2012年04月15日

工業用ゼラチン→医薬品カプセル

 朝から、上海のマスコミ各社がどかんと報道していますが、CCTVが報道した『毎週質量報告』で、工業用ゼラチンが、医薬品のカプセルに使われていたことが発覚し、大問題になっています。

 医薬品に欠かせないカプセルの生産量では中国一で、全中国の三分の一の量を製造している浙江省新昌県ですが、ここで工業用のゼラチンを使って医薬品用のカプセルを製造していることがわかりました。目的はもちろん、コストダウン。
 工業用の皮の端切れなどを集めてきて、再加工し、それを幾度となく洗浄すると、外見上区別がつかないほどの軟らかくて色の白い皮ができるのだそうです。

 今回は、カプセルに含まれるクロムの量が基準値以上であったところから発覚しました。基準値の90倍のクロムが見つかったケースもあったようです。


 中国の規定では、食用されるゼラチンの原材料は、動物の皮や骨から作られることになっていて、工業用に使われる皮革をつかうのはもちろん禁止されています。また、皮をなめすときに使われるのがクロムで、なめしたあとは、靴やベルトなどに使われるのですが、その皮が、薬用カプセルの原料として流入したということです。

 さらに問題となっているのが、こうしたカプセルが、検査も十分に受けずに、製薬会社に流れていた問題です。製薬会社によっては、検査もなく「合格」としてすり抜けていたケースもあったようです。つまり、実態がはっきりと分かっていないことが今回のケースではっきりとしてきました。

 上海には今のところ、問題となった製薬会社の製造したカプセル製剤はほとんど流通していないとのことですが、カプセルは医薬品として西洋薬や中成薬(中医薬)として使われるだけでなく、近年では健康食品など食品の分野にも紛れ込む可能性が十分にあります。

 重金属クロムは非常に有害な金属です。肝臓や腎臓に蓄積されるだけでなう、発がん性が強い物質でもあります。

 今回、問題となったカプセルを使った製薬会社は、青海省や吉林省、四川省などのものが大部分でした。やはり、上海で医薬品を使うときは、できるだけ上海などにある大手医薬品会社のものを使うことが安心です。中国では、処方名が同じでも、メーカーが違うケースが多々あります。そういうときは、有名な会社のものを、大手の薬局で正規に流通しているものを購入するのが無難だと思います。

 社会が複雑になり、流通経路が見えにくくなると、本当にいろいろなことが起こりやすくなりますね。

 工業用ゼラチンの問題に関しては、これまでにもヨーグルトが怪しいのではないか?という報道も出ています。やはり、原材料がしっかりとしたものを使い、できるかぎり自分たちで作るようにしなくてはいけませんね。
 
 ところで、中医学でのインフルエンザ治療で、2012年版の処方が国家中医薬管理局から発表されましたので、こちらに掲載しました。
 

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posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類