2012年06月23日

毎秒1300食 驚異の即席麺王国

 先日の健康診断の結果が戻ってきました。

 すべての指標で今回も問題ありませんでした。なんとか元気な状態で、あと数年で来る40代を迎えたいですし、日頃から「中医学の養生」を提唱しているかぎり、自分自身で実践できなければ患者さんに示しがつきません。昼間の弁当と、夜の節食、そして1日8000歩はなんとか死守したいと思っています。

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 さて、中国のスーパーに限らず、コンビニでも圧倒的な品ぞろいを誇るのが即席麺。そして、田舎に行っても、旅行にいっても、食べるチャンスが非常に多いのも即席麺。どこでも本用によく見かけます。

 中国工信部によると、2011年に中国で生産された即席麺の数は483.8億袋。1日約1億袋の即席麺が開封されているそうで、時間で計算すると、毎秒1300食消費されているという驚異的な数字です。

 即席麺と建康との関係について。

 諸説がありますが、即席麺そのものについては、水分が殆ど無いため防腐剤は必要有りませんし、技術の進歩により、リン酸塩の含有量もほんのわずかで、一般的な摂取では身体には殆ど影響ないとされています。では、なにに問題があるかといえば、塩分とトランス脂肪酸、さらにデンプン類を高温で加熱したときに発生するアクリルアミドではないかと思います。

 中国における塩分の問題については、中国人の昼食と塩分の問題で書きました。即席麺についている調味料は、決して全部使ってしまわないように注意が必要です。

 

ど派手な赤いパッケージが多い中国の即席麺


 アクリルアミドに関しては、体に良くないことは分かっていますが、WHOもまだ許容量についてはっきりとした見解を示していません。一方で、トランス脂肪酸が、虚血性心疾患に影響を与えることは分かっています。

 さらに忘れてはならないのは、即席麺が消化によくないこと。即席麺の食べ過ぎで、胃を壊してしまう若者が少なくないのもそのためです。そのため、即席麺を主食代わりにすることには大いに問題があります。特に、朝食に食べるのは極力控えましょう。

 なんでもほどほどに摂取することが大切ですよね。


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2012年06月21日

上海のイタリアセンター(意大利中心)

 上海万博のイタリア館は、万博開催中にはご縁がなく、並ぶ根性もなかったので、結局見学できなかったのですが、現在2012年4月28日から12月31日までの期間限定で一般公開されています。万博パビリオンのなかでも、外観のデザインが一際良かったので、ぜひ一度いってみたいと思ってのぞいてきました。入場料は、当日券で60元で月曜日が休館です。45元の事前割引券もあるようです。

 旧上海万博のエリアは、いま再開発の真っ最中です。先日も、万博会場の真ん中を貫いていた世博軸の再開発計画が発表され、ここにシュッピングモールが出来ることになりました。付近の道路はすでに一般開放されていて、既存の施設から活用が開始されています。

 私はクルマで行きましたが、イタリア館の東側には有料の駐車場があり、そこにクルマを泊めると歩いて5分ほどでイタリアセンターにまでいけます。イタリアでは、この場所を中国との交流の窓口の一つにしたいと考えているようで、展示物もイタリアの産業・文化・芸術などが体感できるようになっています。そう、フェラーリ-の特設コーナーもありました。


 私が個人的に興味をもったのは、イタリアにある薬酒の文化。展示によると、1565年ごろに葡萄酒に果実や蜂蜜をいれて、長期間高熱を出した虚弱体質の患者に与えたのだそうです。その当時、修道院が医療施設として活用されていましたが、葡萄酒をそうした薬草などの医薬品を溶かす溶媒として活用されたのだそうです。そのための陶器の容器などが展示されていました。

 薬酒の文化は、中医学にもあり、特徴的です。お酒の文化と医学の文化とは昔から繋がりがあります。それは、医学の医の繁体字である「醫」を見ても分かりますが、ちゃんとお酒を意味する「酉」の字が入っていました。酒が病気を治すという発想は、ある意味全世界で共通の認識かもしれませんが、だからといって飲み過ぎてはダメですよ。

様々な形状のパスタをつくる型。そして、薬酒を入れる容器。


 展示物を一通り見学した跡、元ルクセンブルグ館のあった鉄の建物の1階にあるイタリアンのカフエに入って小休止。残念ながら、夕方17時で閉店してしまうのですが、イタリアセンターの回りは、ちょっとしたイタリアのグッズなどが手に入るお店があったりして、色々とのぞけるようになっていました。

