2012年06月11日

神秘なる秋田県玉川温泉

 玉川温泉と言えば、最近も冬の雪崩で湯治客が命を落とし大きなニュースになりました。温泉気候物理医学会の温泉療法医教育研修会の最後のプログラムとして、玉川温泉へのエキスカーションがありました。私も、今回非常に楽しみにしていた源泉の見学です。今回の学会で教育講演の中でお話された秋田大学大学院工学資源研究科の石山先生直々の解説付きです。なんともありがたい話です。

 公式ガイドブックによると、玉川温泉は「鹿湯」と呼ばれ、江戸時代当時は硫黄の採掘場所として使われていたそうです。クルマがある現在でももの凄く山深いところにあるのに、当時の人たちがどのようにしてここまでやってきたのは、想像もつきません。その後湯治場として広まったのは明治になってからで、意外と歴史が浅いことをしりました。


 現在は、新玉川温泉とよばれる、かなり立派なホテルが出来ていて、全国各地からおおくの湯治客が来ていますが、老舗の玉川温泉は大人気でやはり予約はかなり取りづらい。でも、新玉川温泉からは歩いていける距離なので、私達学会員も先生の解説を聞きながら歩いて行きました。

 標高740メートルのエリアにあり、すこし奥手には焼山の噴火口が見えていました。正真正銘の活火山に湧く温泉なのです。源泉のPHは1.2程度と極めて強い酸で、しかも塩酸と硫酸が主成分。そこで、温泉地の下の方には酸を中和する施設が作られていました。そのまま水を流すと、生態系に影響を与えるほかに、ダムのコンクリートを腐植させてしまうのです。さらに、石山先生によるとレアメタルの宝庫でもあるそうです。


 また、ここは最近なにかと騒がしい、微量のラジウムを含む温泉で、遊歩道も含む玉川温泉周辺では、麓の田沢湖周辺よりも高い放射線量が検出されます。多くの人が源泉地付近の岩盤で寝ていましたが、その放射線も目的の一つで、人によってはわざわざ線量計を持ってきて、線量の高い場所で岩盤浴をされていました。いわゆるホルミスト効果を期待するわけです。

 数ある源泉のなかで、もっとも湯量が多いのが、写真にもある大湧で、毎分9000リットル。1箇所からの湧出量では、日本最大です。湧き出すこの自然の恵みに多くの湯治客がやってくるわけです。

 玉川温泉が湯治客に人気となったのは、やはりマスコミなどの影響もあったようで、爆発に人がふえたのも、昭和60年代以降のことだそうです。ただ、幾分誇大化されたものもあり、我々医療関係者からみても「?」というものがないわけでもないですが、ただ温熱効果や強酸性の泉質が、人体に与える影響というのは数知れないと思います。そのため、温泉にはいったあとは、しっかりとお湯で体を流すように言われました。ちなみに、昨日の研究報告でもありましたが、安全に温泉に浸かるために、入浴前に5回しっかりと掛かり湯しることが有効なようです。


 しかし、マジマジとみてみると、この玉川温泉のパワフルなお湯の出方には感動します。非常に男性っぽい性質の温泉だと思います。湯治客を見てみると、かなり重篤なかたも来られており、ワラにもすがる思い出で来られている現実をみると、医師として私ができる限界を感じる一方で、こうした天然のパワーを活用することで、きっとなにか出来るのではないか?と感じるのでした。

 日本人の文化から考えると、源泉というのはある意味神聖な場所であり、強力なパワースポットでもあります。山奥のそこに来ることができるだけでも、本来はある種の肉体的・精神的鍛錬のひとつでもあるし、だからこそ今まで温泉が日本で大切に守られてきたのだと思います。

 玉川温泉にきて、私の日本人としてのDNAが目覚めた感じもしましたし、私のやっている中医学や漢方医学との深い接点があることを感じたのでした。


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【連絡】6月7日〜10日までは日本温泉気候物理医学会のため東京・秋田へ、6月28日〜7月1日まで日本東洋医学学会のため休診します。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

2012年06月10日

秋田県の新玉川温泉にいます

 通信事情が悪く、更新できません。(^_^)
 
 ブログ更新するヒマがあったら、秋田の自然を満喫せよ!というご指令かも。

 ここの大自然はほんとうにスゴイです。

 田沢湖のある仙北市で、温泉気候物理医学会の発表を終えた後、そのあと温泉療法医教育研修会のため、新玉川温泉に来ています。

 ここの温泉はびっくり!
 パワースポットでもあるような気がします。

 もう、湯治の気分です。酸度がつよいので、源泉だったら皮膚がひりひりします。源泉の温度はほぼ100℃ですよ!!

