しかし、第77回の学会というのも歴史が古いものです。戦前からある学会で、温泉に関しては専門医や療法医の制度もあります。温泉療法を行う場合は、ぜひいろいろとご相談されることをお勧めします。
今回の学会で懇親会などが行われたホテルで、私も宿泊したのが駒ヶ岳観光ホテルで、田沢湖高原温泉郷の一角にあります。結構な規模のホテルで、源泉は近くの乳頭温泉のものを使っているそうです。泉質は硫黄の香りがする単純硫化水素泉で、源泉温度がなんと55℃もある、本物の温泉です。田沢湖駅からバスもあるのですが、タクシーでいっても4000円程度で意外と駅からは便利だったりします。東京から3時間程度で東北の本格的な温泉に来ることが出来るというのは、本当に日本は自然に恵まれた国だと思います。そう、原発事故さえなければ。。。。
田沢湖周辺では、韓流ドラマ「アイリス」のロケが行われていたそうで、大震災前は多くの韓国人観光客で賑わっていたそうですが、残念ながら震災以降激減してしまいました。田沢湖自体は、震災ではほとんど影響はなく、地震当日に停電した程度で、家屋の損壊は一切なかったと伺いました。駅前の観光案内所には外国人の係員も配置されており、(そういえば、成田空港駅のJR東日本のカウンターも中国人系だった)意気込みは伝わってくるのですが、肝腎の観光客がこれほどまで少なければちょっと残念です。
我々も学会の空き時間を利用して、九州大学医学部の牧野教授と東京医療学院大学の武田教授に誘われて、レンタカーで田沢湖を一周してきました。実は、この学会の来年の会場は別府温泉で、大会長は牧野教授です。今回、色々とご指導とご鞭撻をいただきありがたい限りです。
田沢湖は1週で約20キロあり、この日はちょうど、大曲工高校の高校生が一週マラソンをしていました。新緑に恵まれ、山々を愛でながらのマラソンはさぞかし気持ちいいことでしょう。田沢湖の回りには、御座石神社や浮木神社などのパワースポットがあります。辰子姫伝説など、美しい民話が残るエリアでもあります。もちろん、御座石神社ではお札を買いましたが、奈良の春日大社よりも大きなお札でビックリ。私のお札コレクションの中では、一番大きなお札になりました。
もちろん、稲庭うどんやきりたんぽも頂きました。ちょうど春のタケノコのシーズンでもあり、これがまた美味しい。山の幸の恵みは、秋田ならではの楽しみでしょうね。
夜は、ホテルの裏にあるバーにお邪魔しました。ママさんから地元の話をいろいろ聞きました。学会でも発表がありましたが、秋田県は自殺率が最も高い県として、その対策が急がれています。一方で、全国学力テストでは堂々と1位。仙北市長のお話では、秋田県から流出する人口も多くて、年間1万人も人口が減少しているということ。ママさんによると、田沢湖周辺も、八郎潟の干拓の頃は、店に入りきらないぐらいの人で賑わっていたそうなのですが、今ではその面影もないとか。やはり、若者への雇用創出ができず、仕事がないのが大きな原因の一つのようです。幸せを感じることのできる県にすることが、まずは急務なのでしょうね。でも、このママさんは、旦那さんを亡くしてから、健康の為にこの場所に引っ越してきて、お店をしながら、健康に気をつけて野菜を栽培して毎日を過ごしているのだそうです。自家製の「いぶりがっこ」は美味しかった。
でも、大阪出身の私からすると、この秋田のおおらかな雰囲気には大変こころが休まる気分です。やっぱり大阪人の気質は商売人なんだと。この大自然とお米に魅了されて、関西から家族で出て行き、東北の地域医療で大活躍している私と同年代の医師にも今回ご家族でお会いすることが出来ました。わざわざ玉川温泉にまで来て下さいました。
先生はご自身で畑を耕しながら、地元や被災地の医療に貢献されています。中医学や漢方医学の分野でも先生とは偶然の繋がりもあったりして、人の縁には本当にビックリしました。
今回の温泉気候物理医学会では、日本全国の専門家と貴重な意見交換ができたことは、非常に意義深いことでした。そして、田沢湖の透き通る水を見ていると、なにかもっと仕事ができるような気持ちにさせられました。これからも、影から秋田県を応援していけたらと思います。
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【連絡】6月28日〜7月1日まで日本東洋医学学会のため休診します。