 万博会場の今の姿は、まさに学園祭が終わったあとのようなちょっと空虚な感じがしますが、今改めて足を踏み入れてみると、あの当時の熱気が目に浮かぶようです。ほんの短い期間だったけど、(もともとあまり団結力のないと思われても仕方が無い)上海で世界からあれだけの人たちがやってきたイベントを出来たことは、やはり凄いことだと思いますし、その時に上海にいれたことは本当にラッキーだったと思います。そんなことを思いながら、夕暮れ時の旧上海万博の会場を後にしたのでした。


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2012年06月18日

だれが将来中国で医者になるのだろうか?

 つい先日、私が大学院時代に6年間在籍していた上海中医薬大学附属竜華医院でさえも、救急センターの医師が、患者に殴られて脳震盪になったという事件が発生しました。そのほかにも、ハルビンや北京で医師が患者から刺されるなど、今年に入ってからも医療現場での事件が後を絶ちません。

 今、中国の医療現場でよく言われる言葉に、「医師の待遇がよくない」、「患者との関係が難しい」、「仕事がハードすぎる」といったことをよく耳にします。さらに、社会的な影響を見てみると、医学部に進学したくないという学生が中国で増えているのもまた事実です。

 偏差値が軒並み高い日本の医学部と違って、中国の医学部は他学部よりも低めというのも特徴です。上海交通大学の場合、医学部は他学部とは別枠の学生募集をしていますが、2011年を例にとってみると、上海交通大学の理系のボーダーラインは535点だったのに、医学部は507点と低くなっていました。上海交通大学の医学部というと、もともとは上海第二医科大学で、付属病院は全国的に有名な瑞金病院になりますが、それほどの歴史と規模を誇る医学部でもこういう状態なのだそうです。


 また、上海交通大学では、毎年、進学後の学部変更を受け付けているのですが、今年も、医学部から他学部へ移りたいと申請した人が、60人近くいたのに、医学部に移りたいと考えた人は2人しかおらず、相変わらず専門を変えたいと考える学生が多いようです。復旦大学でも同様に、1割の学生が医学部から他学部への転部申請を出したということです。親が医師でも、自分の子供に対しては医師になってほしくないと考えている人が多いのも事実です。

 そもそも、中国で一人前の医師として活動するのには、長く時間がかかります。例えば、募集数が多い5年制の医学部を卒業しても、すぐに医師資格はとれず、また学士の学位では就職活動は難しい。通常は、最低でも修士(3年)、もしチャンスがあれば博士(3年)へ進学し、これだけても11年かかります。さらに、上海市では卒後3年の臨床研修を経て医師になれたとしても、大病院に残れるとは限りません。
 一般に、卒業後の医師の給与は3000元前後で、同様に他学部を卒業した学生が5000〜7000元をもらっているのと比較すると、雲泥の差であるというのことはよく言われます。その結果、多くの学生が医学部を敬遠し、収入が安定している他学部への進学を望む構図が出来てしまいました。


 日本では、医師の「独立開業」というルートもありますが、中国ではほぼ不可能に近く、十分な資金と当局とのコネでも無い限り、まず無理でしょう。それほどハードルが高いのです。当局からすると、開業医は総合病院であふれた医師が、食い扶持のために細々とやっている程度の認識しかないみたいですし、もし経営が上手くいったのなら、その見返りに対しての期待も大きいという話も小耳に挟みました。利権がものすごく絡んでいるのです。
 でも、中医学に限って言えば、もともと簡便な治療を重視しますし、治療コストも安い。維持コストの高い総合病院よりも、クリニックのほうがその将来性があると私はみているのですが、一旦開放してしまうと、無資格医や無資格医院が氾濫してしまうことにも当局はかなり懸念しているようです。いまでも問題になっていますからね。

 私が大学を卒業して今年で10年になります。そろそろ同級生から、10年目の同窓会をしようではないかという声が上がっています。中国各地に散っていますが、このときばかりは集まることになるでしょう。そのときの仲間のうち、どれほどがまだ医療現場に第一線に残っているのか、興味深いところです。
 私は中国で中医学を継承してきた数少ない日本生まれの日本人の一人として、中国の人たちに揉まれながら第一線で、資格が続く限り、がんばって行きたいと思っています。

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「子供の偏頭痛」を更新しました。

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