 医師として、こうした自然の資源を有効に使う方法を研究したいと思います。

 昨晩は、秋田在住で、岩手県の被災地の医療で、今でも大活躍している奈良県出身の先生が、ご家族でここまで来て下さいました。積もる話も沢山。先生とは、中医学や漢方医学でのご縁です。

 午後の研修を終えたら、玉川温泉へ見学に行き、東京に戻ります。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

2012年06月09日

田沢湖のある風景

 今回の第77回温泉気候物理医学会は田沢湖で行われました。日本で一番深い湖(423.4メートル)です。水は独特な青色をしていて、もともとクニマスがいたのですが、玉川温泉からの酸性の水が流れ込み、一時は全然姿を消してしまったようです。学会で発表した内容は、高濃度人工炭酸泉足浴における酸化ストレス及び免疫系への生体効果についてをご覧ください。 

 しかし、第77回の学会というのも歴史が古いものです。戦前からある学会で、温泉に関しては専門医や療法医の制度もあります。温泉療法を行う場合は、ぜひいろいろとご相談されることをお勧めします。



 今回の学会で懇親会などが行われたホテルで、私も宿泊したのが駒ヶ岳観光ホテルで、田沢湖高原温泉郷の一角にあります。結構な規模のホテルで、源泉は近くの乳頭温泉のものを使っているそうです。泉質は硫黄の香りがする単純硫化水素泉で、源泉温度がなんと55℃もある、本物の温泉です。田沢湖駅からバスもあるのですが、タクシーでいっても4000円程度で意外と駅からは便利だったりします。東京から3時間程度で東北の本格的な温泉に来ることが出来るというのは、本当に日本は自然に恵まれた国だと思います。そう、原発事故さえなければ。。。。

 田沢湖周辺では、韓流ドラマ「アイリス」のロケが行われていたそうで、大震災前は多くの韓国人観光客で賑わっていたそうですが、残念ながら震災以降激減してしまいました。田沢湖自体は、震災ではほとんど影響はなく、地震当日に停電した程度で、家屋の損壊は一切なかったと伺いました。駅前の観光案内所には外国人の係員も配置されており、(そういえば、成田空港駅のJR東日本のカウンターも中国人系だった)意気込みは伝わってくるのですが、肝腎の観光客がこれほどまで少なければちょっと残念です。


 我々も学会の空き時間を利用して、九州大学医学部の牧野教授と東京医療学院大学の武田教授に誘われて、レンタカーで田沢湖を一周してきました。実は、この学会の来年の会場は別府温泉で、大会長は牧野教授です。今回、色々とご指導とご鞭撻をいただきありがたい限りです。

 田沢湖は1週で約20キロあり、この日はちょうど、大曲工高校の高校生が一週マラソンをしていました。新緑に恵まれ、山々を愛でながらのマラソンはさぞかし気持ちいいことでしょう。田沢湖の回りには、御座石神社や浮木神社などのパワースポットがあります。辰子姫伝説など、美しい民話が残るエリアでもあります。もちろん、御座石神社ではお札を買いましたが、奈良の春日大社よりも大きなお札でビックリ。私のお札コレクションの中では、一番大きなお札になりました。

 もちろん、稲庭うどんやきりたんぽも頂きました。ちょうど春のタケノコのシーズンでもあり、これがまた美味しい。山の幸の恵みは、秋田ならではの楽しみでしょうね。


 夜は、ホテルの裏にあるバーにお邪魔しました。ママさんから地元の話をいろいろ聞きました。学会でも発表がありましたが、秋田県は自殺率が最も高い県として、その対策が急がれています。一方で、全国学力テストでは堂々と1位。仙北市長のお話では、秋田県から流出する人口も多くて、年間1万人も人口が減少しているということ。ママさんによると、田沢湖周辺も、八郎潟の干拓の頃は、店に入りきらないぐらいの人で賑わっていたそうなのですが、今ではその面影もないとか。やはり、若者への雇用創出ができず、仕事がないのが大きな原因の一つのようです。幸せを感じることのできる県にすることが、まずは急務なのでしょうね。でも、このママさんは、旦那さんを亡くしてから、健康の為にこの場所に引っ越してきて、お店をしながら、健康に気をつけて野菜を栽培して毎日を過ごしているのだそうです。自家製の「いぶりがっこ」は美味しかった。

 でも、大阪出身の私からすると、この秋田のおおらかな雰囲気には大変こころが休まる気分です。やっぱり大阪人の気質は商売人なんだと。この大自然とお米に魅了されて、関西から家族で出て行き、東北の地域医療で大活躍している私と同年代の医師にも今回ご家族でお会いすることが出来ました。わざわざ玉川温泉にまで来て下さいました。
 先生はご自身で畑を耕しながら、地元や被災地の医療に貢献されています。中医学や漢方医学の分野でも先生とは偶然の繋がりもあったりして、人の縁には本当にビックリしました。

 今回の温泉気候物理医学会では、日本全国の専門家と貴重な意見交換ができたことは、非常に意義深いことでした。そして、田沢湖の透き通る水を見ていると、なにかもっと仕事ができるような気持ちにさせられました。これからも、影から秋田県を応援していけたらと思います。

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ママさん自家製の「いぶりがっこ」。美味しかった!!
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類