2012年05月02日

独創性の問題か〜江蘇省如皋の家具工房にて

 今回の江蘇省如皋訪問で訪れた家具工房。社長はもともと上海で家具を作っていて、いまふるさとの如皋にもどって工房で仕事をしています。この道25年のベテラン。家具と言っても、取り扱っているのは紅木(いわゆる紫檀)などを使った高級家具で、注文生産しかしていません。

 如皋市内の2階建ての住宅の庭先に工房があり、材料が処狭しと積まれていました。昔、中国南部でも豊富に手に入った紅木ですが、今では手に入れるのが難しく、アフリカやミャンマーなどから仕入れてくるのだそうです。

 注文家具だから、なにかと面倒かと思いきや、ぜんぜんそうではなく、作って欲しいデザインのアイデアやサンプルでもあればなんでも作ると言うこと。さっそく、簡単な手書きの図案をもとに、家具が作られていました。上海の某病院の院長宅に使われるものだそうです。

 上海まで運ぶのも大変では?とも思ったのですが、家具業界内でのトラックネットワークがあるので、ついでに運んであげるという嬉しい返事。なるほど、道理で上海からの注文が多いわけです。

 ただ、ここでも案の定、人手不足。以前は、職人さんが仕事を見つけるのに、社長にお土産をもってきて求職していたのが、いまや逆で、社長から色々とお願いしないといけないのだそうです。さらに、職人の高齢化が進んでいて、今の職人さんが病気にでもなったら大変だと言っていました。若い人が木工に携わらず、工賃はあがる一方で、同業者の廃業も多いのだそうです。

 一方で、商売はかなり繁盛。もう今年中の注文は確保できているようですが、いま注文をすると10月頃には完成できるということでした。

 冗談に、もっと規模を大きく出来るんでは?と社長に話をしていたのですが、あまりその気はないみたい。先日も、日本人から合資でやらないか?という話が来たのだそうですが、日本人とは商売したくないと言っていました。納期がうるさくて、話が細かい上に、値段が安すぎて、話にならないということでした。

 むしろ、今のように小さくても自分のペースで仕事ができるので十分だと言うことでした。まあ、今の日本の状況を考えたら、納得できますよね。今日も、社長は近くの河へ魚釣りにいっていて、私からの電話で急いで戻ってきてくれたのだそうです。バケツには、今晩の魚が泳いでいました。

 結局、中国ではこんな小さな工房でも、そこそこの注文が来て、ご飯を食べていけます。なにもそんなアセクセする必要はないし、だから上海から故郷の如皋へ戻ってきたということです。あえて、足りないといえば独創性ではないかと思います。大抵の作品は、人が作ったものの写しなどが多く、オリジナルであっと言わせるものは少ない。

 世界の工場といわれている中国なので、物作りに関するノウハウは捜せば大抵は見つかります。だけど、それをどうやって活用して、さらにいい物を作るのか?という話になるとまだもう少し時間がかかるように思います。

 というわけで、我が家の食卓も既製品が手に入るかと思えばそう簡単ではないようで、もう少しアイデアを練ってから図面を渡そうと思っています。確かに、何かを作るとなったら、中国ほど便利な場所はないのですから、それを活用しないといけませんね。逆に、既製品でいいものに巡りあえないのも、何となく納得できます。そして、何でも簡単に作ってしまうから、知的財産権の問題が出てきてしまうのでしょうね。

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長寿の街、江蘇省如皋(じょこう)を歩くを更新しました。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類