2013年03月30日

長江刀魚の運命〜過酷な長江の魚たち〜

 刀魚というから、太刀魚や秋刀魚のような魚かと思えば、これまた全然ちがう魚で、ものすごく繊細な感じがしています。先日、上海近郊の農家の友達から野菜の苗と一緒に分けてもらったのですが、上海生活約18年ではじめて実物を目にしました。

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(トマト、茄子、ピーマン)

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 長江では3つの魚介類が珍重されています。もちろん、近年数が激減してその行く末が心配ですが、それがこの刀魚と河豚とハスで、「長江三鮮」と呼ばれています。(フグはこのブログでも紹介しています)

 刀魚とは、汽水域を回遊する魚で、毎年春になると長江で産卵します。そこで、長江沿岸の江蘇省あたりでは大量の刀魚が捕獲されたのですが、近年は激減しています。中国水産科学研究院のデータでは、1973年に長江沿岸で3750トン捕獲されていたのが、2002年には100トンを割っていて、絶滅も危惧されています。以前は、洞庭湖あたりまで遡上してきたというのもちょっと信じられません。

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(崇明島からみた長江)

 こうした魚介類を保護するために、長江では毎年禁漁期間が設定されています。1981年に建設された葛洲ダムを境に、上流では2月1日〜4月30日、下流では4月1日〜6月30日までが禁漁です。この葛洲ダムが建設されてから、長江の生態系はかなり変化してしまったというのはよく中国でも論評されています。今でもダム周辺は遡上してきた魚が集まってきて、格好の漁場らしいですが、安全のために漁は禁止されているそうです。それに加えて、2003年に三峡ダムが完成し、魚の生態にとっては課題が増えているようです。

 それでも、漁師たちは魚を捕獲して生計を立てているわけで、収入を得るためにあらゆる手段を使っており、非合法な操業が問題になっています。環境汚染も重なり、ただでさえ少なくなった魚を細かい網を使ったり、電流を流して一網打尽にする方法など、当局も取り締まっていますがイタチごっこなのが現状です。ちなみに、電流を使う捕獲方法とは、一定水域に電気を流して酸欠状態にし、魚や蝦などを死なせることで一網打尽にするというやりかたです。

 上海市によると、上海市で合法的に漁ができる船の数は219艘しかないのに、実際には崇明島などに船は隠れていて、あちこちからやってくる非合法な船の数は1500艘にもなるそうです。どう考えても取締は大変です。

 さて、その貴重な刀魚ですが、役員接待が旺盛な頃、2012年のピークでは500gで8000元もしたそうですが、いまではそうした接待も清粛され、400元程度にまで下落しています。場合によっては、もっと安い場合もあります。

 我が家では、せっかくなので蒸してみる(清蒸)ことにしました。日本なら焼き魚といきたいわけですが、焼き魚ができるほどの美味しい淡水魚は、上海ではなかなか手に入りません。

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 刀魚の身は、確かに臭みがなく、とろけるような食感で美味しいのですが、この魚にはとんでもない問題点があります。とにかく、小さな骨が多いことです。淡水魚の特徴で、フナも細かい骨が多くて食べるのが大変なのですが、刀魚もそれ以上に多い。まったくもって、食べるのに根気のいる魚でした。上海人にはかれらの価値観があるのでなんとも言えないですが、私的にはそこまでお金を出すのなら、もっと美味しい海の魚があると思います。なんとなくブランドとかメンツとかそんな問題と関係がありそう。

 日本のように、四方を海に囲まれていない中国。海の魚を内陸で食べるのは至難の業で、長江などの淡水魚に大きく頼っています。私の妻も、私と結婚してから海の魚を食べるようになり、そのおいしさに目覚めてしまいました。きっと、こうした環境変化をみてみても、海の食資源に対する争奪戦が今後さらに激化することは間違いないと思います。

 だからこそ、後継者不足で大変かもしれませんが、日本の漁業は、今後もしっかりと発展して欲しいと強く思います。


posted by 藤田 康介 at 07:44| Comment(0) | 中国で食べる

2013年03月28日

上海浦東の名物、期間限定元祖「下沙焼売」

 小籠包といえば、上海市嘉定区にある南翔は有名ですが、上海市でシュウマイと言えば、実は浦東新区の周浦エリアの下沙にあるというのはあまり知られていないかもしれません。

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 日本でシュウマイと言えば、豚肉入りの焼売をイメージしますが、上海など江南エリアでは、シュウマイはなかに餅米をいれるのが一般的。それはそれで美味しいのですが、実は豚肉入りのシュウマイが上海浦東に「浦東新区の非物質文化遺産」として継承されています。それも、春だけの期間限定。なぜか?

