2012年04月08日

歪んでしまった中国のお酒文化

 お酒は、そもそも中医学とも深く関係があり、薬用酒に代表されるように、治療するものとして重宝されてきました。
 しかし、近年はあの中国式宴会の「乾杯」の嵐に代表されるように、お酒そのものの飲み方自体が大きく変わってきました。酒場が、「白酒」力を試すための主戦場となり、とくに中国の地方や、特に北方エリアなどにいくと変な接待の習慣が出来てしまっています。それが脂肪肝など肝臓を壊す原因となったりしますが、そのあたりについては、痩せていても脂肪肝に注意ををご覧ください。

 さて、本来はちびちびと楽しむはずだった中国の酒文化が、今では歪んでしまい、最悪体を壊してしまう浪費文化になりつつあります。

 いまや、中国はアルコール類消費の大国になっています。『人民日報』の報道では、ビールの生産量は世界一、ワインの消費量は年間11.56億瓶。さらに、白酒(64度で計算)となると2011年上半期で480万キロリットル生産され、まだ20%ずつ増えているらしい。
 興味深いのは、お酒を造るための穀物の消費量。白酒1キロ生産するのに必要な穀物の料は3キロだそうで、白酒の製造のために年間5億5千万トンの穀物が消費されていて、それらがまるで湯水の如く「浪費」されているのではないかというのです。

 では、なぜ「浪費」と表現されるかといえば、大部分が役人や企業の接待で使われているという点が問題となっていて、中国の高級なお酒は、味を楽しむ以前に、とくにそういう傾向が強いとされています。当然、自分のお金ではないから消費意欲は旺盛で、高級なお酒の値段は上がる一方となり、ある種のバブル的様相になっています。政府もこの問題を重視しだしており、規制も入りつつあります。

 

 その結果、人々の体に異常が出始めます。

 中国のちょっとした高級レストランに、タバコの煙に燻されながらも行ってみると、夜8〜9時ぐらいになると、フラフラになって席で倒れてしまったり、フロアで嘔吐し出したり、派手にケンカしたりする酔っ払いを時々見かけます。これはどう考えてもよろしくない。本来、中国の酒文化では、こういった行為は恥とされたのですが、今ではあまりお構いなしといった感じです。もちろん、紳士的にお酒を楽しまれている方も沢山おられますが。。。。

 中医学でお酒が体にいいとしたのは、あくまでも少量の場合。アルコール類の1日の摂取量は、白酒なら50CC未満、ワインなら150CC未満、ビールなら300CC 未満とされていますが、現実の宴会ではこの程度の量では済ませられません。

 中医学でも「醒酒」や「解酒」といった効能の生薬はないこともないのですが、それ以上に飲酒する絶対量を減らさないと話が始まりません。


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posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類