朝は9時前からスタートするのですが、奈良からは(隣の県なのに)2時間かかるので、今回は新大阪経由で関空特急「はるか」にのって京都に乗り込みました。関西に実家があるのに、「はるか」は初体験ですが、さすがに内装が陳腐化していて、そろそろ更新時期にきているような印象。天王寺から京都までは40分ほどで到着しました。
さすがに伝統医学の大規模な学会だけに、会場が9つに、ポスター会場と展示会場という構成でした。とても一人ではまわりきれる量ではないので、興味ある内容をかいつまむしかありません。
私は、シンポジウム「京上方の医療と医学の歴史」、中田敬吾先生の「昭和の漢方復興を影で支えた巨人」、竹川佳宏先生の「Can Kampo therapy prolong the life of cancer patients?」、ランチョセミナーは、漢方医学と香りのお話を聞き、茶道の千玄室先生の特別講演「日本のこころ やまと心」、午後のシンポジウムでは、「妊娠年齢の高齢化による妊孕能低下にたいして東洋医学的治療はどこまで有効か」と続き、あとは生憎の雨で、庭園内で予定されていた懇親会は、屋内になりましたが、日本の多くの先生方と交流させて頂きました。
しかし、密かに期待値が高かったのが、今回初参加させていただいた練馬総合病院の中田先生の呼びかけて行われた「漢方医学を熱く語る会」。医師・鍼灸師・薬剤師などさまざまな分野の先生が集まって夜の9時から明け方3時頃まで熱く意見を戦わせました。
あまりにも熱くなりすぎてか、空調が故障して水が流れ出すハプニングがありましたが、関西セミナーハウスでの夕べは、今回の日本滞在の中でも忘れられないものになりました。講師は、江部流の経方で有名な京都高雄病院の小栗先生、そして熊本赤十字病院の加島先生。昼間は、どちらかと言えば日本漢方的な流れの話が多かったのですが、夜はそうした垣根を取り払い、小栗先生の人柄がにじみ出てくるような経方への愛情と、加島先生の金元四大家のお話は、大変血となり、実となるお話でした。
さっそく、私も日頃の臨床で実践してみたいと思わせるヒントがいろいろでした。高知の松岡先生には、日本の漢方と中医学との歴史的な関係、そして日本漢方の医学史などのお話を伺うことができました。目からうろこてきな発見も沢山ありました。
来年第4回の鹿児島では、私もお話させていただくことになりました。よろしくご指導お願いします。
東洋医学と呼ばれる日本漢方や中医学を勉強する世代も、我々と同世代が増えてきて風通しが良くなってきたような印象です。様々な勉強会に参加して、その情熱の深さだけでなく、真実を追究する姿勢は、カチカチに固まりつつある中国の現代中医学に対して、十分に意見を出せるようになってきているように思います。伝統医学の理論はもちろん大切ですが、その根底にあるものはやはり確実な治療効果がなえれば意味がありません。
我々日本人がもつ緻密でかつ系統だった思考の方法は、中国の人たちとはまたちがった成果を生み出すに違い有りません。最終的に、伝統医学分野全体の発展ができて、少しでも全世界の人々の健康のために貢献できればいいのです。
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健康ブログ:「我が愛しの上海へ2」-理想の中医学と漢方を求めて
【連絡】・6月28日〜7月1日まで日本東洋医学学会のため休診します。
・7月17日に上海のガーデンホテルで一般向け講演会を開催します。テーマは「中国伝統医学からみた上海の最新アレルギー事情」です。