2013年03月19日

上海の世紀公園に植えられたサクラも開花

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 天気が良いのに、空気がよくないというのは厄介。今朝の上海(浦東世紀公園)は、朝からPM2.5は高めで、10時現在のデータはPM2.5が113、PM10が143.9、AQIは153となっています。24時間単位で観測した大気汚染度(AQI)では、中国基準で中程度の汚染になります。というわけで、今は空も霞んでいます。

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 それでも、季節は順調に前に進んでいるようで、上海市内の櫻も咲き始めてきました。私は、世紀公園の櫻を観察しています。

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 そもそも、90年代から上海の櫻の開花を見てきているのですが、以前は日本のマスコミにも上海の櫻事情を紹介したこともありました。浦東の世紀公園は、1週5キロもある巨大公園これまで櫻と殆ど縁がなく、唯一大阪市の植えた八重桜のサクラ園がある程度。それが、去年ぐらいからサクラ園の整備が進められ、ついに今年のシーズンに開花するようになりました。ちょうど、釣り堀のエリアに位置します。

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 櫻の木はまだまだ小さいので、とても可愛らしいのですが、いつかは上海植物園ぐらいの規模になってほしいと思います。ただ、上海の公園などに植えられている樹木は、よく引っ越ししてしまうので、いつまでここにあるかは少し心配ですが。

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 恒例となっている菜の花は、そろそろ咲き始めています。

 つい最近、春節が来たような気がするのですが、あっという間に春本番ですね。



 
posted by 藤田 康介 at 12:24| Comment(0) | ここは上海なり

2013年03月17日

上海市の次なる大気汚染対策は「予報」

今朝の上海。浦東世紀公園エリアでは、朝5時半現在で、PM2.5は33、PM10は36.2、AQIは65。悪くない数字かと思います。

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 先日、領事館で行われた講演会でもとりあげられていましたが、上海市の発表する大気汚染情報とアメリカ領事館が発表するものとの間でどれほどの開きがあるか?という点で、PM2.5の数値に関してはほぼ一致しているという事でした。
 ただ、AQIに関しては先進国であるアメリカと発展途上国である中国との間で、WHOの基準値の違いがあり多少の開きがあります。一方で、アメリカ領事館のAQIには、PM10が反映されていないので、そのあたりも誤差の原因になっています。よって、私は上海市の発表している数字、とくに今の季節ではPM2.5とPM10を注目しています。これがAQIの値に影響を与えることが多いですから。

 さて、大気汚染の上海市気象局では、3月23日の世界気象デーから24時間に1回更新するスモッグ予報を出す予定のようです。当面は、3段階で、軽度・中度・重度と表示されます。また、健康と気象の関連が注目される中、上海市気象局では英国の経験を参考に、2010年より上海市気象健康重点実験室を開設し、閔行区で衛生局や病院・学校と連携して喘息や感冒、COPDに対するリスクや予防の研究を行い、今年からはホームドクターと連携して対策を進めるということです。

 私も、かれこれ20年近く上海で暮らしていますが、大気汚染の問題はずっと政府のテーマで上海市内に原付が走っていないにもその成果の一つです。ただ、近年はクルマが急増しており、1年のうち、スモッグが出ているのが61%で、重度の汚染の日もチラホラみられるようになりました。

 上海市でスモッグが出るようになった理由の一つに、気象と人工構造物との関係も指摘されています。上海市気象局によると、近年上海で高層建築が急増し、地表部の気流の流れが変化し、加えてヒートアイランド現象により地表部の温度が上昇、その結果1960〜2008年に間に地表部の風の強さが毎秒0.0031メートル減少し、対流が起きにくくなっているということです。こういった現象は、中国の東部エリアの平地でも観測されていて、南京大学の研究でも、ここ30年間で地表部の風速が減少しているのだそうです。

 上海市の都市計画にも、幹線道路と高層建築に関して、風向きに関する研究を行うべきだという声もあがっていますが、なかなか難しいでしょうね。

posted by 藤田 康介 at 07:21| Comment(0) | 上海の大気汚染状況

2013年03月15日

大気汚染のPM2.5対策の研究、緑化方法にもコツが

 今朝の上海の大気汚染の状況は、AQIが45、PM2.5が25、PM10が41で、良好です。屋外で運動できるレベルです。

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 3月14日は、「大気汚染に関する講演会」と題して、在上海日本領事館にて東京虎の門病院呼吸センター内科の岸一馬部長を交えての講演会が開催され、昼間は一般向けにあったようですが、夜は医師・教員向けで開催されました。上海における大気汚染の現状について、様々な資料を交えながらお話がありましたが、やはり気になったのはそれぞれの大気汚染の指標についての見方をしっかりと理解しておく必要があるという点です。このブログでも「上海の大気汚染」のカテゴリにその最新の経過を逐一紹介しておりますので、ぜひご一読頂けたらと思います。

 さて、中国で大気汚染対策ではいろいろな研究が行われています。最近、上海で大きく報道された研究成果をご紹介しておきます。

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 上海交通大学の農業・生物学院の劉春江先生らの研究では、都市の緑化がPM2.5対策に有効であるという研究結果です。特に、PM2.5は非常に小さな粒子で、重力や慣性の影響を殆ど受けないので、いかに吸着させるかがポイントです。以前、加湿が有効であるといった話や、14日の講演会でも雑巾がけがいい、というような話がありましたが、この研究では街路樹そのものの効果も高いことが分かっています。植物の葉っぱは、面積が大きいですし、分泌物も多く、PM2.5が吸着しやすい条件が揃っていると言うこと。

 では、上海ではどのような樹木が有効かという研究では、針葉樹がとくにPM2.5の吸着によいとうことが分かってきました。上海でよく使われる植物はヒマラヤスギ・メタセコイア、カイズカイブキなど、枝がしっかりとしていて、分泌物が豊富で、葉っぱ面積が大きいので有効なようです。世紀公園などにいくと、メタセコイアは多いですよね。

 また、同じ研究で、どのように植栽するとPM2.5の影響を極力減らすことができるか、といったことも行われました。面積300平米ぐらの緑地の場合、まずコウシンバラ・ツツジなど小さな灌木約80株を公園の外側に植え、さらにオオカナメモチ(葉っぱは生薬として使います)、キョウチクトウなど大きな灌木30株と、銀杏やメタセコイアのような高木を12〜15株をお互いが重なり合わないように配置、そして100平米ぐらいの面積に草本植物(いわゆる草)を植えるのが理想で、そうすると大気汚染のうち、30〜40%のTSP(総粉塵)を抑制し、10〜20%の二酸化硫黄と二酸化窒素を削減、さらに5〜10デシベルの騒音緩和になるといことです。

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(上海世紀公園の朝)

 大気汚染の原因となる物質を出さないということも大切ですが、住宅地や工業用地によって緑地を削ってしまうこともよくなく、ぜひ緑の多いエリアに住みたいところです。上海でも住宅地環境の違いは開発時期の違いによってもはっきりと分かれてきます。新しい住宅地は、比較的緑地の面積が多くとられています。

posted by 藤田 康介 at 06:51| Comment(0) | 上海の大気汚染状況