
先日、領事館で行われた講演会でもとりあげられていましたが、上海市の発表する大気汚染情報とアメリカ領事館が発表するものとの間でどれほどの開きがあるか?という点で、PM2.5の数値に関してはほぼ一致しているという事でした。
ただ、AQIに関しては先進国であるアメリカと発展途上国である中国との間で、WHOの基準値の違いがあり多少の開きがあります。一方で、アメリカ領事館のAQIには、PM10が反映されていないので、そのあたりも誤差の原因になっています。よって、私は上海市の発表している数字、とくに今の季節ではPM2.5とPM10を注目しています。これがAQIの値に影響を与えることが多いですから。
さて、大気汚染の上海市気象局では、3月23日の世界気象デーから24時間に1回更新するスモッグ予報を出す予定のようです。当面は、3段階で、軽度・中度・重度と表示されます。また、健康と気象の関連が注目される中、上海市気象局では英国の経験を参考に、2010年より上海市気象健康重点実験室を開設し、閔行区で衛生局や病院・学校と連携して喘息や感冒、COPDに対するリスクや予防の研究を行い、今年からはホームドクターと連携して対策を進めるということです。
私も、かれこれ20年近く上海で暮らしていますが、大気汚染の問題はずっと政府のテーマで上海市内に原付が走っていないにもその成果の一つです。ただ、近年はクルマが急増しており、1年のうち、スモッグが出ているのが61%で、重度の汚染の日もチラホラみられるようになりました。
上海市でスモッグが出るようになった理由の一つに、気象と人工構造物との関係も指摘されています。上海市気象局によると、近年上海で高層建築が急増し、地表部の気流の流れが変化し、加えてヒートアイランド現象により地表部の温度が上昇、その結果1960〜2008年に間に地表部の風の強さが毎秒0.0031メートル減少し、対流が起きにくくなっているということです。こういった現象は、中国の東部エリアの平地でも観測されていて、南京大学の研究でも、ここ30年間で地表部の風速が減少しているのだそうです。
上海市の都市計画にも、幹線道路と高層建築に関して、風向きに関する研究を行うべきだという声もあがっていますが、なかなか難しいでしょうね。
