2012年06月17日

中国の「お酒は18歳になってから」

中国では、日本と違って18歳で成人とされ、成人式も一応あるのですが、お酒を飲んでも良いとされるのは、18歳から。しかし、実際には明らかに中高生と思われる子供がお酒を飲んでいるのは街角でも見かけますし、あまり厳しく監視されていないような気もします。そして、日本人ビジネスマンを困らせる、あの中国式一気飲みも、実は人に勧められてお酒を飲むシチュエーションよりも、単に雰囲気だけで(場を盛り上げるために)お酒を飲んでしまうことが多いようで、中国人的なお酒の飲み方と大いに関係があるというような調査結果が出ていました。

 この『2012中国青年群体飲酒行為調査研究報告』では18歳〜30歳の北京・上海。広州・武漢・成都・厦門で1258人を対象とした調査を行っていますが、未成年(ここでは18歳未満)がお酒を飲む行為に関して、その約7割が問題がないと考えているようです。さらに、6割の人たちが未成年でも、一定の状況下ではお酒を飲んでも構わないと答えています。


また、調査をした人たちの初めてお酒を飲んだ年齢は、55%が18歳未満からと答えており、中国では比較的未成年の飲酒が多いことが推測されます。そもそも、上海の街を歩いていても、未成年にお酒を売ってはいけないとか、あまり標語を見つけたりしません。一般的に、12歳未満でお酒をはじめてしまった場合、往々にして家庭環境や他人がお酒を勧めたなど外的要因による飲酒が多いことが分かっています。

 お酒を飲む量に関して、41.8%が飲み過ぎた経験を持ち、71.7%が一緒に飲んでいた仲間が飲みつぶれてしまった経験をしていました。さらに、調査をした人のうち、運転免許を持っている人たちの4分の一はお酒を飲んだ後にクルマを運転したことがあるとも答えています。道理で、飲酒運転による事故が絶えないわけです。そのため、「一滴のお酒を飲んでも、クルマを運転してはいけない」と思う人が、たった52.7%しかいないというのも問題ですよね。

 私自身はお酒が飲めません。回りをみてみると、お酒が飲めなくても、しっかりと総経理など会社の重要なポストをうまく切り盛りしているひとは日本人でも意外といます。

 毎日、上海の中医クリニックで多くの日本人を診察していますが、男性はとくに飲み過ぎの人が多いと思います。中国人との仕事の接待はもちろん、日本からの出張者による飲み会も少なくなく、日本側と中国側のダブルでの宴会で体を壊す駐在員が少なく無いように思います。「白いお酒(白酒)」での接待が、大人の儀式なのだそうですが、そのあたりの意識の改革にはまだまだ時間がかかりそうですね。


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【連絡】6月28日〜7月1日まで日本東洋医学学会のため休診します。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

2012年06月14日

非常識にも程がある!注射針が降ってくる

 6月12日に東京から戻ってきました。13日(水)から通常通りの中医クリニックでの診察に戻っています。ただ、予約が取りにくいという声を多数頂きましたので、15日(金)夜に臨時の診察時間枠を確保いたしました。なお、次は6月28日〜7月1日まで日本東洋医学学会のため京都に行きます。これ以降はしばらく日本行きの予定はありません。

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 さて、昨晩、中医クリニックの診察を終え自宅に戻ってみると、マンションのロビーに張り紙がありました。うちのマンションの1階には、ドイツ人と中国人の夫婦と2人の子供が住んでいるのですが、1階なので庭が大きく、芝生を植えてきれいにガーデニングされています。ところが、この芝生の庭に、毎日のようにいろいろなものが上から落ちてくるのだそうです。

 ご存じの通り、中国のマンションやアパートでは、よく窓からモノを捨てる人がいます。テレビのニュースでも、窓から植木鉢が落ちてきてクルマが傷つけられたなどの話をよく聞きます。ゴミ程度なら困ったことに日常茶飯事なのだけど、今回、張り紙をみてビックリしたのは、注射針が上から落ちてくるのだそうです。

 この注射針は、糖尿病の患者さんが血糖値を測定するために刺す針なのですが、これが空から降ってきて、しかも芝生の中に1日数回見つかると言うこと。芝生の上を走っていた子供の足に刺さってしまったそうで、これはかなりキケンです。

