2012年03月15日

中国初の赤ちゃんポストの行方

 中国で生活していて、私自身が一番違和感を感じているのは、やはり人の命に対する重みの考え方の違いではないかと思います。

 例えば、私も中医クリニックで中医学や漢方を使った不妊治療を長らくやってきているけど、一つの生命が誕生するのに、ものすごく色々な努力と偶然が必要なのに、それをあっさりと放棄してしまう人が、やはりこの国には多いように感じてしまうのです。
 一方で、現地の婦人科に研修していたときも、私自身こちらの医師たちの考え方・理念・行為には正直と疑問点を持ってしまいました。文化の違いと言えば、それまでかもしれませんが。。。ただ、命に対する重みは明らかに私自身の常識とはすこしかけ離れている印象です。

 連日、いろいろな場所で報道される新生児の遺棄事件。

 その対策として、2011年6月1日に河北省石家荘の福利院で中国ではじめて設置された赤ちゃんポストについては、中国も様々な論争がありました。さらに子供の遺棄行為増えるのではないか、という論争もありましたが、半年後の様子が紹介されていました。

 「嬰児安全島」と呼ばれる、まるで小さな交番のような石家荘の赤ちゃんポストは、半年で24人の赤ちゃんを保護しました。一方で、石家荘全域で遺棄された赤ちゃんの総数は75人。2010年同期が83人、2009年が105人だったので、それよりも減少しているとのこと。つまり、赤ちゃんポストの設置で、遺棄される子供の数は必ずしも増えないとしています。

 

 一方で、今まで遺棄された赤ちゃんの半数以上が保護後に死亡していたのに、赤ちゃんポストを設置してから翌1月末までに26人中18人が命を取り留めたことも成果の一つだとしています。今まで、赤ちゃんは草むらや公園などに遺棄されていたことが多く、肺炎や外傷のリスクが高かったのです。

 赤ちゃんポストの中は、32.7℃に設定されていて、子供が置かれると親自身がスイッチを押して係員に気付かれるようになっているほか、2時間おきにパトロールするようになっているのだそうで、すぐにでも係員が来れる体制を作っています。

 こうした努力で、小さな命が少しでも救われているのなら、今後もこの制度は続けていくべきでしょう。

 しかし、一つの市だけで、年間100人前後の赤ちゃんが遺棄されている現実。中国全国だったらいったいどれほどなのだろうか、検討もつきません。


中国ブログランキングへ
健康ブログ:「我が愛しの上海へ2」-理想の中医学と漢方を求めては、http://mdfujita.sblo.jp/です。
【連絡】1月18日より中医クリニックは拡張移転しました。新しい住所は上海市中山西路1602号(×柳州路・徐虹北路)宏匯国際広場B座101室です。また土曜午後診察もはじまりました。週末診察は土曜日が午後・夜、日曜日が午前・午後になります。地図はこちらです。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類