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 今回訪れた浦東新区の下沙新街は、瀘南公路5229号にあります。瀘南公路といっても、馴染みがないかもしれませんが、実は浦建路をひたすら南下すると、瀘南公路になります。浦東新区の中心部からは25キロぐらいの距離です。(この瀘南公路はバス・トラックが多く、走りにくいので、平行して走る林海公路がお薦めかも)

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 下沙シュウマイの特徴は、やはり豚肉+春筍。つまり、春筍が収穫される5月初め頃までの期間限定のシュウマイで、その後は姿を消してしまうと言う代物です。もちろん、春筍がない季節は、蝦や冬筍などで代用するようですが、オリジナルは春筍ということで、それを食べるためにこの下沙まで上海市内各地から買いに来る人も多いとか。案の定、この日も店先には行列ができていました。

 店内にはほんの小さな食べるスペースもあり、早速私も賞味させてもらいました。値段は1個2.8元。肉まんが今1.5元程度ですので、結構良い値段はしています。

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 シュウマイといえば、小さいイメージがありますが、大きさはまさにあの551蓬莱のシュウマイぐらいあります。特徴はなんといっても皮でしょうか。このお店では添加物を一切使わないで皮を作っているそうで、口当たりが非常にいい。そして、日本のシュウマイではまず考えられない「肉汁」が溜まっているのも特徴です。小籠包をたべるように肉汁に気をつけながら、かぶりつくと、春筍の歯ごたえがとっても心地いいのです。春限定である理由は、まさにこの春筍のためだったのですね。

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 あと、このあたりで売られていたのが小豆のシュウマイ。これは、日本ではまず見かけません。シュウマイの皮の中に、あんこが入っているわけです。

 ちなみに、有名な観光地というわけではないですが、下沙には昔ながらの街並みの老街(旧市街)がのこっていて、付近を散策してみるのもいいかもしれません。丁度、上海の郊外では菜の花が満開で、黄色がまぶしいぐらいでした。

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 半日で駆け足のドライブでしたが、上海の郊外はまだまだ楽しい。下町の庶民的な空気を楽しみました。




posted by 藤田 康介 at 20:54| Comment(0) | 中国で食べる

2013年03月21日

上海市で電動自転車に対しての法改正(ナンバー・二人乗り問題)

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(Appleが電動自転車をつくっていたっけ?)


今朝の上海浦東新区の大気の状況は極めて良好です。今朝6時現在のPM2.5は13、PM10は26、AQIは74。日本で花粉症が酷い人も、上海ではまず発症しないし、今日は絶好の屋外での運動チャンス。また、部屋をしっかりと換気しましょう。

 さて、上海市では、かなり前からガソリン車のスクーターが禁止され、電動自転車にとってかわっていますが、電動自転車が原因とみられる交通事故が多発し、当局も取締に躍起になっています。 

 さらに最近、路上で電動自転車を取り締まる警察官をよく見かけますが、どうやら法規制が12年ぶりに改定されたようです。その中で、いくつか重要な変化もありましたので注意が必要です。

 今回の改定で興味深かったのは、電動自転車に対するナンバー管理方法が変わったことです。ご存じの方も多いかと思いますが、中国では自転車や障害者用の手こぎ車椅子に対しては登録が必要で、自転車本体にも刻印が打たれます。
 電動自転車でも同様ですが、今回の法改正では、上海以外のエリアで購入し、統治のナンバーを取得した電動自転車も、上海に乗り入れるときは上海のナンバーが必要であるということになりました。当然、ナンバーなしも違法になり、50〜100元の罰金となります。

 電動自転車の二人乗りに関しても、上海市では規定が出ました。現行の中国の法律では、電動自転車で2人乗りをしてもよいかどうかは規定されていないのですが、上海市では大人の運転する電動自転車では、12歳以下の未成年なら1人だけ載せてもよく、学齢期前の子供を載せる場合は、専用の椅子を設置しなければならないとしています。さらに、電動自転車を運転できるのは12歳からだそうで、12〜16歳が運転する場合は、人を乗せてはならないということです。これは、自転車も当てはまるみたいで、日本みたいに前一人、後ろ一人の3人乗りは禁止されているということです。

 また、電動自転車が没収され、さらに200〜2000元以上の罰金が課されるという厳しい規定が、規格外の電動自転車に適用されるとのこと。最近、改造して時速40キロぐらいを平気で出してしまう電動自転車がみられますが、こうした改造車の取締を強化するとのことです。国の規定では、車体重量が40キロまで、最高時速は時速20キロまで、出力は240Wまでとなっています。もし規定を満たしていなかったら、上記のナンバー登録ができないということになっています。

 うちの家政婦さんは電動自転車を乗りません。最大の理由は安全面。日常的に、電動自転車で交通事故をおこしたという話を耳にすると、確かに恐ろしい乗り物ですよね。クルマを運転するものからしても、歩行者からしても大変気を遣います。

 でも、いまや完全に中国の市民の足となって市民権を獲得している電動自転車。ただしく運転してもらいたいです。



posted by 藤田 康介 at 07:20| Comment(2) | 上海の運転免許・クルマ・教習所