 針と言うことで思い出したのが、以前診察した中国の患者さんで、子供の頃、病院の近くで遊んでいて、医療廃棄物がずさんに管理されていたため注射針などが転がっていて、それで毎日遊んだことが原因でB型肝炎に感染してしまったという症例がありました。父母にB型肝炎がなかったので、おそらくそうした廃棄物で遊んだことが原因だと考えられます。中医学の鍼灸で使われる鍼は使い捨てなのですが、そうした廃棄物の処理は、場所によってはずさんなのです。

 しかし、空から降ってくる注射針。使用済みの綿棒とか、ときにはコンドームなども落ちてくるこのご時世。今の子供たちは、学校で最低限のマナーは学ぶようですが、そうした教育を受けていない中国の大人達はまだまだ多く、子供の見本になれないことは本当に厄介です。


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posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

2012年06月11日

神秘なる秋田県玉川温泉

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 玉川温泉と言えば、最近も冬の雪崩で湯治客が命を落とし大きなニュースになりました。温泉気候物理医学会の温泉療法医教育研修会の最後のプログラムとして、玉川温泉へのエキスカーションがありました。私も、今回非常に楽しみにしていた源泉の見学です。今回の学会で教育講演の中でお話された秋田大学大学院工学資源研究科の石山先生直々の解説付きです。なんともありがたい話です。

 公式ガイドブックによると、玉川温泉は「鹿湯」と呼ばれ、江戸時代当時は硫黄の採掘場所として使われていたそうです。クルマがある現在でももの凄く山深いところにあるのに、当時の人たちがどのようにしてここまでやってきたのは、想像もつきません。その後湯治場として広まったのは明治になってからで、意外と歴史が浅いことをしりました。

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 現在は、新玉川温泉とよばれる、かなり立派なホテルが出来ていて、全国各地からおおくの湯治客が来ていますが、老舗の玉川温泉は大人気でやはり予約はかなり取りづらい。でも、新玉川温泉からは歩いていける距離なので、私達学会員も先生の解説を聞きながら歩いて行きました。

 標高740メートルのエリアにあり、すこし奥手には焼山の噴火口が見えていました。正真正銘の活火山に湧く温泉なのです。源泉のPHは1.2程度と極めて強い酸で、しかも塩酸と硫酸が主成分。そこで、温泉地の下の方には酸を中和する施設が作られていました。そのまま水を流すと、生態系に影響を与えるほかに、ダムのコンクリートを腐植させてしまうのです。さらに、石山先生によるとレアメタルの宝庫でもあるそうです。

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 また、ここは最近なにかと騒がしい、微量のラジウムを含む温泉で、遊歩道も含む玉川温泉周辺では、麓の田沢湖周辺よりも高い放射線量が検出されます。多くの人が源泉地付近の岩盤で寝ていましたが、その放射線も目的の一つで、人によってはわざわざ線量計を持ってきて、線量の高い場所で岩盤浴をされていました。いわゆるホルミスト効果を期待するわけです。

 数ある源泉のなかで、もっとも湯量が多いのが、写真にもある大湧で、毎分9000リットル。1箇所からの湧出量では、日本最大です。湧き出すこの自然の恵みに多くの湯治客がやってくるわけです。

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 玉川温泉が湯治客に人気となったのは、やはりマスコミなどの影響もあったようで、爆発に人がふえたのも、昭和60年代以降のことだそうです。ただ、幾分誇大化されたものもあり、我々医療関係者からみても「?」というものがないわけでもないですが、ただ温熱効果や強酸性の泉質が、人体に与える影響というのは数知れないと思います。そのため、温泉にはいったあとは、しっかりとお湯で体を流すように言われました。ちなみに、昨日の研究報告でもありましたが、安全に温泉に浸かるために、入浴前に5回しっかりと掛かり湯しることが有効なようです。

 しかし、マジマジとみてみると、この玉川温泉のパワフルなお湯の出方には感動します。非常に男性っぽい性質の温泉だと思います。湯治客を見てみると、かなり重篤なかたも来られており、ワラにもすがる思い出で来られている現実をみると、医師として私ができる限界を感じる一方で、こうした天然のパワーを活用することで、きっとなにか出来るのではないか?と感じるのでした。

 日本人の文化から考えると、源泉というのはある意味神聖な場所であり、強力なパワースポットでもあります。山奥のそこに来ることができるだけでも、本来はある種の肉体的・精神的鍛錬のひとつでもあるし、だからこそ今まで温泉が日本で大切に守られてきたのだと思います。

 玉川温泉にきて、私の日本人としてのDNAが目覚めた感じもしましたし、私のやっている中医学や漢方医学との深い接点があることを感じたのでした。
posted by 藤田 康介 at 17:25| Comment(0) | 日本の温泉