材が殆どなかった点。地元の人は、よっぽどのイベントが無い限り、動物を殺してたべることはなかったと言っていました。奥出雲エリアは、島根県でも有数の長寿エリア。こうした食生活とも関係があるようにも思います。
帰りに立ち寄った出雲大社。日本全国の神様が集まってくる、日本でも有数のパワースポットに寄らない理由はありません。残念ながら来年5月頃まで本殿は改修中でした。ただ、厄年になる妻への願いも込めてしっかりとお参りしました。
出雲大社では、今度は釜揚げ蕎麦を頂きましたが、こちらは蕎麦つゆをスープにした、暖かい蕎麦を頂く方法です。出汁はほんの味付け程度しか使われず、スープの大部分はそばつゆなのです。これも興味深い。中医学でも、消化吸収を助けるために、餃子を食べるときは餃子の煮汁を飲む習慣がありますが、蕎麦つゆにもそうしたことと関係があるように思います。
こうした日本の農村エリアで、最高の恵みは、やはりきれいな空気と水だと思います。
これだけは、いくら科学技術が発達しても上海で手に入れることができない。奈良へ戻る途中、大山の麓の「地蔵滝の泉」で、わき水をいただきましたが、ここは平成の名水百選にも選ばれており、鳥取県有数の名水でもありました。
そして、蒜山にいったら、米子道蒜山SAで、蒜山の名水をつかった豆腐もいただきました。豊かな水は、中国にいる我々にとっても本当にうらやましい限りです。日本にはこうした名水が、まるで無尽蔵にあるかのように沸きだしてくるのは、驚く限りです。
妻ともいつも話しているのですが、老後は絶対水と空気のいいところに住むと思っています。健康に暮らすには、まず環境の問題をどうにかしないといけません。そういった意味でも、中国から島根・鳥取あたりに直行便があってもいいのではないかと思います。
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