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さて、マスコミでも紹介された上海市社会科学院の『2012年上海市小中学生成長状況最新調査報告』を見ていたら、いまの上海の子供たちの色々興味深い考え方が見えてきました。
まず、上海の子供たちは、今後も上海に残って生活・仕事をしたいと考えているのが全体の39.7%で最高。次に、海外に行きたいというのが22.6%、そして中国の他の都市へ行きたいというのが9.1%となっています。当然のことかもしれませんが、上海に残りたいと考えているのは、上海生まれの子供たちが最も多く、全体の46.6%となっています。また、上海生まれの子供たちは、地方出身者よりも海外で暮らしたいという夢を持っているようで、26.8%が海外を望み、一方で地方出身者の子供たちは18.3%でした。男女間では、女の子のほうが海外で暮らしたい希望が多いようです。この差は、上海生まれの子供たちのほうが、地方出身者よりも大きいようで、上海出身の女の子は、小さい頃から海外で暮らすことに憧れているようです。
ただ、外からきた子供たちの多くは、将来も上海に残りたいという人が32.7%もいたのに対して、上海以外の都市にも行きたいという人も多く、全体の25%が中国のそのほかでの地域で暮らしたいと考えているとのこと。これは、海外で暮らしたいという18.3%と比較してもはるかに多いことが分かります。
さて、上海の小中学生の成績についても興味深いレポートが出ていました。小学3年生から中学3年生までは、女子の成績が男子よりもよく、成績以外でも、心理的・社会的適応力に関してまでも女子のほうが男子よりも優れているという結果でした。上海では、伝統的に女性が強いというのは中国全土でも有名な話ですが、その素地は、ひょっとして子供時代からの教育とも関係があるのではないかと考えられますし、一方で、男子をどうやって育成するかという問題は、上海の今後の課題として考えられています。そんな背景から、男子校が上海市でもスタートしましたが、果たしてどういう成果があげられるのか楽しいです。
大きくなってからの夢について、どういう仕事が選ばれているか見てみると、これも国情の違いをはっきりと表していました。職業としては科学者がトップで、続いて公務員などに相当する幹部、軍人と続きます。医師や弁護士になりたいという子供たちのランキングが低かったのは、今時の上海の世相を反映しているのかもしれませんね。
今回の調査で特に話題となったのは、上海語を喋ることのできる小中学生は、たったの6割しかいなかったこと。おそらく、70年代や80年代に生まれた親の世代は普通語で育っており、上海語を使うチャンスが激減していることと関係があると思われます。うちも、妻が上海人ですが、娘の上海語の理解は怪しいです。
ただ、方言というのは時代と共に変化するものですし、喋る人がいなければ淘汰されるのも仕方が無いことですが、文化としては残って欲しいなと思います。
最後に、中医学とはすこし離れますが、上海市で実施されている予防接種のスケジュールをまとめてみました。詳しくは、こちらをご覧ください。
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【連絡】6月7日〜10日までは日本温泉気候物理医学会のため東京・秋田へ、6月28日〜7月1日まで日本東洋医学学会のため休診します。