
3月14日は、「大気汚染に関する講演会」と題して、在上海日本領事館にて東京虎の門病院呼吸センター内科の岸一馬部長を交えての講演会が開催され、昼間は一般向けにあったようですが、夜は医師・教員向けで開催されました。上海における大気汚染の現状について、様々な資料を交えながらお話がありましたが、やはり気になったのはそれぞれの大気汚染の指標についての見方をしっかりと理解しておく必要があるという点です。このブログでも「上海の大気汚染」のカテゴリにその最新の経過を逐一紹介しておりますので、ぜひご一読頂けたらと思います。
さて、中国で大気汚染対策ではいろいろな研究が行われています。最近、上海で大きく報道された研究成果をご紹介しておきます。

上海交通大学の農業・生物学院の劉春江先生らの研究では、都市の緑化がPM2.5対策に有効であるという研究結果です。特に、PM2.5は非常に小さな粒子で、重力や慣性の影響を殆ど受けないので、いかに吸着させるかがポイントです。以前、加湿が有効であるといった話や、14日の講演会でも雑巾がけがいい、というような話がありましたが、この研究では街路樹そのものの効果も高いことが分かっています。植物の葉っぱは、面積が大きいですし、分泌物も多く、PM2.5が吸着しやすい条件が揃っていると言うこと。
では、上海ではどのような樹木が有効かという研究では、針葉樹がとくにPM2.5の吸着によいとうことが分かってきました。上海でよく使われる植物はヒマラヤスギ・メタセコイア、カイズカイブキなど、枝がしっかりとしていて、分泌物が豊富で、葉っぱ面積が大きいので有効なようです。世紀公園などにいくと、メタセコイアは多いですよね。
また、同じ研究で、どのように植栽するとPM2.5の影響を極力減らすことができるか、といったことも行われました。面積300平米ぐらの緑地の場合、まずコウシンバラ・ツツジなど小さな灌木約80株を公園の外側に植え、さらにオオカナメモチ(葉っぱは生薬として使います)、キョウチクトウなど大きな灌木30株と、銀杏やメタセコイアのような高木を12〜15株をお互いが重なり合わないように配置、そして100平米ぐらいの面積に草本植物(いわゆる草)を植えるのが理想で、そうすると大気汚染のうち、30〜40%のTSP(総粉塵)を抑制し、10〜20%の二酸化硫黄と二酸化窒素を削減、さらに5〜10デシベルの騒音緩和になるといことです。

(上海世紀公園の朝)
大気汚染の原因となる物質を出さないということも大切ですが、住宅地や工業用地によって緑地を削ってしまうこともよくなく、ぜひ緑の多いエリアに住みたいところです。上海でも住宅地環境の違いは開発時期の違いによってもはっきりと分かれてきます。新しい住宅地は、比較的緑地の面積が多くとられています。
