
(トマト、茄子、ピーマン)

長江では3つの魚介類が珍重されています。もちろん、近年数が激減してその行く末が心配ですが、それがこの刀魚と河豚とハスで、「長江三鮮」と呼ばれています。(フグはこのブログでも紹介しています)
刀魚とは、汽水域を回遊する魚で、毎年春になると長江で産卵します。そこで、長江沿岸の江蘇省あたりでは大量の刀魚が捕獲されたのですが、近年は激減しています。中国水産科学研究院のデータでは、1973年に長江沿岸で3750トン捕獲されていたのが、2002年には100トンを割っていて、絶滅も危惧されています。以前は、洞庭湖あたりまで遡上してきたというのもちょっと信じられません。

(崇明島からみた長江)
こうした魚介類を保護するために、長江では毎年禁漁期間が設定されています。1981年に建設された葛洲ダムを境に、上流では2月1日〜4月30日、下流では4月1日〜6月30日までが禁漁です。この葛洲ダムが建設されてから、長江の生態系はかなり変化してしまったというのはよく中国でも論評されています。今でもダム周辺は遡上してきた魚が集まってきて、格好の漁場らしいですが、安全のために漁は禁止されているそうです。それに加えて、2003年に三峡ダムが完成し、魚の生態にとっては課題が増えているようです。
それでも、漁師たちは魚を捕獲して生計を立てているわけで、収入を得るためにあらゆる手段を使っており、非合法な操業が問題になっています。環境汚染も重なり、ただでさえ少なくなった魚を細かい網を使ったり、電流を流して一網打尽にする方法など、当局も取り締まっていますがイタチごっこなのが現状です。ちなみに、電流を使う捕獲方法とは、一定水域に電気を流して酸欠状態にし、魚や蝦などを死なせることで一網打尽にするというやりかたです。
上海市によると、上海市で合法的に漁ができる船の数は219艘しかないのに、実際には崇明島などに船は隠れていて、あちこちからやってくる非合法な船の数は1500艘にもなるそうです。どう考えても取締は大変です。
さて、その貴重な刀魚ですが、役員接待が旺盛な頃、2012年のピークでは500gで8000元もしたそうですが、いまではそうした接待も清粛され、400元程度にまで下落しています。場合によっては、もっと安い場合もあります。
我が家では、せっかくなので蒸してみる(清蒸)ことにしました。日本なら焼き魚といきたいわけですが、焼き魚ができるほどの美味しい淡水魚は、上海ではなかなか手に入りません。

刀魚の身は、確かに臭みがなく、とろけるような食感で美味しいのですが、この魚にはとんでもない問題点があります。とにかく、小さな骨が多いことです。淡水魚の特徴で、フナも細かい骨が多くて食べるのが大変なのですが、刀魚もそれ以上に多い。まったくもって、食べるのに根気のいる魚でした。上海人にはかれらの価値観があるのでなんとも言えないですが、私的にはそこまでお金を出すのなら、もっと美味しい海の魚があると思います。なんとなくブランドとかメンツとかそんな問題と関係がありそう。
日本のように、四方を海に囲まれていない中国。海の魚を内陸で食べるのは至難の業で、長江などの淡水魚に大きく頼っています。私の妻も、私と結婚してから海の魚を食べるようになり、そのおいしさに目覚めてしまいました。きっと、こうした環境変化をみてみても、海の食資源に対する争奪戦が今後さらに激化することは間違いないと思います。
だからこそ、後継者不足で大変かもしれませんが、日本の漁業は、今後もしっかりと発展して欲しいと強く思います。
