2013年01月15日

今朝の上海の大気汚染で思うこと

 朝起きて、どうも今日の上海の大気汚染の状態はよくないと直感的に分かりました。朝7時前なのに全然明るくならない。遠くのビルも真っ白でなにも見えず、とても窓を開けられる状態ではなかったです。こういう状態が続くと、精神的にもよくないですね。鬱病が増えるのではないかと心配です。防毒マスクをして上海の街を歩いている西洋人がいたという情報も。

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 案の定、今朝の政府のデータでも、アメリカのデータでも、PM2.5は200越えしていました。そんななかでも、唯一非常に優秀な大気の状態を保っているのが海南島の三亜。私のドイツ人の患者さんが、上海での仕事を辞めて海南島に移住してしまいましたが、その理由はやっぱり大気汚染など環境破壊でした。

 上海郊外にいけば多少マシかと思えば、決してそうではありません。とくに沿岸地区は大した山もなく、汚染物質は地域の違いなく自由に往来できる状態にあります。冬に暖房のためのエネルギーが大量に必要な中国北部の場合、北京市で1年間に燃やされる石炭の量は2000万トン、天津市でも7000万トン、河北省になると2億トンだそうです。全世界の石炭消費量の40%以上が中国で消費されているのです。北京だけが石炭をガスに切り替えたとしても、その周辺もかえなければとても間に合わない。さらに、一旦温かさを享受すると、寒いというのはとても我慢できることではないのです。

 上海での生活は確かに便利になりました。私がここにきた1996年当時と比較しても、モノは手に入るようになったし、お金さえ払えば、サービスも大抵のことは享受できます。昨日たまたま出かけたIKEAではありませんが、人々は確実に消費生活に目覚めています。モノを大切に使うことから、モノを消費する時代になってきたのは、まだここほんの数年のことです。それが、まだ数年しか経たないうちにこんな環境の状態になるとは、恐ろしいことです。



 大気汚染の原因はいろいろいわれています。自動車に関しては、中国のクルマの保有台数は2億台に達しました。一方で、クルマの二酸化炭素の排出量は、1kmあたり160gで、ヨーロッパの95gよりも圧倒的に多いようです。大気汚染が酷いからこそ、クルマの運転を控えたいところですが、でも巨大都市が多い中国ではそんなわけにもいきません。移動すること自体が大変なのです。

 経済を活性化することは確かに大切です。モノをうることが進まなければ、商売は成り立たないかもしれません。中国では、まっさきにスクーターを廃止して電動自転車にしましたし、コンビニやスーパーのゴミ袋も強制的に有償化されました。しかし、例えばホテルに行ったらわかるように、まだまだ使い捨てのものが溢れています。かといって、繰り返しつかえるかと言えば、衛生問題などもありそう簡単ではありません。

 一方で、汚染をまき散らす企業を経営している富裕層の人たちは、さっさと海外に移民して、家族ごと海外にいってしまっている昨今の中国。どうもさんざん食い散らかし、臭いものには蓋をして逃げてしまうやり方が広まっている気がしてなりません。

 先進国がさんざん犠牲をはらって公害問題に取り組んできたのに、結局その教訓が活かされていないことが非常に残念です。

 なお、上海当局では、幼稚園児・小中学生の屋外での活動を控えるように呼びかけています。


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posted by 藤田 康介 at 08:57| Comment(0) | 上海の大気汚染状況