2012年04月23日

「楽天」もやはり日本大企業病だったのかも。

 日本のメディアにもたびたび登場し、中国でも大きく取りあげた2010年10月の楽天と百度の共同出資によるB2Cサイト「楽酷天」でしたが、結局うまく行かず、2012年5月末までに閉鎖されることになりました。

 楽天が大株主なので、運営は楽天サイドが行っていて、百度側は初期に人員などを派遣して運営していたそうですが、「中国で東京の流行を享受する」という当初の目的は果たせなかったようです。これまでも、幾度となく日本の商品を中国で売るというサイトが登場しては潰れてきましたが、今回も例外ではないと思います。

 中国のネット業界では、この「楽酷天」のコンセプトに対してはあまり好感が持てたという声は上がっていませんでした。リストラの話や、百度が資本を引き上げるとか、よくないウワサばかり。そんな中、今回の閉鎖のニュースが流れたので、仕方がないと思われても無理がないでしょう。

 撤退の理由について、中国ではいろいろな分析が出ています。日本側が、中国の百度の資金や技術、アクセス数をうまく利用できなかったとか、中国のB2Cビジネスが価格競争に陥っており、そこに膨大な広告費をかけて仕掛けてくるビジネスモデルはあわなかったとか、下克上である中国市場の実態をよくしらなかったとか、色々です。

 その中でも、私が興味を持ったのは、こちらで報道された楽天内部の中国での管理体制。『新聞晩報』が社員のインタビューとして紹介しています。
 それによると、「楽酷天」を管理していた上層部は殆ど日本人で、中国語をまともに使える人は殆どおらず、討論するには専ら英語・日本語・中国語の通訳で入り乱れていたとか。日本から派遣された人たちも、お互い足を引っ張り合っていて、責任の押し付け合いをしていたのだそうです。100%事実ではないにかもしれませんが、今の日本ではあり得そうな話。

 楽天が日本で成功できたのは、日本という時間軸の流れの中だったからかもしれません。同じことを中国ではできなかった。上記のように中国人からみられているのは、やはり楽天にも日本大企業病があったのかもしれません。そうだとすると、今回の撤退は、中国人からも明らかに経験不足といわれても仕方がない。

 そもそも、日本と全く違う中国の文化的環境の中で、日本の商品を売ったらうれるという発想自体が、もう古いと思います。また、ポータルサイトを作って、そこで商品を売るという考えも古い。今や、消費者は様々なプラットフオームでモノを買っており、一つのサイトに誘導してというのは難しいと思います。ネットはものすごく縦横無尽に動き回れる空間に変わってきました。この15年の間に、ネットをとりまく環境は大きく変わってきました。

 また、中国の企業運営は中国ならではやりかたを取り入れなければいけない。今まで、何かにつけて「日本では。。。」というといけるように思えていたビジネスモデルも、近年では中国がスピードをつけてきたので、追いつけなくなったのかもしれません。逆に、中国が力をつけてくると、中国モデルが日本にどんどん入っていく可能性もあります。

 我々日本人の考え方も、様々な多様性を受け入れられるようにしないと、今後様々な外からの困難に対応できなくなるように思います。物作りのこだわりは大切ですが・・・・。



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posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類