2013年03月05日

スモッグな上海&日本の大気汚染

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 ここ3日間、上海の大気汚染の状況はよろしくありません。いくらなんでも,さすがの私も外出は控えました。実は、私のブログの読者から教えていただいたサイトで、アジアも含めた世界各地のAQIを確認していますが、今日は西日本の大気汚染の状況も思わしくないです。唯一グリーンなのは、やはり日本の東北地方。原発問題さえなければ。。。と本当に残念な思いがします。ただ、九州から近畿にかけてのエリアは確かに空気の状況が思わしくないですね。何らかの対策が必要なレベルです。

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 そろそろ黄砂のシーズンになり、PN2.5に続き、PM10の動向が気になりますが、一般にPM10クラスの粒子なら大部分は鼻毛も役に立ち、気管の繊毛運動によって喉へ運び出され、痰やクシャミの形で排出されますが、PM2.5のように小さくなると肺胞の中にまでとどき、マクロファージの食作用と粘液繊毛輸送機構によって排出されることになります。つまり、肺の免疫力を高めることが(中医学的に言うと肺の正気を高めること)大切ということになります。

 これほど小さな微粒子ですから、マスクや空気清浄機をつかうと防げるかと言えばそう簡単ではありません。よく疑問点として挙げられるのが、高層建築ではどうかという問題です。南京市の調査では、1階〜3階までの高さでPM2.5とPM10の濃度が最も高く、それ以上の階ではほぼ均一になっているということでした。一方で、高さ350〜1000メートルまでいくとようやく改善されるレベルになるそうで、高層建築であれば汚染がマシになる、もしくは汚染が酷くなるという説は一般的な住宅に関しては当てはまらないと言うことでした。

 屋内にいると、屋外よりもPM2.5やPM10の影響を下げることができそうですが、そんな中でもタバコの煙があれば全然意味をなしません。復旦大学が興味深い実験をしていました。面積20平米の部屋で、室内のPM2.5を測定すると52(㎍/平方メートル)と出て来ました。この部屋の中でタバコを1本吸ったとすると、喫煙者からの距離が2〜3メートルでPM2.5は251にまで上昇、2分後に同時に2本目のタバコを吸うとこの値は648になりました。興味深かったのはこのあとの結果です。タバコの煙でPM2.5が最高1454まで達したあと、喫煙者が部屋から出て行っても、PM2.5はすぐには減少せず、30分後でもまだ872あったといういことです。つまり、十分な換気ができていない状態では、完全にPM2.5を追い出すのには相当な時間が必要であると言うことです。

 結局、室内におけるPM2.5の発生源は、往々にしてタバコと関係があることが多いです。特に、中国のビルでもよく見かけますが、階段ホールやトイレでの喫煙は大きな問題で、そこにタバコがあるだけでPM2.5は一気に基準値の100倍となってしまうことも。そうした場所は通気性が悪いので、屋外の大気汚染の問題も深刻ですが、通気性についても考えるべきなのでしょう。また、こちらの対策としてよくみられるのが、加湿器の活用です。加湿することで、PM2.5などの微粒子を付着させて沈殿させるというのも有効であるとしています。最近では、上海でも加湿機能付きの空気清浄機が沢山売られています。

 とはいえ、ホテルの客室やレストランでタバコの煙から遠ざかることが、なによりも大切なPM2.5対策であるということはいうまでもありません。



 
posted by 藤田 康介 at 12:51| Comment(3) | 上海の大気汚染状況